“昔の病気”ではない……「結核」で1500人超死亡、海外からの持ち込みで集団感染も マイコプラズマも流行【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2024年10月4日 11時8分
「昔の病気」と思われがちな結核。毎年1500人以上が死亡し、今年は前年を超える勢いで患者が増えています。マイコプラズマ肺炎も前回感染が拡大した2016年を上回る大流行となっています。感染が増える背景や症状、対策を医師に聞きました。
そこで今回の#みんなのギモンでは、「この秋要注意な感染症とは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●昔の病気…ではない結核
●同じせきでも…マイコプラズマは?
■過去5年と比べて患者が目立つ感染症
小林史・日本テレビ解説委員
「今年は、さまざまな感染症の流行が見られています。国立感染症研究所のデータによると、過去5年間と比べて、溶連菌感染症と手足口病、マイコプラズマ肺炎の感染が目立っています。さらに今年は結核も、増加に目立った勢いがあります」
「中でも気になる、結核とマイコプラズマ肺炎について詳しく見ていきます」
■郡山市の高齢者施設で「集団感染」も
小林解説委員
「まずは結核の気になる話です。福島・郡山市では、市内の高齢者施設で結核の集団感染が発生したとの発表がありました。これまでに34人の感染が確認されていて、このうち4人が発病しているということです」
「市内の別の医療機関に勤務する1人も発病し、接触した可能性のある約2700人の健康診断を行う方針です」
森圭介アナウンサー
「私が子どもの頃、40年ほど前の時点で結核は珍しい病気になっていたと思っていたので、びっくりしました」
桐谷美玲キャスター
「今でもかかるんだ、と驚きましたね」
■毎年1万人以上が新たに「結核」発病
小林解説委員
「過去10年間のグラフを見ても減少傾向にはありますが、それでも毎年約1万人以上が新たに発病しています。そして毎年1500人以上が命を落としています。昔ではなく、まさにいま気をつけたい病気の1つです」
「しかも気になるのは、今年の患者数です。集計方法が少し違うため参考ではありますが、国立感染症研究所が集計した9月22日までの患者数は1万1015人。前の年を上回る勢いで患者が報告されています」
■医師に聞く…集団感染が目立つ背景
小林解説委員
「感染症に詳しい国際医療福祉大学の松本哲哉教授に聞きました。最近集団感染が目立つ理由として、特に高齢者は体内に結核菌が残っている割合が高いことがあります。結核菌は一度感染すると、基本的には一生その人の体内にい続けると考えた方がいいそうです」
「菌をそのまま抑え込んで発病しないケースも多いですが、年齢を重ねたり、何か病気をして免疫力が下がったりすると、菌が再び増殖を始め、発病するケースがあるといいます」
「もう1つの理由は、アジア圏など外国から持ち込むケースです。比較的結核がまだ多い外国から若い世代が来て、職場や学校などで感染が広がり、そこから高齢者などにうつして集団感染になるケースです」
「海外ではこれまでの薬がなかなか効きづらい耐性菌の割合も高いそうなので、そうなると治療が難しくなるというやっかいな問題になります」
■タンの絡むせき…結核を疑うサインは
桐谷キャスター
「結核というと、せきが出るくらいしか症状が分からないのですが、『結核かも?』というのはどうやって気づいたらいいのでしょうか?」
小林解説委員
「まず松本教授によると、結核菌に感染したとしても約8割~9割の人は発病しないといいます。ただ発病した場合、最初は風邪のような症状ですが、注意していただきたいのは、タンの絡むせき、微熱・体のだるさが2週間以上続いている時です」
「このような症状がある場合には、結核を疑って医療機関を受診するようにしてください。他にも、体重が減ってきた、食欲がない、最近寝汗をよくかく、といった症状が出た場合はサインかもしれません。少しでも不安に思ったら、医療機関に相談してください」
■そもそも発病させないことが大切
鈴江奈々アナウンサー
「結核は昔と違って、抗菌薬による治療はできると思います。予防はどうなのでしょうか?」
小林解説委員
「赤ちゃんや乳幼児には、ハンコ注射のBCG接種が有効ですが、効果は約15年。このワクチンの効果は、大人になるまでに消えてしまいます。結核菌はいわゆる空気感染をするので、有効な予防法はあまりないということです」
「そのため運動や睡眠、たばこを吸わないなどで自身の免疫力を高め、そもそも発病させないことが非常に大切になります」
鈴江アナウンサー
「菌が入っても免疫力があれば発病しない、ということですね」
小林解説委員
「そして、もし発病しても抗菌薬による治療があります。数か月薬を飲み続ける必要がありますが、きちんと飲みきれば治せることも多いので、早期発見が重要になります」
■「マイコプラズマ肺炎」の特徴は?
小林解説委員
「次に、全国的に感染が拡大しているマイコプラズマ肺炎について。前回感染が拡大した2016年を上回る勢いで、今年は『大流行の年』と言ってもいいほど、患者の急増が目立っています。皆さんの周りではどうですか?」
桐谷キャスター
「(子どもが通う)保育園でもマイコプラズマ肺炎にかかりました、というお知らせが来ます」
小林解説委員
「結核の場合は2週間以上、タンの絡むようなせきが続いたら疑うことをお伝えしましたが、松本教授によると、マイコプラズマは1週間以上、乾いたつらいせきが続くことが多いです。しつこいけれど、あまりタンは出ないという人が多いそうです」
「夜も眠れないようなつらいせきがずっと続いていることが、マイコプラズマの患者には多いそうです」
忽滑谷こころアナウンサー
「お子さんに多い印象ですが、大人もかかるということですか?」
小林解説委員
「子どもで広がりやすいのは間違いないですが、松本教授の印象では、患者はむしろ20代・30代も多いといいます」
「マイコプラズマの特別な予防法は残念ながらないそうですが、やはり抗菌薬をきちんと飲みきれば多くの人が回復します。気になる症状がある方は受診するようにしてください」
森アナウンサー
「少しでも体調が悪い、せきが出るということであればマスクをしたり、手洗いをしたり、周りの人を守るということも必要になりそうですよね」
鈴江アナウンサー
「あとは換気などですかね。抗菌薬をしっかり飲むというところで、結核などは長く薬を飲む期間があるので、医師に指導された通りきっちり飲むことも大事になりますよね」
小林解説委員
「途中でやめずにしっかり飲みきるということですね。結核もマイコプラズマもやっかいな感染症ですが、早期発見が重要です。気になる症状は放置しないようにご注意ください」
(2024年10月3日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
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