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タクシー不足による「交通空白」にどう対応? 衆院選での「ライドシェア」議論は

日テレNEWS NNN / 2024年10月20日 9時0分

日テレNEWS NNN

「タクシーが、つかまらない」。誰もが経験したことがある、この経験、最近さらに多くなっているのではないでしょうか。タクシー不足を埋める期待があるのがライドシェア。その推進について、衆院選の各党の公約はどうなっているのか、今後の議論の行方を考えます。

■日本各地でタクシー不足…ライドシェアの現在地は

タクシーが、つかまらない状況。背景にあるのは、タクシーの需給のバランスの崩れです。国交省によりますと、2007年度ごろをピークに、車両数は減少傾向。ドライバーの高齢化も進んでいます。

一方、インバウンドの急増などにより、タクシーの需要は増大しています。日本を訪れた外国人の数は今年9月時点で、すでに昨年の年間累計の約2506万人を超えました。

さらに、タクシー不足問題は過疎化が進み、電車やバスの本数が減少している地方においては「移動の足」のひっ迫にもつながり、都市部以上に状況は深刻です。

こうした中、推進の是非が議論になっているライドシェア。ひと言で「ライドシェア」と言っても、その種類は様々です。

まず今年4月に始まった「日本版ライドシェア」。タクシーが不足している地域や時間帯に絞って導入され、タクシー会社の管理のもと、一般ドライバーが自家用車を活用して乗客を運ぶことができるようになりました。

また、自治体やNPO法人などが運営主体となり、一般ドライバーが自家用車で乗客を運ぶ「公共ライドシェア」の取り組みも各地で始まっています。

ただ、場所や時間帯の制限があることなどから、あまり活用が広がっていないのが現状です。

また、「相乗り」という選択肢もあります。乗降する地点や日時を選んで予約し、他の客と一緒に乗車するサービスで、通常のタクシー料金よりも安く利用できることが特長です。空港への送迎シャトルなどで提供されているほか、タクシー配車アプリの「GO」も、この冬から一部地域でサービスを開始すると発表しています。

ただ、一部の関係者からは「乗降地点が決まっているため、乗客にとって自由度が低く、ビジネス上のメリットも薄い。どこまで広がるか分からない」と、普及に懐疑的な見方も出ています。

一方で、海外で展開されている「UberX Share」のような「乗り合いサービス」を求める声も挙がっています。「乗り合い」とは、客が一度乗車した後にも、他の乗客が乗ってくるサービスのことで、日本では原則、バス会社にのみ許可されています。「UberX Share」などのサービスでは、乗客は自由に乗降地点を指定することができます。他の乗客をピックアップするために遠回りすることもありますが、その分、料金は安くなります。

ただ、日本では一般のドライバーや他の乗客と同乗する際の安全性を危惧する声も根強くあります。これに対し、Uberは「ドライバーと乗客の相互評価システムや、乗車状況の共有システムなど、乗客の安全対策は取っている」と説明しています。

■ライドシェア拡大 各党の考え方は?

それでは、今回の衆院選で各党は、公約でライドシェアについて、どのような方針を示しているのでしょうか?

●自民党

「公共・日本版ライドシェア等の取り組み強化など、自治体と地域関係者が連携・協働する『リ・デザイン(再構築)』を全国展開する」ことで、「交通空白」の解消を目指すとしています。

●立憲民主党

政策集の中で、ライドシェアについて、「諸外国(韓国、トルコ、台湾など)でも禁止されており、一旦認めた国でも、諸問題や裁判の判決等により、禁止や再規制を行う傾向にある国が、OECD加盟38か国中で8割に及ぶ」「持続可能な地域公共交通の実現とも矛盾する」としています。公約では、地域の公共交通の持続可能性を高めることを目指すとしています。

●日本維新の会

経済成長のための規制改革の具体事例として、ライドシェアの推進を挙げ、「ライドシェアや民泊普及の障壁となる規制を撤廃し、シェアリングエコノミーを強力に推進する」としています。

●公明党

「日本版ライドシェア」や「公共ライドシェア」について、「実施効果を丁寧かつ継続的に検証する」とした上で、配車アプリの普及なども組み合わせて、「交通空白」の解消に向けて取り組むとしています。

●共産党

「ライドシェア普及の促進では、地域公共交通衰退の根本的な解決につながらないばかりか、乗客の安全が保障されない乗り物が増えかねない」としています。その上で、地域の公共交通の維持のための財政支援や予算を増やすべきだとしています。

●国民民主党

「ドア・ツー・ドアの乗り合いタクシー(デマンドタクシー)、コミュニティーバスなどを、国の基準の見直しや予算措置で、強力に支援する」としているほか、タクシーのない地域では、住民委託制度を創設するとしています。

●れいわ新撰組

ライドシェアについての具体的な記述はありませんが、公共交通の拡充を訴えています。「地域の『足』でもある公共交通の継続的な運営を国が支援し、再公営化も検討する」としています。

●社民党

ライドシェアについての言及はありませんでしたが、地域公共交通を充実させるために、地方交付金を倍増するとしています。また「通院・買い物など、すべての人の『移動の権利』を保障する」としています。

●参政党

記述なし。

■選挙きっかけに議論活発化できるか? 識者の見方は

こうした各党の公約について、野村総合研究所の木内登英氏は「選挙の焦点が物価高対策や消費税率の引き下げの是非など、目先の問題になっていて、(ライドシェアなど)規制改革が議論のテーマになっていない」と分析しています。

木内氏は、その上で「ライドシェアの議論には、交通弱者の救済と、規制改革によって競争を促し、経済の効率を高めるという2つの側面がある。本来は、お金をばらまくより、経済の効率を高めることを議論する方が重要だ」と指摘しています。

衆院選を経て、ライドシェアをめぐる議論が、どのように動いていくのかにも注目です。

(経済部・上野美菜)

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