“世界初”のダム建設現場、AIで重機も無人化…「人手不足」解消の切り札に? 桝が見た最新技術!【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN / 2024年11月4日 10時27分
「好きなことで、カラダにいいこと。」をテーマに、日テレ系の様々な番組で健康になるためのきっかけを考える「カラダWEEK」。今回、「バンキシャ!」桝太一キャスターが取材したのは、画期的な技術が使われた“世界初”という建設現場です。いま問題となっている人手不足の解消、さらには、働く人の健康や安全管理にもつながるということですが、どのような技術でしょうか。 【バンキシャ!】
◇◇◇
桝キャスター
「これから世界初の工事現場に向かいます。一体、何がこれまでと違うのでしょうか」
秋田・東成瀬村に向かうと巨大なクレーンが見えてきた。ここに世界初だという建設現場がある。
桝キャスター
「到着しました」
現場が一望できる場所へ…
桝キャスター
「これ全部が工事現場!」
目の前に広がっていたのは、巨大な「成瀬ダム」の建設現場だ。
桝キャスター
「ダムはあまり来たことがないが、こんなにデカい?あまり映像で伝わらないかもしれないけど、車の大きさと比較してください。大きめのバンが止まっているが、その大きさに対してこの規模ですよ。これが今回、取材するダムの全景です!」
世界初だという工事現場に「ベタバリ!」。その工事が行われているのは、ダムの最上部。
桝キャスター
「ダムの上に立っている。建設途中の上に立っている」
桝キャスターが、ここで気付いたのが…
桝キャスター
「目の前に走っているローラーは、運転席に誰もいない!いま2台来たけど、運転席に誰もいないぞ!今、動きだしたのもいないぞ!」
どの重機にも人が乗っていない。実は全ての重機がコンピューターで制御され、自動で動いているのだ。
桝キャスター
「この重機は自動運転用につくられた?」
成瀬ダム 堤体打設JV工事事務所・松本孝矢所長
「通常で使っている汎用(はんよう)機械」
よく見ると、ハンドルが自動で回っていた。
桝キャスター
「バックする…。危ない!危ない!止まった」
全ての重機には、GPSや障害物を検知するセンサーが取り付けられている。そのため、重機同士がぶつかることはない。
桝キャスター
「結構ギリギリで通る、お互いに」
ドローンで上空から見ると、間隔をうまく保ちながら動いているのが分かる。
桝キャスター
「世界初とは、これのことですか?」
松本所長
「これのことです、まさに」
鹿島建設によると、複数の重機が同時にかつ自律的に動き、これほど大規模な工事を行うのは世界初だという。疲れ知らずの重機は24時間、作業できる。
桝キャスター
「バックオーライの人も、誰も…」
松本所長
「このエリアに人がいない、完全に」
今、人手不足が大きな問題となっている建設業界。実は従事する人はピーク時からおよそ200万人、3割ほど減っている。その切り札が、このシステムだ。ダンプカーやブルドーザーも全自動に改良され、現場で作業をしている。
さらに――
松本所長
「万が一何かあっても、絶対に人災につながらない」
現場の安全対策にも貢献。事故だけでなく、熱中症の不安もない。では、この工事で人間は何をやるのか、開発担当者に話を聞いた。
鹿島建設 自動化施工推進室・出石陽一室長
「各重機がどのように動くか、システムを作って、管制システムからスタートボタンを押す。始まってしまえば一切、指示をすることはない」
桝キャスター
「(その人は)どこにいるんですか?」
出石室長
「400キロ離れた神奈川県からダムを管制している」
神奈川・小田原市にある管制室で、重機がプログラム通りに作業をしているか24時間3交代制で監視している。そのプログラムはAIが作成。作業エリアと重機の台数を入力すると、最も効率的な作業計画を組み立てるという。
このシステムは、人手不足解消の切り札になると期待されている。
◇◇◇◇
一方、別の方法で人手不足を解決しようとする動きも――
東京、六本木で行われたのは、遠隔で重機を操縦する大会だ。六本木からおよそ40キロ離れた千葉市にある、ダンプカーとショベルカーを遠隔で操作する。
参加者は建設会社の若手社員の他、重機が好きな女性たちなど6チームがエントリー。
その中には――
「高校を出てから10年間、プロゲーマーとして働いてきて…」
プロのeスポーツ選手のチームも。
一体、この大会の何が建設現場の人手不足解消につながるというのか。大会の主催者は――
運輸デジタルビジネス協議会・鈴木正秀理事
「eスポーツプレーヤーや学生は、(遠隔操作に)親和性があると仮説を立てて。若い人たちが魅力的に感じるのではないか」
ルールは1人がショベルカーを操作し、もう1人が操縦するダンプカーに土砂を積み込む。ダンプカーが指定された場所に土砂をおろすまでのタイムを競う。操縦は、重機に取り付けられたカメラの映像を見ながら行う。
決勝は、予選を1位で勝ち抜いたプロのeスポーツチームと去年のチャンピオンで普段から仕事で重機を扱う建設会社チームとの対決になった。
重機のプロである去年のチャンピオンは巧みにショベルカーを操り、3分5秒でフィニッシュ。一方、重機の操縦未経験のeスポーツチームは、ショベルカーとダンプカーとの距離感をつかむのに手間取ってしまう。それでもタイムは3分30秒。建設会社のチームと25秒しか差はなかった。この結果に、eスポーツチームは――
Sengoku Gaming・Pazさん
「セカンドキャリアの先として考えられる」
もはや現場に行かずとも、室内で工事が行える時代に。
鈴木理事
「快適に仕事ができるか、健康を守ることにも取り組んでいる」
働き方改革や人手不足解消につながる重機の無人化。
松本所長
「昼に人がやれるところをやる、夜は自動化施工でやる。分業化することもできる」
桝キャスター
「かつては工期が近づいたら交代制で夜を徹してということはあった?」
松本所長
「ありました。子どもの行事に参加できたりできなかったり」
桝キャスター
「(自動化は)余裕を持って、クオリティーは落とさずに工事ができる」
松本所長
「働き方改革は単純に労働時間を縮めるのではなく、ライフワークバランスをうまくやっていく」
桝キャスター
「建設現場は変わりつつありますね」
(11月3日放送『真相報道バンキシャ!』より)
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