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日立製作所・東原敏昭会長「安全管理上のコストも価格転嫁が必要」大企業としての責任

日テレNEWS NNN / 2024年8月7日 7時0分

日本テレビのインタビューを受ける日立製作所・東原敏昭会長 7月 長野・軽井沢にて

■大手企業、33年ぶりに5%超えの賃上げ率 ~中小企業の適切な賃上げには“価格転嫁”が課題

経団連は5日、今年の賃上げ調査結果を公表した。大手企業の従業員77万8000人の基本給は月額1万9210円の増額となった。上昇率は平均で5.58%のアップで、33年ぶりの5%超えとなる。(去年は3.99%のアップ)。

一方で、賃上げは中小企業の隅々にまでは広がりきっていない。そのため、経団連は中小企業も含めて賃上げが定着するよう、引き続き適切な価格転嫁を大手企業に呼びかけていくとしている。

企業が価格転嫁をどう考え、どのように取り組むべきかのヒントを探るため、価格転嫁の促進に真正面から取り組んでいる企業経営者らにインタビューした。第2回は日立製作所・東原敏昭会長に話を聞いた。(聞き手・経済部記者・城間将太)

■「本当の意味で価格転嫁が末端までされているのか透明性を増していく必要がある」

Q.今年、大企業や中小企業で歴史的な水準の賃上げが実現した。そのためには大企業から中小企業への価格転嫁が重要だ。経営トップとしてこれまで価格転嫁にどのような姿勢で臨んできたか。

(日立製作所・東原会長)価格転嫁というのは非常に重要な課題だと考えています。ですから、パートナーシップ構築宣言を発行しましたけれども、経団連でも進めていますが、やはりパートナー、サプライヤーといかにコミュニケーションを密にして、価格転嫁がどういう状況で起きてるのか、そういうことをまずファクトファインディング(=課題解決に必要な実情を把握)するっていうのが非常に重要で。当然コスト上昇分を売価の方に転換していくというのは自然な動きだと考えています。

ここで注意しないといけないのは、 我々はサプライヤーに対してコミュニケーションをしますけれども、そこから重層構造で発注されているようなケースがあります。一次、二次、三次、こういうケースにおいて、やはり我々側では透明性が見えないところがあります。ですから、本当の意味で我々の価格転嫁が末端まで価格転嫁されているのか、やはりそこも透明性をもっと増していく必要があるのではないかと思ってます。

■「価格転嫁がどこまで反映されているか見届ける義務がある」

Q.サプライチェーンの下の方に行けば行くほど価格転嫁が適正に行われているか、目が届きにくくなる。透明化するにはどのようにしていけばいいのか。

(東原会長)もっとフラットな組織といいますか、コンソーシアム(=共通の目的を持つ複数の組織による共同体)的なオープンな形にして、どこでどういう付加価値をつけているのかというのを明確にした上で価格転嫁の議論をすれば良いのではないかと思います。単純に一次外注、二次外注としたときに付加価値がついているわけですから、どういう付加価値がついて重層構造ができているかというところをもっと明確にして、それぞれに対して売価転嫁をどうしていくべきなのかを議論すべきであると思います。我々はあくまでも一次のサプライヤーとの間の議論になってしまっていて、本当に我々の価格転嫁がどこまでサプライチェーンの中で反映されているのかというのが若干見えないところがあります。それを明確にしていくのが今後の課題だと思います。

数年前に私がまだCEOだったときに全サプライヤーに対して、まずコミュニケーションをもっと深めましょうというレターを出して、それでコミュニケーションを始めていました。ですから、この数年で相当コミュニケーションが良くなったと思います。会話もできるようになって、価格転嫁もある程度はできるようになったと思いますけれども、それが本当にどこまで反映されてるのかというのをやはり見届ける義務があるという風に考えています。

■コストだけでなく、“安全”と“品質”の管理も大企業の役目

Q.二次請け、三次請け、その先の価格転嫁にも目を配ることが重要だということだが、直接取引している一次請けの企業に対して、その下請け企業との価格転嫁が適切かどうか確認しているのか。

(東原会長)そういうことはやっています。我々のような電機メーカーでは安全管理も重要です。例えば取引先に作業をお願いしたとき、一次請けのところは、自社で安全管理をします。でも、二次、三次については、一次請けのコントロール下で実際やられるのです。我々は、「全体」でいかに安全に工事ができたり作業ができるかというところに責任を負うわけですから、当然全体を見るような必要があるわけです。一次、二次、三次がどういう責任感で作業してるか、やはり全体を見る、見届ける義務があると思ってます。こうした安全管理上のコストもかかるので、それはきちんと安全確保の意味でやっていくべきではないか、ということです。

例えば、大きな工事も含めたような作業をお願いしたりするケースもありますから、品質とか安全というところに対して十分配慮された計画になってるかというのは見極めて、その(安全などに対する)コストがアップしてるんであれば、当然その価格転嫁も考えていかなければいけないと思います。実際には二次請けについては一次下請けが責任を負うんですけれども、結局、事故などが起こると信用問題になりますので、我々はそこを注視しているということです。安全面と品質面はものすごく注意してます。

◇◇◇取材を終えて◇◇◇

東原氏は「作業員の安全管理上のコストについても価格転嫁をやっていくべきだ」と話した。材料費や賃上げ分のコスト上昇に伴う価格転嫁については、まず日本全体で取り組んでいるところだが、業務でケガなどのリスクのある業種では、発注元である大企業が全体での安全性にも目を配る必要があるという認識だ。そうした“安全面”まで配慮を行き届かせることで現場が安心して働くことができれば、“品質”が保たれ、信頼と業績も向上し、賃金が上がるという好循環につながるのではないかと感じた。

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