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【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(上)

日テレNEWS NNN / 2024年11月1日 8時11分

「幌延深地層研究センター」地下250mの坑道内

原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」。たまり続けるこの「核のごみ」を国内のどこに処分するのかは今も決まっていない。我々は今夏、廃棄物を地下深くに処分する「地層処分」の研究を行う「幌延深地層研究センター」を訪ねた。

(報道局総合ニュースセンター 野田 美佳子/福澤 真由美)

■「核のごみ」最終処分場をめぐり動きが… 

原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分場選定をめぐり、今年5月、新たな動きがあった。原発立地自治体

としては初めて、佐賀県玄海町が、選定の為に行う調査の第一段階にあたる"文献調査"の受け入れを決めたのだ。文献調査は北海道の2自治体で既に開始されているが、調査は3段階あり、選定までには20年程度かかる見通しだ。

長い年月がかかることもあって、「最終処分場」への一般市民の関心は高いとは言えない。フィンランドの最終処分場「オンカロ」の名前を聞いたことがあっても、国内で1970年代から地層処分の研究が行われていることをほとんどの人は知らないのではないだろうか。

去年8月、私たちは福島第一原発と処理水放出の様子を視察したが、今回は最終処分場を造る際に必要となる「地層処分技術」の研究を行っている、日本原子力研究開発機構「幌延深地層研究センター」を取材する機会を得た。

地層処分技術の研究は、現在どのような形で進められているのか。「研究」だけにとどまらず「最終処分場」とされるおそれはないのだろうか。

私たちは8月30日、東京から稚内へ直行便で向かった。

■北海道・幌延町とは

「幌延深地層研究センター」は、北海道の道北・幌延町にある。

幌延町は稚内空港から車で約1時間で人口は2000人ほど。雄大なサロベツ湿原が広がり、基幹産業は酪農。センター隣の観光牧場ではトナカイたちが群れを作って散歩していた。

「幌延深地層研究センター」 トナカイが描かれた建造物の下に坑道が掘られている

センターは「原子力関連施設」ではあるが、放射性廃棄物が存在したことは実は一度もない。

研究を推進するにあたり、日本原子力研究開発機構(当時は核燃料サイクル開発機構)と北海道・幌延町は「三者協定」を結び、研究中と研究終了後の放射性廃棄物の持ち込みを禁じている。ここはあくまで「地層処分」の研究施設なのだ。

観光牧場のトナカイたち

■研究施設の設置経緯

そもそも、なぜここに地層処分の研究所が設置されたのだろうか。

地層処分を行うには、活断層や火山の近くなどを避けた長期的に安定した岩盤が必要となる。

日本の地質は主に「結晶質岩」と「堆積岩」に分けられ、昔、海の底だった幌延町には研究対象となる厚い堆積岩が存在することが確認されている。

さらに地下深い場所に塩分濃度の高い地下水もあり、サイクル機構が既に研究を進めていた「結晶質岩・淡水系の地下水」を対象とした施設(岐阜県瑞浪市)と対比できる特徴を有しているのだ。

処分方法を巡っては、「氷床処分」や「海洋投棄」が国際条約で禁止されているほか、地上管理は地震などの自然災害や戦争のおそれなどがあり、現実的な方法として「地層処分」が世界的な流れとなっている。

日本国内で原発が運転開始されたのは高度成長期にあたる1966年。地層処分の研究が開始されたのは1976年のことだ。

幌延町議会は1984年、放射性廃棄物を持ち込む研究施設「貯蔵工学センター」の誘致を決議。しかし「研究施設がなし崩し的に最終処分場にされるのではないか」との反対運動が起こり、1990年、北海道議会が設置反対を決議した。

こうした中、2000年、処分場の選定プロセスを定める法律が制定され、地層処分事業の実施主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)が発足。「研究と処分場選定は明確に区別」されることになった。

幌延町内で見つけた看板

これにより幌延深地層研究センターは放射性廃棄物を持ち込まない「ジェネリック研究施設」として位置づけられ、北海道知事が受け入れを表明。翌年から研究を開始したのだ。

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