社会問題解決とビジネスの両立を図る「インパクトスタートアップ」 都内でイベント
日テレNEWS NNN / 2024年9月12日 17時35分
11日、都内で「IMPACT STARTUP SUMMIT 2024 (インパクトスタートアップサミット)」が開催された。同イベントは2022年に設立された一般社団法人インパクトスタートアップ協会が主催。社会問題の解決と社会のポジティブな変化を促す「社会的インパクト」を創出する「インパクトスタートアップ」各社などの参加者が訪れた。
インパクトスタートアップの社会課題解決に期待
登壇したのはインパクトスタートアップ各社に加え、インパクトスタートアップに投資するベンチャーキャピタルやサントリーホールディングス代表取締役社長の新浪剛史氏、東京大学総長の藤井輝夫氏、衆議院議員の平井卓也氏、塩崎彰久氏、鈴木英敬氏、現福岡市長でスタートアップ都市推進協議会会長を務める高島宗一郎氏ら。
オープニングセッションでは、東京都副知事である宮坂学氏が行政とインパクトスタートアップの関わりについて説明。「課題が複雑化したり問題のサイズが大きくなったり、行政だけで解決できることには限りが出てきた。例えばコロナウイルスワクチンを開発したのはスタートアップであり、地震時に活躍した衛星通信を開発したのもスタートアップ。これらはインパクトスタートアップの一例だ。既にスタートアップのサービスは行政が直面するメガスケールの社会課題解決に役立っている」とインパクトスタートアップへの期待を語る。
インパクトスタートアップ協会代表理事を務める米良はるか氏は「少子高齢化や災害を筆頭に、日本は課題先進国と言われてきた。これまで社会課題の解決主体は国や自治体だったが、課題が複雑化・分散化する中で民間の力も必要になってきている。その担い手としてインパクトスタートアップが必要だ」と述べた。
続いて開催されたのは「インパクトエコシステム」のセッションだ。「エコシステム」とは「生態系」を意味する言葉で、大企業や投資家、研究機関など、スタートアップに関連するプレイヤーが共存共栄すること。
アジアのスタートアップ・エコシステム構築に取り組むThe Edgeofの孫泰蔵氏は「10年前にシリコンバレーで『インパクトスタートアップを支援している』と話したら『慈善事業をしているのか』と言われた。逆に今は世界的にインパクトの創出が前提になっている」と、時代の変遷がわかるエピソードを披露。「ただ、インパクトだけならNPOでいいし、(経済的な)成長だけでも投資は受けられない。インパクトと成長を共存させる必要がある」と注意を促した。
衆議院議員の木原誠二氏は「政府がなんでも社会課題を解決できるわけではないため、インパクトスタートアップをサポートしていくことが重要だ」と語る。
高齢者の生活支援に農業用バイオ炭……10社がプレゼン
インパクトスタートアップ10社によるプレゼンテーションも行われた。スタートアップ10社が持ち時間4分で審査員と観客に向かってピッチを繰り広げた。
3つの審査員賞を受賞した株式会社TOWINGは、微生物を培養した高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を農業に活用するインパクトスタートアップ。宙炭を活用して収穫量が70%向上した農家もあると語る。
メイン賞に相当する「インパクトスタートアップピッチ賞」を受賞したのは、高齢者がポジティブに歳を重ねることを支援する株式会社AgeWellJapanだ。同社のスタッフがスマートフォンの操作を教えたり、行政サービスの活用を支援したりすることで、高齢者の生活をサポートしている。AgeWellJapan代表の赤木円香氏は受賞に際して「社会課題を解決しながら持続可能なビジネスをすることの難しさを創業してからずっと感じていた。高齢者が『人生はまだまだこれからだ』と思える社会をつくっていきたい」と語った。
ほかにもサミットでは、地方創生や人材育成、グローバル化など、様々な面からインパクトスタートアップについて語られた。本イベントのテーマは「トレンドから王道へ」。登壇者の多くが「インパクトは既に王道である」という趣旨の発言をしている。インパクトが創出できないビジネスは注目が集まらずに採用面で苦労したり、投資が集められないという時代に突入しているという。とはいえ「インパクトスタートアップ」の普及はまだまだこれからで、今後の展開が注目される。
この記事に関連するニュース
-
AgeWellJapan、IMPACT STARTUP SUMMIT 2024「インパクトスタートアップピッチ」で、大賞&四冠受賞。
PR TIMES / 2024年9月13日 17時40分
-
IMPACT STARTUP SUMMIT 2024 開催 ピッチイベントにおける受賞企業を発表
PR TIMES / 2024年9月12日 14時0分
-
株式会社TOWING 、カーボンクレジットの予約販売・創出に関するビジネスモデル特許を国内登録完了、海外登録に向けた活動に移行
PR TIMES / 2024年9月9日 10時45分
-
好評につき増席決定!IMPACT STARTUP SUMMIT 2024 ピッチ登壇を行うインパクトスタートアップ10社も決定
PR TIMES / 2024年8月22日 17時45分
-
UNERI、大阪府堺市がインパクトスタートアップをめざす事業者等を支援するプログラム「Sakai Next Impact Catapult」にて運営事務局を受託。
PR TIMES / 2024年8月16日 14時15分
ランキング
-
1ボーイング16年ぶりにスト突入へ、賃上げ合意できず…前回は50日間・経営にさらなる打撃か
読売新聞 / 2024年9月13日 15時30分
-
2「悪しき"昭和の組織文化"」は"職場を殺す"大問題 「古い価値観」を引きずったままの経営陣では…
東洋経済オンライン / 2024年9月13日 9時0分
-
3森田剛「グルメ番組で食べず炎上」への強烈な違和感 演者以上に、放送した番組サイドに募る"懸念"
東洋経済オンライン / 2024年9月12日 20時20分
-
4外国人の方がコンビニで「両替」しているのを見ました。日本円も頼めば崩してもらえるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月12日 9時30分
-
5セブン&アイを外為法上の「コア業種」に変更=財務省
ロイター / 2024年9月13日 16時28分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください