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賃金や就活にも影響はある?“株価の乱高下”大学生が経済部記者にきいてみた

日テレNEWS NNN / 2024年8月16日 6時15分

日テレNEWS NNN

株価の乱高下がなぜこんなにもニュースになっているのだろう…日本テレビで働く大学生が、賃金や就職、資産運用への影響について、経済部・金融担当の渡邊翔キャップにききました。

■円高と株価の関係性ってどんなもの?

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8月5日、日経平均株価が、前の日と比べて4451円安と過去最大の下げ幅となりましたが、翌日の6日は一転して3217円高で過去最大の上げ幅を記録するなど、乱高下しました。

──株価が下がったのはなぜなんですか?

渡邊:暴落の要因は大きく2つ。一つは、アメリカで経済指標が市場予想を下回ったことをきっかけに、急速にアメリカの景気後退への懸念が広がってアメリカ株が下落し、その影響が日本株にも波及したこと。もう一つの理由は、日銀が追加利上げを決め、今後のさらなる利上げにも前向きな姿勢を示したことが、アメリカの利下げ期待の高まりと相まって、歴史的円安が急速に修正されて円高に進んだことです。

──円高に進むと、株価が下がるんですか?

渡邊:一般的に、円安になると自動車などの輸出関連企業は売上が増加するので、業績にはプラスです。これは株価の上昇要因のひとつになります。円高の場合、逆のことが言えますので、一般的には株安の要因になり得ます。

日銀の幹部も、「日本銀行の政策変更に伴って円安の修正が進んだことが、わが国の株価が他の国に比べてもより大きく下落、ないし変動した要因の一つだ」と認めています。

──日銀の政策はどう変わったんでしょうか?

渡邊:7月31日に今年2度目の利上げを決めました。これで、日銀が今後もそれなりのペースで利上げを続けていくのではないかとの見方が市場に広がったことが、円高の急速な進行に大きく影響したとみられています。

そのため、日銀のナンバー2である内田副総裁は7日、「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と強調し、市場を落ち着かせる発信を行いました。実際、内田氏の発信直後、それまで下がっていた株価は上昇に転じ、為替も3円近く円安に進みました。

■就職氷河期到来の可能性は?円高も株安も賃金にはマイナス影響

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──円高が進むと、賃金に影響が出ますか?

渡邊:企業の特性や、どの程度の円高水準かにもよります。専門家によると、今年度の企業の業績見通しの基準となっている想定為替レートの平均は、だいたい1ドル=144円程度だそうです。この水準を急速に上回って円高が進めば、輸出企業では業績が悪化するリスクが出てきます。業績の悪化は、賃上げにはマイナスの影響となります。

──株価が下がることも、賃上げにはマイナスですか?

渡邊:専門家に聞くと、株価が下がることで賃上げがしにくくなる可能性はあると指摘しています。株価が好調ということは、市場から見てその企業の評価が高いということなので、その企業が、例えば商品の価格を決めるときも、強気の価格設定がしやすくなります。 結果、商品の価格を上げやすくなり、企業の収益アップにつながる、そして賃金も上げやすくなるという論理です。逆に株価が大きく下がると、企業としては賃金を上げにくくなるという指摘です。

──就職氷河期到来の可能性はあるのでしょうか?

渡邊:株価の短期的な乱高下がそこまで波及することは、そもそも想定しにくいのではないでしょうか。また、日本社会は人口減少が進んだことで、構造的な人手不足の状態になっています。当面、就職活動も売り手市場が続くのではないか、というのが一般的な見方です。

──NISAをしている人に影響はありますか?

渡邊:新NISAというのはそもそも、長期間こつこつと積み立てていって、資産を増やそうという制度です。短期間の株価の動きに一喜一憂して、安易に売りに走ってしまうのが、一番良くないと言えるでしょう。 特に新NISAのような積立を前提とした制度を利用するにあたっては、定期的に決まった額の積み立てを続けることが重要とされています。

新NISA制度の導入を主導した金融庁の井藤英樹長官も、今月の日本テレビのインタビューでこのように説明しています。

「昨今、相場の変動等もありますけれども、『長期』・『積立』・『分散』投資とありますので、投資と向き合う際に一定程度長い目 線を持ってぜひ取り組んで頂ければと思います。金融庁では、かねて『長期』・『積立』・『分散』投資というのが家計の資産形成にはより良い、適当なのではないだろうかというふうに申し上げてきたところであります。長い時間軸をとってみると、相場が高い時もあれば低い時もある。そうした中で相場の短期的な変動に一喜一憂するということではなく、コツコツと積立投資に向き合っていくことが資産形成には大事なポイントと思います。」

実際、5日の株価暴落時には、損失がさらに広がるのを防ぐため、損が出ていても株を売る「損切り」をする個人投資家の方もいたようですが、翌6日に株価が2000円以上回復したことで、後悔する声も聞かれました。株価は暴落から1週間後の13日に、暴落前の水準をほぼ回復しています。こうした状況を見ても、短期的な株価の動きに一喜一憂してしまうリスクが分かると思います。一方で、投資というのは、常に損をする、元本割れするリスクがあるというのを理解することも重要です。大前提として、投資をやるかやらないかも個人の自由。投資に関する基礎知識をしっかり学んだ上で投資を行うか判断し、行う場合は、「株価が下がることもあり得る」という意識を持ちながら、長期・積立・分散という基本を踏まえて取り組むことが重要ではないかと思います。

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