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【ルポ】原発から出る「核のごみ」どう処分?「地層処分」研究の最前線へ!(下)

日テレNEWS NNN / 2024年11月3日 8時11分

日テレNEWS NNN

原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」。その最終処分場は、選定から閉鎖に至るまでで約1世紀。その後数万年にわたり安全を確保する必要がある。想像もつかない遠い未来のために研究を続ける技術者の想いは…。

(報道局総合ニュースセンター 野田 美佳子/福澤 真由美)

■研究データの活用

原発から出る使用済みの核燃料を再処理し、最終的に残る「核のごみ」=高レベル放射性廃棄物をどう処分するのか。原発を保有する全ての国が直面する課題だが、幌延のように大がかりな研究拠点は国内はもとよりアジアでも類を見ない。

幌延国際共同プロジェクト・合同タスク会合(写真提供:日本原子力研究開発機構)

このため、センターではドイツ・イギリスなどと国際共同プロジェクトを組み、8つの国と地域の11機関で協力しながら研究を進めている。今年6月には国際会議も行われた。幌延で得られるデータは各国の最終処分技術の確立にも役立つだろう。

■地層処分研究の今後は…

東京電力福島第一原発の事故から間もなく14年。仮に原発を今すぐ全て止めたとしても、これまでの運転で出た放射性廃棄物は処分しなければならない。一方で去年、国はそれまでの消極的な原発政策を大きく転換、既存の原発の再稼働に注力するとともに、将来は新たな原発の増設も含め、積極活用へと舵を切った。高レベル放射性廃棄物の処分問題は、ますます重要になってきている。

今年3月末時点で2530本ものガラス固化体が既に存在し、全国の原発の使用済み核燃料プールの貯蔵率は平均で約80%だ。現在の研究計画は2028年度末で終了し、掘り続けられた長大な坑道は、その後埋め戻される予定となっている。一方でその研究成果をつぎ込むはずの実際の最終処分場については、建設の見通しは全く見えない。処分地の選定だけで20年以上かかる。

処分地選定から操業を経て閉鎖に至るまでで約1世紀。その後数万年にわたって安全を確保することになるという壮大な地層処分計画。計画の全てが終了するとき、もはや今の人類はいないだろう。この日私たちを案内してくれたセンターの舘副所長に地層処分の研究を続ける思いを聞いた。

幌延深地層研究センター 舘幸男副所長

舘副所長

「3.11の原発事故や社会情勢により、原発の安全性について世の中から厳しい意見があることは承知している。しかし、最終処分は一番重要な課題。少しでも前に進め、技術を長期的にしっかりつないでいくための人材育成にも取り組んでいきたい」

折しも今年8月、世界初の高レベル放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」で試運転が始まった。フィンランド政府が地層処分の方針を決めたのは1980年。40年以上の歳月を費やし、ようやく処分のスタートラインに立った状態だ。

東立坑は9月に深さ500mに到達した(写真提供:日本原子力研究開発機構)

処分地選定は思うように進んでいないが、国内に少なくとも1か所は最終処分場の建設が必要とされている。舘副所長は「将来的にどこが候補地になったとしても、最終処分場を造ることができるよう、今できる研究を最大限進めることが必要」と話していた。

■最終処分は未来に対する“責任”

技術革新によるエネルギー効率の向上や省エネの進化によって、国内での電力使用量は今後減っていくとの見方が、かつてはあった。しかし生成AIを含む新たな技術の出現により、電力需要はむしろこれから増えていくとの見方に変わりつつある。

そうした中、政府は原子力の積極利用に大きく舵を切った。青森県の中間貯蔵施設への使用済み核燃料の搬入も始まった。

幌延深地層研究センター地上施設

我が国が今後原発を積極利用するのであれば、そこですでに生じた「核のごみ」、さらに今後生じるとみられる「核のごみ」のいずれからも目を背けず、最終処分のあり方について考える必要がある。

それは遠い未来の人類に対する我々の責任でもある。

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