【ひと目で分かる政策比較】「最低賃金の引き上げ」各党の公約は?
日テレNEWS NNN / 2024年10月23日 19時6分
衆議院選挙の投開票まであと4日です。「news every.」では「ひと目で分かる政策比較」と題して、各政党の公約を整理してお伝えしています。23日は各党が掲げる「最低賃金の引き上げ」について、経済部の渡邊翔記者が解説します。
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日本テレビ経済部 渡邊翔記者
「まず現状として、今月から各都道府県で順次改定されている今年の最低賃金の全国(加重)平均は1055円でした。これを今回『1500円まで引き上げる』と公約にうたう政党が非常に多いのですが、実現するとしている『時期』に違いがあります」
経済部 渡邊翔記者
「まず立憲民主党は、公約では最低賃金1500円以上を掲げています。時期に関する記載はありませんが、これまで発表した政策では、段階的に引き上げるとしています」
「自民党は、公約に具体的な額や時期はありませんが、石破総裁が首相としての所信表明演説で『2020年代に全国平均1500円』を目指すとしています。公明党は『5年以内に全国(加重)平均で1500円の達成』。いまから5年以内だと2029年の秋ごろまでなので、自民党の言う2020年代と足並みがそろっています」
「共産党・れいわ新選組・社民党は全国一律で1500円、または1500円以上にすみやかに引き上げるべきとの考えです。このほか、国民民主党は『全国どこでも時給1150円以上を早期に実現』。日本維新の会と参政党は、記載がありませんでした」
鈴江奈々キャスター
「いま全国平均で1055円ですが、各党が掲げるこのペースで、1500円に引き上げていくのは現実的な目標と言えるのでしょうか」
経済部 渡邊翔記者
「普段、企業の取材をしている身からするとそうは思えないのが正直なところです。これ単純比較はできないんですが、イメージを持ってもらうために、たとえば非常に好調と言われた今年の春闘、中小企業の賃上げ率の平均は4.45%で、30年以上ぶりの高水準でした。ただ、たとえば5年以内に1500円にするなら4.45%ずつ上げていくのでは足りないんです。毎年、何%ずつ上げればいくと思いますか?」
鈴江キャスター
「1000円を5%でも50円ですから…倍ぐらいのペースでしょうか。1割ぐらいでしょうか」
経済部 渡邊翔記者
「単純計算すると、毎年7.3%ずつ上げないといけないんです。しかも最低賃金は法律で決められた制度なので、どんなに小さいお店でも、個人商店などでも、全ての現場で上げないといけません」
鈴江キャスター
「最低賃金というのは、法律的にみんなが守らなければならないという水準ということですね」
経済部 渡邊翔記者
「はい。給料が一番低い層の人たちを守る制度ですから。そして各党が掲げる急速なペースの引き上げについては経済団体のトップの間でも反応が割れています」
経済部 渡邊翔記者
「経団連の十倉会長は『とうてい達成不可能だ、という目標は混乱を招くだけ』と慎重な立場です。全国の中小企業が加盟する日本商工会議所の小林会頭も、地方の中小企業に大幅な賃上げの余裕はなく『各党が掲げる地方創生と矛盾する』と苦言を呈しました」
「一方、経済同友会の新浪代表幹事は、『払えない企業は駄目だ』と話しています。一見突き放した言い方ですが、高い賃金を払える企業が生き残っていくことが、結果的に人々の生活レベルの向上につながるという考え方です」
桐谷美玲キャスター
「とはいえ、やっぱり経済そのものが良くなっていかないと、お店などでも最低賃金を引き上げられないですよね」
経済部 渡邊翔記者
「その通りです。最低賃金と同じくらい大事なのは、企業が業績を伸ばしていけるような産業政策や中小企業と大企業の取引の適正化などを通じて、企業が賃上げできる環境を整えていくことです」
「また最低賃金が急速に上がっていくと、パートで働く主婦の方々などが、扶養から外れる年収106万円、130万円などの『年収の壁』に早く到達してしまい、かえって働くのを控えてしまう、という問題もあります。この点の改革もセットで必要です」
「各党の公約を見る際には、最低賃金の額という『聞こえの良い数字』だけではなく、賃上げ施策や社会保障制度改革の具体策が伴っているか、しっかりと見る必要があります」
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