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北朝鮮兵の戦闘投入…ウクライナ軍攻撃から生き延びた兵士? SNS映像を検証【バンキシャ!】

日テレNEWS NNN / 2024年11月4日 10時0分

日テレNEWS NNN

北朝鮮の派兵問題です。数日以内に北朝鮮軍の兵士をウクライナ軍との戦闘に投入との見方もあるなか、SNSに投稿された動画で、ウクライナ軍の攻撃から生き残った北朝鮮兵だと話す、負傷した人物が…。この映像は本物なのか?「バンキシャ!」が検証しました。【バンキシャ!】

1日。

バンキシャ

「こんにちは」

ウクライナ軍 国民抵抗センター 報道官

「取材に応じられるのは25分間だけです」

バンキシャが話を聞いたのは、ウクライナ軍の特殊部隊傘下で情報収集を行う機関。

バンキシャ

「ロシアに派遣された北朝鮮兵士について、わかることを教えていただきたいです」

ウクライナ軍 国民抵抗センター 報道官

「現在、北朝鮮兵士はロシアのクルスクに入り、ロシア軍と同じ任務につくため訓練を受けています。現地の状況を学んでいるようです」

ウクライナ軍によると、ロシア側は北朝鮮の兵士を戦闘に参加させる準備を進めているという。(ウクライナ戦略コミュニケーション・情報安全保障センターのSNSより)

日本時間、1日。アメリカのブリンケン国務長官は北朝鮮の兵士8000人がロシアのクルスク州に配備され、戦闘は数日中に始まるとの見方を示した。

ところが、ウクライナを支援する団体は、10月25日にすでに北朝鮮軍とウクライナ軍が武力衝突したと発表した。

Blue/Yellow共同創設者 ジョナス・オーマン氏

「北朝鮮兵士が1人だけ生き残ったとみているが、捕らえることはできなかったようで、彼の生死は不明だ」

北朝鮮軍が“すでに戦闘に参加”しているとの情報。その後、ある動画が出回った。

バンキシャ

「ありました。こちらですね」

映っているのは、病室で手当てを受けているような人物。(親ウクライナ派のSNS)

北朝鮮兵士とみられる人物

「クルスクに到着すると、戦闘に参加するように言われた」

「ウクライナ軍は最先端兵器を持っていた」

朝鮮語で「兵士として戦った」と話す。動画には英語の字幕もついていた。この動画は本物なのか?バンキシャは、脱北者とともに徹底分析した。

10月31日、ある1本の動画がSNS上を駆け巡った。顔の大半が包帯とガーゼで覆われ、目元が腫れ上がった人物が横たわっている。そして朝鮮語で話し始める。

北朝鮮兵士とみられる人物

「ロシアの野郎は、攻撃戦に何の偵察もせず、私たちが使用する兵器も与えてくれなかった」

「私たちの部隊の人数は40人だったが、仲間はみんな戦死した」

「頭が吹き飛ばされて、私は遺体の下に隠れていたため生き延びた」

「自分の目でたくさんのロシア兵の遺体と破壊された戦車を見た」

「プーチンはこの戦争で負けるだろう」

この人物は、北朝鮮の兵士が配備されたとされるクルスク州で戦闘に参加し、ウクライナ軍の攻撃から、ただ1人生き残ったと話した。

この動画の信憑性を調べるため、バンキシャ!は韓国で取材。15年以上前に脱北したという北朝鮮の元兵士に動画を見てもらった。すると、気になる単語が2つあったという。

1つ目は、北朝鮮特有の言葉。

脱北兵士 イ・ウンギルさん(43)

「『祖国解放戦争』という言葉は、北朝鮮だけで使用している言葉です」

改めて動画を見てみると…

北朝鮮兵士とみられる人物

「祖父から、祖国解放戦争の話を聞かされたが(戦争というのが)ここまでだとは知らなかった」

確かに「祖国解放戦争」という言葉を使っていた。

2つ目は、北朝鮮軍が使う言葉。

脱北兵士 イ・ウンギルさん(43)

「攻撃戦という単語は軍用語で、北朝鮮軍で使用する言葉です。私が見る限り北朝鮮兵士に間違いない」

言葉を聞く限り(動画の人物は)北朝鮮の兵士で間違いないという。本当に戦闘はあったのか――。

一方、不自然な点も見つかった。

実際の音声と英語字幕を翻訳して並べると、分量にかなりの差がある。どういった言葉が増えているのか。字幕を見ていくと、「金正恩総書記」の名前が。ところが動画の言葉を聞いてみると…

バンキシャ

「全部聞いたんですけど、『金正恩』という言葉はなかったです」

字幕

「ウクライナ人は全員を殺したが、その責任はロシア軍とプーチン大統領にある。我々の偉大な指導者である、金正恩氏を欺いた」

ロシア軍やプーチン大統領を責めるような言葉が続いていた。ほかにも…

字幕

「クルスク地区は、もうロシアのものではない。ウクライナ軍は強力な兵力で陣地を固めており、ロシア軍はウクライナ軍を追い出すことができていない」

動画の音声にはない、ロシアに対する批判の言葉が加えられていた。

この動画は本物なのか――。ウクライナ軍の関連組織にも直接聞いてみた。

ウクライナ軍 国民抵抗センター 報道官

「この動画は初めて見ました」

バンキシャ

「彼はウクライナ軍と交戦して唯一生き残ったと(話している)」

報道官

「武力衝突や銃撃戦など直接的な攻撃はしていません」

北朝鮮の兵士との直接的な戦闘は確認できていないとした。

ウクライナのゼレンスキー大統領も「現時点で北朝鮮兵力は戦闘に参加していない」と発言していた。しかし…

報道官

「このようなケガをする可能性はあります」

バンキシャ

「可能性があるんですか」

報道官

「あります。我々はドローンを飛ばし攻撃を行っていますので」

直接的な戦闘は否定したものの、ドローンによる攻撃でロシア軍の近くにいた北朝鮮の兵士が巻き込まれた可能性はあるとした。

北朝鮮の部隊が1人を除いて“全滅”したとする情報を公表したウクライナの支援団体に、改めてこの動画について聞いてみた。すると…

Blue/Yellow共同創設者 ジョナス・オーマン氏

「この映像の兵士が話している内容からして、私が知っている事案とは別だ」

公表したのは、この動画とは別の衝突だと主張した。

ジョナス・オーマン氏

「私たちが連携している部隊が関わっている衝突が、少なくとも1度(北朝鮮軍と)衝突したことを確認している」

「公開しないことになっているので見せられないが、私は、死亡した兵士のヘルメットに北朝鮮のワッペンがついている動画を確認した」

動画の信憑性はわからないとしたが、ドローン攻撃で、すでに北朝鮮の兵士に被害が出ていると断言した。

この動画について、安全保障に詳しい日本の専門家は…

明海大学 小谷 哲男 教授

「この動画がどこまで本物なのかというのは、まだ判断できないと思います」

「ロシア側もそうですし、ウクライナ側もSNS上での動画などを通じて“情報戦”を行っています」

「相手の考え方を変える、あるいは意志をくじくために様々な“工作活動”を行っていますので、その一環である可能性は否定できない」

*11月3日放送「真相報道バンキシャ!」より

この記事の動画はこちらから再生できます

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