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【詳報】群馬・伊勢崎 “飲酒”トラックに…一家3人死亡事故 “過失運転”で起訴に「納得いかない」 遺族語る

日テレNEWS NNN / 2024年9月17日 1時11分

現在の事故現場(群馬・伊勢崎市)

GW最終日、群馬・伊勢崎市でトラックが乗用車に衝突し、2歳の子供を含む一家3人が死亡した事故。トラック運転手は“危険運転致死傷”で逮捕されるも、法定刑の軽い“過失運転致死傷”で起訴されました。起訴を受け、遺族が語ったことは。

事故が起きたのはゴールデンウィークの最終日、2024年5月6日でした。塚越湊斗ちゃん(2)、父親の寛人さん(26)、祖父の正宏さん(53)が乗った車はレジャー施設からの帰り道、群馬県伊勢崎市内の国道を走っていました。

信号待ちをしていたそのとき、対向車線をはみ出した1台の大型トラックが塚越さん一家の車など2台に衝突。塚越さん一家3人の尊い命が奪われました。

警察はドライブレコーダーの解析などを進め、8月20日、トラック運転手の鈴木吾郎被告(69)を危険運転致死傷の疑いで逮捕。警察によりますと、鈴木被告は勤務先の会社でアルコールチェックをしたあと、運転前に酒を飲み、急加速や急ハンドルなどを行って中央分離帯に衝突、反対車線に飛び出したとみられています。

しかし、危険運転致死傷容疑での逮捕から20日が経過した9月10日。前橋地検は飲酒運転については結論を出さず、より法定刑の軽い過失運転致死傷罪で男を起訴しました。

「危険運転致死傷罪」は故意に危険な運転をしたとされる場合で、刑の上限は懲役20年。一方、「過失運転致死傷罪」の上限は懲役7年となり、より軽い法定刑となります。

会見をおこなう遺族ら(9月16日)

湊斗ちゃんの母親、正宏さんの母親、寛人さんの兄は、16日、群馬県前橋市内で会見を行いました。1時間以上にわたった会見で、事故から4か月たったいまの心境を明かすとともに、起訴内容に「納得できない」と話しました。(ほか正宏さんの妻が書面でつづった心境が読まれました)

■家族で過ごすはずだった「3歳の誕生日」 家族の時間は理不尽に奪われた

事故で亡くなった塚越湊斗ちゃん(2)と父・寛人さん(26)(遺族提供)

「(亡くなった塚越湊斗ちゃんの)誕生日が(9月)28日にあるんですけど、前から夫(寛人さん)と誕生日はみんなで過ごせるねと。楽しみにしていて。(湊斗ちゃん)本人にもプレゼントなにがほしいって聞いて。家族で過ごすことを楽しみにしていたのでそれを迎えることができないのはとても悔しいです。3歳になるのを夫は楽しみにしていて、3歳になったらできることいっぱい増えるねと話をしていたので、3歳を迎えることができなくて、本人たちもすごく悔しがっていると思います」

会見中、涙ながらに息子の誕生日について語った塚越湊斗ちゃんの母親。これからもすくすくと成長していく姿を見られるはずだった湊斗ちゃん、そしてその姿を一緒に見守るはずだった夫の寛人さんと湊斗ちゃんの祖父・正宏さんとの大切な時間は、事故によって実現しないものとなってしまいました。

正宏さんの母親「お母さんが休みでいないときも家にきて一緒に食事したんですけど、家の中走り回っていた(湊斗ちゃんの)かわいい姿が頭から離れない。またひょっこり来るんじゃないかなっていう気持ちで。胸がつまります。本当に、仲のいい親子だったのにって思います。本当にあどけなくて優しい子で。いつもにこにこしていて、その姿が忘れられません」

寛人さんの兄「まだまだ成長して経験したであろうことを考えると胸がつまる。悲しくてしようがないです」

■“危険運転”より罪の軽い“過失運転”で起訴 そのとき遺族は…

湊斗ちゃんの母親「過失運転致死傷(で起訴)になったと聞いたときは、とにかくなんでという気持ちが強かったです」「あれだけの映像として証拠が残されていて、飲酒をしたことについても明らかに故意で飲んでいるものであって、さらには会社のチェックのあとに飲んだっていう悪質すぎる飲酒運転なのに、なぜそれが“危険運転”にならないのか」「それが“過失”になるのなら、何でもありな運転になってしまうのではという気持ちが強かったです」「“過失”になったときは、とにかくウソでしょっていう気持ちが強かったです。私としては“危険運転”で起訴されるものだと思っていたので、それがこの状況でよく“過失”にすることができたなっていう怒りもありました」「このまま“過失運転”で起訴されるのは到底納得できないですし、捜査を継続していただけているので、なんとかして“危険運転”になるように捜査は続けていってもらいたいです」

正宏さんの母親「どうしてそうなったのかが不思議だったんです。なんでそこにいっちゃうのかなって、まず。勾留期間も限度があるので証拠をしっかり固めないと完全な起訴にはならないのかなと思った」「聞いたときにはとてもショック。信じられなくて『うそでしょ』って言ったように、そんな気持ちがします」「怒りのほうが先に来てしまって。正宏の妻もかなりショックを受けたらしくて、ちょっと立ち直るのに大変な状況なのでしっかりと捜査していただいて、あの事故で過失っていうのはちょっと変だなと。絶対あれは“危険(運転)”のほかは何もないという感じがしますので。捜査に委ねるしかないので強くお願いしたい。そういう気持ちです」

寛人さんの兄「あれだけ飲酒してスピード違反したことがわかっているのに証拠不十分で過失運転致死傷になるのかっていうことでやるせない気持ちになります」「すごく加害者側に優しいなって思っているのでショックな気持ちが大きい」「集中力が低下したり寝られなくなりました」

■勤務中に飲酒…被告の勤務先への“不信感”あらわに

湊斗ちゃんの母親「会社側の対応としては、何を考えているんだろうっていうくらい、加害者本人だけが悪いみたいな対応を感じているので」「会社側としての今後の対応をどうしていくのかなどをはっきり教えてもらいたいなと思いました」「加害者の運転の仕方について何度も注意したという話を聞いていたが、何度も注意したということは、以前から問題があったということだと思うので、その時にちゃんと対応してもらえていれば、こんなことにはならなかったんじゃないかなと」

正宏さんの母親「会社側にも非常に腹立っています。もう少し管理をしっかりしていただかないと、トラックのような大きなものに乗っているので、一歩間違えば今回みたいなことが起きかねないので、運送業を経営している資格がないかなくらい思った」

正宏さんの妻(寛人さんの兄が代読)「勤務先の会社に対して、あの時、事故が起きたときに、すぐに荷物が運び出されたことについて人命より取引先のほうが大切だったのか。また、もし自分の大切な人が巻き込まれた際は、そのときは事故に対して同じように荷物を運び出すことができますかっていうことと。この事故は防ぐことができたと思っています」「前もアルコール検査にひっかかって業務ができないことがあったのなら、なぜもっと加害者に対して注意喚起ができなかったのか。アルコール検査に引っかかったのであれば解雇してもよかったのではないか」「なので勤務先の会社の管理責任があると思っているので弁護士と相談して勤務先の会社を訴える方向で話を進めていきたいと考えています」

■「あんな辛い思いして…」「悔しいだろう」亡くなった3人に思うこと

事故で亡くなった塚越湊斗ちゃん(2)と祖父・正宏さん(53)(遺族提供)

湊斗ちゃんの母親「やっぱり3人も奪われているので、事故の衝撃もひどかっただろうし、事故が起きる原因もありえない原因なので、これが“過失”のまま起訴されてしまうのは本人たちも悔しいだろうし、私たちも到底納得できないものだし、本人たちのこと考えると悔しくて仕方がないです」

正宏さんの母親「非常に無念じゃないかなと思っています。とてもかわいそうだったなと。ぶつかった瞬間はどんなだったのかな。あんな辛い思いしてこの起訴はなんだろうと、きっと思ってるんじゃないかなと」

寛人さんの兄「最近4か月経って、お父さん(正宏さん)と弟が夢に出てくるようになった。これから先まだまだ会えた分、夢で会うようになったのかなと思っています。湊斗のあんな小さい体ですごい辛い経験して、これから先のことを考えると、すごくかわいそうだなという気持ちがあります。お父さんと湊斗とまだまだお話ししたり、お出かけしたりしたかったので、悲しい気持ちでいっぱいです」

■罪の意識は…起訴された鈴木被告への「怒り」

湊斗ちゃんの母親「起訴されてから加害者に対しての怒りがさらに増えて、あれだけのことして“過失”で済まされてしまうのかと思うと本当に納得できないですし、本人も覚えてないと言っている部分もありますので、3人の命を奪ったという自覚を持って、しっかり起きたことに対して向き合ってほしいと思う」

正宏さんの母親「あまり罪の意識がなさそうな方らしいので、非常に腹が立っています。お酒を飲んだこともなんかあんまりおっしゃってないそうなので。もう本当にどうしていいか分からないくらい腹が立っています。それ以外にないですね。あんな形で事故を起こして3人もの命奪っておいて罪の意識を持っていないっていう、謝罪文一ついただいてないんですね。それは人間としても失格ではないかなと思っています」

寛人さんの兄(正宏さんの妻と連名での言葉)「加害者本人から直接謝罪の一言もないことに対して、すごい怒りと憎しみの感情があります。その中で過失運転致死傷罪と聞き、言葉を失ってしまいました。3人の命を奪ったのに“過失”で済むことに対してすごくもやもやして、やるせない気持ちでいっぱいですし、法を犯した人のほうが守られている感じがするので、すごく複雑な気持ち。なんのための法律なのかがわからなくなってしまっている状態です」

■交通事故遺族としてドライバーに訴えたいこと「人としてのモラルを」

会見を行う湊斗ちゃんの母親

湊斗ちゃんの母親「飲酒運転だけにかかわらず、事故はほとんどの事故は防げる事故だと思う。ひとりひとりの運転する意識がしっかりしていれば事故も減ると思う。ハンドルを握る人は目的地につくまでしっかり凶器を運転しているということを認識して運転してほしいと思う」

正宏さんの母親「基本にのっとった、運転する場合は運転の基本、お酒飲んだりしてはいけないというのをしっかり守ってほしい。今回の事故のように防げるものはたくさんある。人としてのモラルをもってやってほしいな。特にそれを職業としてる人は肝に銘じて毎日走ってほしい。こんな事故が早くなくなってもらわないと本当に辛い」

寛人さんの兄「トラックの飲酒や、スピード違反とか、あおり運転はたびたび見かけるので、トラック運転手に限らないが、きちんと運転マナーやモラルを守っていただいて、事故のないように運転していただければなと思います」

■亡くなった3人へ起訴の報告「していない」 遺族のこれから

およそ1時間におよんだ会見。会見後半、出席した遺族が記者からの質問に同様の回答をした場面がありました。

「加害者が起訴されたことは3人には報告していない」

会見の最後、湊斗ちゃんの母親は「私たちでできることは何でもやっていきたいので、なんとか過失運転致死傷から危険運転致死傷にできるよう動いていきたい」と語りました。

前橋地検は現在も「飲酒と事故の因果関係を調べている」としています。遺族らは“危険運転致死傷”での起訴を、そして事故の真相究明を願い続けながら、捜査の進展を待っています。

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