名城大の谷本七星 主将として“重圧”を背負った苦悩と奮闘の日々 「感謝」を胸に全日本8連覇を目指す
日テレNEWS NNN / 2024年10月27日 7時8分
全日本大学女子駅伝が27日、午後0時10分に号砲。前人未到の8連覇を目指す名城大学、キャプテン谷本七星選手は、その重圧を背負ってきました。
世界選手権マラソン代表の加世田梨花選手(ダイハツ)やパリ五輪5000メートル代表の山本有真選手(積水化学)らを輩出した駅伝名強豪校。学生最高の舞台、全日本大学女子駅伝では、7連覇中です。
谷本選手は、この大会1年生のときに4区を走り、いきなり区間新記録でデビュー。昨年はアンカー6区を託され、2位と15秒差でタスキを受け取りましたが、連覇を守り切りました。現在3年連続区間賞を獲得し、4年連続区間賞となれば史上4人目の快挙となります。
■谷本キャプテンの“素顔” チャームポイントの眼鏡の秘密
その横顔はずばり文武両道。成績はずっと“オール5”で本が大好きで「読書をすることは先人たちの経験(を得ること)。自分だけが経験しているんじゃないんだと思えるので、楽になるから読んでいる」と話します。一方で「Dr.スランプ」アラレちゃんのコスプレをするなど、チームの盛り上げ役。
またチャームポイントの眼鏡にはある秘密があります。
「緑膿菌が目の中で繁殖して...お医者さんにもからも失明するかもしれないと言われていて」
陸上のため進んだ名城大学で入学早々に起こった大きな試練。失明は逃れ、そこからメガネをつけて競技へ。全国のメガネランナーを勇気づけたいとも思い、それもまた原動力だといいます。
■主将として感じる連覇への“重圧”
今年、全日本8連覇を目指す駅伝女王は新しいチームへ。22人の部員をまとめるキャプテンに4年生の谷本選手が指名されました。
しかし、待っていたのは試練の連続。相次いでいた主力のケガに加え、連覇への重圧やライバルの追い上げを感じ、自身の調子も上がらず。
日記には“自分のことより何倍もチームのことについて考える。不信になりそう”と。「今までだったら日記に私の視点で私のことを書いていましたが、今は自分2割、チーム8割になっちゃって自分に集中できず、結果が出てこないなって思います」と思いを明かしました。
ある日のミーティングでは、米田勝朗監督から「駅伝はチームでやる競技なので、走る走らない関係なくチームの一員である以上は責任を持って自分がベストの状態を秋に向けて作れるかどうか。できなければいよいよ7連覇でストップする」と、その言葉をうなずきながら聞くキャプテンの姿がありました。
■転機はふるさとの広島 “感謝”を胸に8連覇へ挑む
これまで先輩が築いてきた7連覇の歴史。キャプテンとしてその責任の重さを感じていた中、帰ったのはふるさとの広島です。
陸上をやめたら教師になる。第二の夢に向かって、走ることは一旦忘れ、3週間、教育実習で生徒たちに向き合います。
迎えた最終日に、教え子たちからサプライズ。
「谷本先生3週間ありがとうございました 全日本8連覇、オリンピック出場、応援しています」
メッセージが書かれた日の丸を受け取り、思わず涙を流します。
「世界ってめっちゃ広いから、いろんな世界を見てほしい。ネガティブなこととか辛いことって、絶対自分に将来かえって来るし、強みになるから、いっぱいチャレンジしてたくさん失敗して成長してほしいのが今の気持ち、一番伝えたいことです。みんなありがとうございました」
人は教えることで、教わるもの。「リフレッシュというか、色んな方向から考えるきっかけを与えてもらって、良い期間になった」と充実の3週間を過ごしました。
小学生の頃からチャレンジ精神旺盛。自転車も水泳も走るのも大好きだった谷本選手の将来の夢は、「感謝のできるマラソン選手」です。
キャプテンになった今も、思いは変わりません。練習は必ずある言葉から始めます。
「感謝を胸にジョウショウ、メイジョウ」
これは今年度のチームスローガン。“ジョウショウ”には、常勝、常笑、上昇の思いが込められています。
学生生活最後の大一番。支えてくれた全ての人に「感謝」を込めて、杜の都を駆け抜けます。
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