裏金で「非公認」異例の選挙戦へ 無所属での厳しい戦い…戸惑いも【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN / 2024年10月14日 9時23分
1億4351万円──。自民党が今回の衆院選で「非公認」とした12人のいわゆる“裏金”の合計額です。その12人の中で、バンキシャ!は細田健一氏に注目。今回、無所属で出馬することを決めた細田氏。一体、どのような戦いになるのか。今回の衆院選を象徴する選挙区のひとつ、新潟2区を取材しました。(真相報道バンキシャ!)
◇
11日、新潟は土砂降りの雨だった。雨の中、たたずむ人が…。自民党の細田健一前衆院議員(60)だ。
自民党から非公認・細田健一氏
「1人はおぼつかないので」
「よろしくお願いします」
この細田氏。逆風が吹き荒れる中での選挙戦をしいられることに。
衆議院が解散した9日、石破首相率いる自民党は、いわゆる“裏金議員”あわせて12人を非公認とすることを発表した。その1人が政治資金収支報告書に564万円の不記載があった細田氏だ。
後ろ盾を失い、無所属での出馬へ。細田氏はこの日、支援者を集め「事務所開き」に臨んだ。
自民党から非公認・細田健一氏
「皆様方、一人一人の声、顔を思い浮かべると、私は感謝の言葉しか浮かんでまいりません」
「みなさん、私に力をお貸しください。そして私を助けてください」
しかし、いわゆる裏金問題に対して有権者からは厳しい声が…。
有権者
「なんで不記載にするんだ」
「許されることと、許されないことがある」
◇
この日、立ち上げたばかりの細田氏の事務所に運ばれてきたのは──。
バンキシャ!
「これなんですか?」
スタッフ
「選挙ビラ」
バンキシャ!
「これで2000枚。全部で?」
スタッフ
「8万枚」
さらに、室内には3万5000枚のハガキも。スタッフ総出でハガキ1枚1枚に何かを貼っていく。自民党「公認」の文字を白いテープで隠していた。
しかし、この翌日には黒塗りに。大量のシール貼りに手間がかかりすぎると見切りを付け、黒インクで上塗り作戦。だが、少し透けて見える。結局修正テープで文字を隠すことにしたという。
突然の非公認決定に、スタッフは「やっぱりちょっと理不尽なところはある」「もうちょっと早く言うべきだよね。ポスターも印刷してさ」と話す。非公認になると、ビラやポスターの枚数にも制限がかかるため、困惑していた。
選挙区で毎年行われている「狸の婿入り」祭りでは、細田氏のアピールにも熱が入る。たぬきメイクで次々と握手。にこやかに細田氏と話す有権者。しかし、厳しい声が…。
有権者
「おいでになられて、握手したり、好印象は持たれるかもしれないけど」
「説明はないと、やっぱりそれは不安材料。『はい』って言って一票を入れるのはできないと思います」
有権者
「失敗は失敗としてやり直し。頑張れるのであれば応援したい、そんな気持ちでいます」
地元有権者の声に対し、細田氏は「派閥からお金はいただきました。すべて自分個人の名前で、(自民党の)政治団体に振り込んで、一銭も使途不明金であるとか、行き先のわからないお金はありません。派閥からの資金ということで、収支報告書を訂正すれば、法的にも問題ないということも関係機関から話をいただいて、法的な処理も済んでいます」と話した。
◇
“裏金議員”12人を非公認とするに至った舞台裏とは。
鍵となったのは5日の夜。石破首相をはじめ、森山幹事長、小泉選対委員長、そして、総理の最側近である赤沢経済再生担当大臣が参加した会合だった。
自民党本部の一室に集った4人。石破首相はこの時点ではまだ、いわゆる“裏金議員”への対処をどうするか決めきれず、思い悩んでいたという。
苦悩していた石破首相に、会合ではあるものが示された。それは、自民党が極秘に行った選挙の情勢調査だ。見てみると、「自民党が苦戦する」との情勢。特に比例代表の議席が減りそうだという内容だった。
石破首相は「裏金と関係ない議員を落とすわけにはいかない」「決断しなければ、自民党自体がつぶれてしまう」と考え、少なくとも数人を「非公認」とし、ほかの“裏金議員”も比例代表での重複立候補を認めないことに決めたという。
では、具体的に誰を非公認とするのか──。
まず、党員資格停止処分などを受けた旧安倍派の幹部ら6人はすんなりと決まった。その後はさらに、「選挙で勝てる見込みのない裏金議員」も非公認とする方向で検討を継続。
そして、8日。石破首相、森山幹事長、小泉選対委員長の3人が再び会合を開いた。すると森山幹事長がこう発言したという。
森山幹事長
「非公認を増やすのは、慎重にやるべきだ」
党内の融和を重視したという森山幹事長。しかし、最終的には「情勢調査の数字が悪い議員は努力不足だ」との石破首相の考えが通り、当選が見込めない議員ら6人を追加で非公認とすることが決まったという。
◇
いわゆる“裏金問題”で非公認となる中、出馬を決めた細田健一氏。その細田氏と同じ選挙区で戦うことになるとみられるのは、立憲民主党の菊田真紀子前衆院議員だ。
12日に開いた決起集会。
立憲民主党・菊田真紀子氏
「ニュース見てたら泣いてましたね。『助けてください』。冗談じゃないですよ。冗談じゃないですよ、みなさん、怒ってください」
「この裏金問題は、本当に心から反省をして、本当に誠実な心を持っている人であれば、選挙に出るべきではないと思うんです」
菊田氏は“裏金問題”を厳しく批判した。
バンキシャ!
「今回の選挙戦で、最も訴えたいことは?」
立憲民主党・菊田真紀子氏
「政治への信頼が失墜してる大きな原因が派閥裏金問題。これをうやむやにしてはいけない。きっちり自民党に反省させないといけない。けじめをつけたいと思っています」
「政治改革を断行できるのは政権交代。私たちしかできないと強く訴えて、みなさんにご共感していただきたい」
◇
そして、この選挙区からはもう1人。日本維新の会の井上基之氏。11日、街頭演説に立った。
日本維新の会・井上基之氏
「新潟2区が全国ニュースに取り上げられていました。いわゆる裏金問題に関わる自由民主党の非公認の話題です」
こちらも冒頭から話題は、自民党の裏金問題について。
日本維新の会の井上基之氏
「政治資金の問題の本質は、不記載・未記載というかたちで、国民のみなさんを軽視していることに大きな問題がある」
およそ12分の演説。その半分以上を使って、裏金問題を踏まえた政治改革を訴えた。
バンキシャ!
「論争が裏金ばかりで、政策について議論が尽くされないとの声にどう応える?」
日本維新の会の井上基之氏
「演説でも触れましたが、大前提なんですよね。政治家自身がそこをしっかりするのは当たり前にやらなきゃいけないこと。それができていない現状だから、そこが争点化してしまう。本来は政策ベースの今後の国民生活をどうしていくのかが、議論の中心になるべきだと思う」
(10月13日放送『真相報道バンキシャ!』より)
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