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元検察官vs“犯罪者”の戦い──“多様性”と“ネットミーム”を強みにカマラ・ハリス氏は女性初の米大統領になるのか?

日テレNEWS NNN / 2024年7月30日 18時31分

日テレNEWS NNN

民主党候補としてトランプ元大統領と争うとみられるカマラ・ハリス氏。元検察官で、数々の“女性初”を切り開いてきた彼女の大統領候補としての強みは?

2020年の米大統領選前にハリス氏を取材していた国際部・飯塚真代記者と、報道局ジェンダー班の白川大介プロデューサーが深掘りトークします。

■黒人人気はバイデン氏だった──4年前の大統領選では支持を集められなかったハリス氏

2019年

国際部 元NNNニューヨーク支局 飯塚真代記者

「2020年の大統領選で最終的にバイデン氏とトランプ氏が対戦することになるんですけども、その前の予備選を取材していました。取材した時点では24人が立候補して、まさに乱立状態。そのうち6人が女性、3人が黒人で、さらに同性パートナーをもつブティジェッジ氏も出ていまして、本当に多様性に富んだ予備選のレースだったんです」

「2020年が女性参政権獲得から100周年という節目でもあって、白いスーツを議会で女性議員が着るような盛り上がりを見せていた時期でした。女性初の大統領が生まれるんじゃないかみたいな期待感もあって取材しようと思いました」

報道局ジェンダー班 白川大介プロデューサー

「結局、バイデンさんに敗れる形になったわけですけれども、その理由を飯塚さんはどう感じていますか」

2013年当時 大統領のオバマ氏と副大統領のバイデン氏

飯塚記者

「ひとつ言えるのは、あまり刺さる層がなかった印象がありました。彼女は黒人であり、女性であり、移民のルーツを持つんですけれども、当時黒人人気はバイデンさんが高かったんです。オバマさんの相棒だったというイメージがあるので」

「また、若者に関しては、保険制度や奨学金返済といった若い人たちの関心があるテーマに対して大胆な政策を打ち出していた、“急進左派”といわれるサンダースさんなどに支持が集まりました」

■「黒人でありアジア系でもあり移民でもあり女性」多様なアイデンティティーを生かして

7月29日放送

白川プロデューサー

「11月の大統領選に向けて、トランプさんと戦う民主党候補になることはほぼ確実という状況なんですかね」

飯塚記者

「22日には民主党内での指名獲得に必要な過半数の代議員を集めたと報じられて、その時点で指名はほぼ確実となりました。早ければ8月1日にもオンライン投票が行われて、7日までには正式な指名に至るのではないかということです。さらに19日から始まる党大会で正式な受諾演説を行って、どのようなことを語るのか注目されています」

白川プロデューサー

「バイデンさんからハリスさんに変わったことで、僕の印象としては白人高齢男性同士の戦いから一気に構図が変わったなと思うんですけれども、ハリスさん、改めてどんな人なんでしょうか」

飯塚記者

「父親がジャマイカ出身、母親がインド出身ということで、黒人であり、アジア系でもあり、移民でもあり、女性といういろんなアイデンティティーを持った方です」

「なおかつ、検察官としてキャリアを歩んできて、女性初のカリフォルニア州司法長官にもなっています。その後は上院議員として司法委員会での鋭い追及などで注目を浴びて、その後バイデンさんから指名されて初めての女性副大統領になったということで、あらゆる女性初を切り開いてきた人と言えます」

2020年 副大統領就任「これを見ているすべての女の子はわかったはずです。この国は可能性にあふれていると。」

白川プロデューサー

「間近に取材した飯塚さんから見て、ハリスさんの政治家としての強みはどこにあると思いますか」

飯塚記者

「彼女は多様性を生かした戦略をしていると感じました。“We”とか“Our”といった“私たち”という言葉に自分を入れられるんです。そこは強みだと思いました。例えば、女性が多い集会では、『私たち女性や女性を応援する男性の皆さん、こんにちは』みたいな感じで挨拶する。そして女性の関心の高い人工妊娠中絶問題であったり、男女の賃金格差といった問題について時間を費やしていました」

「黒人の有権者が多い地域で行われたちょっとした会合みたいなところでは、黒人の子どもたちがマーチングバンドで太鼓をたたきながらやってきて、それと一緒にハリスさんが踊りながら出てきた。そのとき凄くリズム感があると思ったんですけれども、彼女自身、伝統的に黒人が多い大学といわれているハワード大学を出ていて、マーチングバンドは象徴的なものなんです」

■「移民政策」では責められるも「中絶の権利」では一定の評価

白川プロデューサー

「3年前に初の女性副大統領になった時、演説もパワフルですごいなと思ったんですが、その後、正直あまり日本のニュースでお見かけしなかった印象です。アメリカではどういう評価なのでしょうか」

飯塚記者

「アメリカメディアを見ても、『実績が乏しい』というような評価がけっこう出ています。本来副大統領というのは目立つ場面が少ないっていうことはあるとは思うんです。さらに任されていた分野がちょっと人気のない分野と言いますか、すごく論争になりやすい『移民政策』で、厳格過ぎてもリベラルから批判されるし、緩和し過ぎると治安への影響も出てくるしという中で、どちらからも責められるような状態でした」

「トランプさんは元々『国境の壁』と言っていたぐらい国境警備に力を入れると話してる方で、実際に今回の選挙キャンペーンでも、『犯罪者が大量に流れ込んできた。それは誰のせいか?ハリスのせいだ』というふうにくっつけてキャンペーンを展開しています」

7月18日放送 news every.

白川プロデューサー

「当事者性がある上にかなり難題を背負わされたという感じがありますね」

飯塚記者

「ただ、中絶問題については当初から発言をしていて、最高裁で保守派が多数派になったことによって、中絶の権利を認めた過去の判例がひっくり返されることがあったんですね。それによって規制を強める州も増える中で、『女性が自分の体をどうするかというのは自分で決めるものなんだ』というリプロダクティブライツを擁護してきました。副大統領として初めて中絶を行う施設を訪問するというようなこともしていて、そういったところには一定の評価もあるのかなと思います」

国際部 飯塚真代記者

■SNSで“ミーム化”…バズる政治家は選挙戦にも強い?

白川プロデューサー

「中絶の権利というのは、どちらかというと、若い世代の関心が高いテーマかなと思うんですけれども、そういったZ世代とか若い世代の有権者は彼女のことをどのように見ているんでしょうか」

飯塚記者

「“高齢男性”対“高齢男性”という構図からちょっと若い風が吹いたことによって、“ダブルヘイター”という『どっちにも投票したくない』人たちの票を掘り起こすことができるのかが重要になってくると思います。SNSを見てみると、彼女の過去の発言などがミーム化しているそうなんです」

白川プロデューサー

「ちょっと面白いものとして拡散している?」

飯塚記者

「そういう面もあるので、これまで彼女についてそんなに知らなかった層が関心を持って『彼女に投票したい』というふうになっていくかどうかは、これから注目なのかなと感じます」

白川プロデューサー

「この前の東京都知事選挙でもSNSがどう選挙に影響するかという力を目の当たりにしましたから、この先、そういったところで目が離せないですね」

報道局ジェンダー班 白川大介プロデューサー

飯塚記者

「また、トランプさんというのは、刑事事件で有罪評決を受けている“犯罪者”という立場です。一方、元検察官として犯罪者を追及してきた立場のハリスさん」

白川プロデューサー

「政治家同士の戦いとともに、元検察官と犯罪者という構図でも見どころということですね」

■Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと~

日テレNEWS NNN

日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。

“話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?

番組ハッシュタグ:#talkgender

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