【解説】米大統領選 ミームやセレブの発信…Z世代の動向は?
日テレNEWS NNN / 2024年8月14日 20時29分
アメリカの民主党大会が来週行われる。現在SNS上では、民主党の大統領候補に指名されたカマラ・ハリス氏の発言やダンスなどが音楽と共に拡散され、1990年代後半から2010年頃までに生まれた「Z世代」の若者の間でも注目されている。この動きが、どれだけ大統領選挙の行方を左右するものになるのか。Z世代のホンネを取材した。(国際部 飯塚真代)
■「カマラはbrat」…すぐに便乗したハリス陣営
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ハリス氏が大統領候補として活動を始めたばかりの7月、イギリスの有名歌手チャーリーXCXさんがXに「カマラはbratだ」と投稿した。自身の最新アルバムのタイトル「brat」にかけてつぶやいた内容だ。この言葉は元々「悪ガキ」や「行儀の悪い子ども」を示すが、ここでは、「パーティー好き」「自分らしく生きる」「まわりに流されない」「尖っている」「かっこいい女性」といったポジティブな意味で使われているという。つまり、カマラ・ハリスという政治家はかっこいい存在だと、若者に影響力のある歌手が言ったということ。そして、ハリス陣営もこの投稿が広がった直後に便乗し、SNSをアルバムのジャケットカラーであるライムグリーンにした。さらに、そこから派生して、ハリス氏の過去の発言や、リズム感よく踊る様子などが、ティックトックなどのSNS上で拡散され「ミーム」となっている。
■有権者の半数占める「Z世代」と「ミレニアル」
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アメリカは若い世代の人口が多く、今回の選挙では、Z世代と43歳までのミレニアル世代を合わせると、有権者の48.5パーセントを占めるとみられる。この世代は、人種的にもLGBTQなどの性的指向もほかの世代に比べて多様だ。しかもデジタルネーティブでもあるため、ネット上での情報にも敏感とされている。この世代でどれだけの人が実際に選挙人登録をして投票を行うか。これが、選挙の結果を占う上でカギとなるのだ。
■バイデン氏への失望感から若いエネルギーへの期待
ニューヨークに住むZ世代で、前回もSNSで投票呼びかけの活動を行っていたケイリン・バックリーさんは、今回のハリス氏のキャンペーンのSNSでの盛り上がりは前回を大きく超えるものだと話す。「(ミームは)ハリス氏の個性を引き出し、彼女のユーモアセンスを感じさせるものだ」と、ハリス氏がSNS上での「キャラ付け」に成功していると指摘。また、「政治に興味をもっている人もいない人も、若い候補者が出てきたことにエネルギーを感じている」と話す。高齢不安を抱えるバイデン氏に失望感もあった中で、若いハリス氏が登場したことに期待感が広がっているのだと言う。
■セレブも続々支持表明
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さらに、アメリカでは日本よりも一般の人やセレブなども積極的に政治的な発信をしている。Z世代に人気の高い歌手の一人、アリアナ・グランデさんはバイデン氏撤退後、早々にハリス氏支持を表明。バスケットボールの最高峰NBAのスタープレーヤーであるステフィン・カリー選手はパリオリンピック前の会見で「ハリス氏からたくさんの支援をもらった。そのエネルギーを返したい」と話し、支持を表明した。著名人からの支持表明も後押しとなっている。
■最も重視するのは「経済」
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こうして、若者に支持を広げているハリス氏だが、そのまま選挙での投票につながるかというと簡単ではない。Z世代の若者に聞いた「選挙で重視する争点」(上位3つを選択する質問)を見ると、民主党支持者が重視する中絶の権利や銃規制、気候変動などの問題も並ぶが、「経済・インフレ」を挙げる人が7割いる。インフレが人々の生活を直撃する中、返り咲きをねらう共和党のトランプ前大統領は今の経済政策を批判し、先日の世界的な株価下落についてSNSで「カマラ・クラッシュ」=「カマラの暴落」と投稿するなど、不安定な経済とハリス氏を結びつける発信も行っている。
■具体的政策出るか…民主党大会に注目
同志社大学大学院の三牧聖子准教授は、「インフレ対策がどの世代にとっても重要な争点で、ハリス氏が具体的な経済政策を独自の形で出せるかがポイントだ」と話す。自分の生活も苦しい中で、「ウクライナやガザなどの国際問題にお金を使ってきているいまの政権に対して、トランプ氏の自国優先の考え方や経済政策に期待する声というのは若者の中にもある」という。トランプ氏や副大統領候補のバンス氏の相次ぐ差別的な発言などに対しては「古い考え方」と見る若者も多いものの、それよりも具体的な政策を見ている有権者も多いという。そのため、来週の民主党大会や今後の選挙戦の中で、ハリス氏がどのような具体的政策を打ち出すのかが一層注目される。
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