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壁に刻まれた「神様助けて」の文字 難民の収容施設を体験 ガザ・ウクライナ・アフリカ…「国境なき医師団」が展示会

日テレNEWS NNN / 2024年11月12日 7時2分

停電したガザ地区の病院で、スマートフォンのあかりを照らし治療をする医師ら(提供:国境なき医師団)

紛争・迫害などによって難民や国内避難民となった人は、国連難民高等弁務官事務所によると2024年5月時点で1億2000万人にのぼるといいます。そのような故郷を追われた人々の現状を伝える展示会「エンドレスジャーニー展」が、東京都内で開催されました。

■難民・移民のエンドレスジャーニーに“終わり”を

10月31日~11月4日に展示を行ったのは「国境なき医師団」。世界70か国以上の紛争地域・災害地域などで援助を必要としている人たちに医療を届けている非営利団体です。イスラエル軍からの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区でも支援活動を行っています。

今回の展示会名は「エンドレスジャーニー展」。紛争や迫害などで終わりのない旅路を強いられている難民・移民の“エンドレスジャーニー(Endless journey)”を終わらせたい、“エンドディスジャーニー(End This journey)”にしたいという思いが込められています。

■支援の輪 一巻きの包帯やワクチンに

「何ができるか考えるきっかけにしてほしい」と話す日本事務局長・村田慎二郎さん

国境なき医師団の日本事務局長、村田慎二郎さんは、展示を見た日本の人たちに、「難民や避難民に何ができるかを考えるきっかけにして欲しい」といいます。

今回の展示会は「支援の輪」を広げることも目的とされています。日本からも国境なき医師団に寄付ができ、一巻きの包帯やワクチンなどに形を変え、必要としている人の元へ医療として届けられています。

■機械を使えば1分で設営 医療現場で使用の“テント”

病院が使用できないときに設営する「エアテント」

会場では、国境なき医師団が支援を行う難民キャンプなどの写真や、医療支援で実際に使用されている道具が展示されています。

その1つが「エアテント」。多くの支援先では十分な医療を提供できる環境が整っておらず、病院が空爆で使用できないこともあります。そんなときに医療を提供する場所となり、機械を使用すれば1分、手動ポンプで空気を入れても10分ほどで設営することができるそうです。

■実際に感じる「難民の普段の生活」

日テレNEWS NNN

会場には、難民の普段の生活を体験できるブースも設置されていました。

展示されていたのは20リットルの水が入った大きなポリタンク。世界には生活用水を離れた場所まで運ぶことが必要な子供たちもいます。実際に水を運び、その重さを体験することができます。体験した小学生は重さに驚いていました。「難民の人たちはすごく大変な生活をしていて大変だなと思った」といい、今後も難民の現状を学びたいと感じたそうです。

■収容施設を再現した施設 壁に書かれた文字は…

収容施設を再現した展示の壁には、文字が記されていた

体験できるブースは他にも。約70センチ四方の広さしかない黒い部屋が展示されています。この小さな部屋はリビアの収容施設で1人当たりが使用できる広さを再現しています。狭い収容施設に押し込まれたリビアの大勢の難民・移民らは食料や水を十分に与えられないまま座った体勢で寝るしかない日々を送っています。

収容施設を再現した部屋の壁には「神様助けて」という文字も。部屋の中に入った40代の女性は、「何日もここに居ると思うと発狂しそう…」と収容施設での生活を想像していました。

■発電機の手配や井戸掘り 医師団の「なんでもやるポジション」

ガザ中部・デールバラハの仮設病院で最初に受け入れた患者と、ロジスティシャンの植田佳史さん(左から3人目、提供:国境なき医師団)

国境なき医師団は医療支援を行う団体ですが、活動するのは医師や看護師だけではありません。その1人が「ロジスティシャン」の植田佳史さんです。

植田さんは「ロジスティシャンはなんでもやるポジション」だと話します。支援先で医療を提供する場所がない時は、今回展示されたような簡易テントや“仮設病院”を建築。電気を必要としていれば発電機を手配し、戦争などで水の設備が破壊され、生活用水が足りていない時には近くに井戸を掘ります。

植田さんは2022年と2023年にはウウライナで、今年7月からはガザ地区で支援活動を行いました。植田さんがガザ地区に入った際に目にしたのは完全に破壊し尽くされた市民の生活。中でも水の問題は深刻だと感じたそうです。イスラエル軍の攻撃により、下水道が破壊。町中で下水の臭いが広がっていたということです。

支援先で不足している生活用水は井戸を掘るなどしてまかなっていますが、町中の下水道パイプが破壊されていることで地下水が汚染され、感染症などのリスクが拡大している状況だといいます。

■「人々には関心を持ち続けてもらいたい」

植田佳史さん

植田さんは、展示を通して国境なき医師団の支援先で実際に何が起きているのかを知ってほしいと話します。

植田佳史さん(34)

「(ガザ地区では)1年ずっと続いていて、ウクライナだと2年以上戦争が続いている。どこかでこの流れを断ち切らなきゃいけないのは間違いないと思います」

「どこの紛争にしても絶対に風化させてはならないということ。人々には関心を持ち続けてもらいたいっていうのが現地で活動する人間としても思うところです」

国境なき医師団は今後、展示会だけではなく難民・移民の現状を学べるトークイベントなども予定しています。

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