“石破外交”本格始動 世界のリーダーたちとどう渡り合う?会談での“表情”は…【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN / 2024年11月18日 9時39分
南米ペルーで開かれたAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の2日間で、石破首相はアメリカ、中国、マレーシア、ベトナム、韓国の首脳と、立て続けに会談を行いました。本格始動した“石破外交”。世界のリーダーたちとどう渡り合うのか。バンキシャ!が石破首相の一挙手一投足を検証してみると…。(真相報道バンキシャ!)
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日本時間17日、集まってきたのは、APEC首脳会議に参加していた各国の首脳ら。参加した21の国と地域の首脳がそろって記念撮影に臨む。
遅刻したアメリカのバイデン大統領も到着し、笑顔で手を振るが、その中に石破首相の姿はない。実は石破首相、今年9月に亡くなったペルーのフジモリ元大統領の墓を訪れた後、事故渋滞に巻き込まれ、記念撮影に間に合わなかったという。
南米・ペルーで開催されたAPEC首脳会議。年に一度、アジア太平洋地域の首脳が一堂に会し、経済協力について話し合う“華”の外交舞台だ。首脳同士でも、次々と会談を行う。
本格的な外交デビューとなった、石破首相。バンキシャ!は、会場で撮影されたおよそ9時間に及ぶ現地の映像をチェック。過去、首脳会談にも同行した経験がある元外交官とともに、石破首相の外交手腕を分析した。
◇
日本時間15日、初の本格的な外交の舞台となるペルーに降り立った石破首相。まずは21の国と地域の首脳が集う会議へ。
会議が始まる前の映像には、各国の首脳らが挨拶を交わす中、石破首相は席に座り、スマートフォンを操作する。手元の資料を確認する様子も。
するとそこへ、マレーシアのアンワル首相が。その後も首脳らが次々と挨拶に来る。会議の合間にカナダのトルドー首相が来た際も、立ち上がらずに応じていた。
座ったまま応対することに問題はないのか。キヤノングローバル戦略研究所・元外交官の宮家邦彦氏に映像を見てもらった。
元外交官・宮家邦彦氏
「立たなきゃいけないというわけでもない。(資料やスマホを)チェックしていた時にパッと来られたので、立つタイミングがずれちゃったのかなという気がします」
ここからは、怒濤の首脳会談ラッシュ。バンキシャ!は『表情』に注目した。
相手国はベトナム。石破首相は、笑顔でベトナムのクオン国家主席との会談に臨んだ。
韓国の尹(ユン)大統領との会談ではこの表情。マレーシアのアンワル首相との会談の映像見ながら、宮家氏は「ちゃんと、良いじゃないですか」と話す。
元外交官・宮家邦彦氏
「マレーシアは友好国だし、大きな懸案もないですからね。リラックスして話できる」
そして、今、さまざまな難題が間にある中国との首脳会談。一連の首脳会談で最大の山場だ。
実は石破首相、防衛庁長官だった頃に中国の要人とどちらが酒を多く飲めるか競った際のエピソードを、著書『国防』(新潮文庫)にこう記していた。
石破首相
「最終的に私が70杯くらい飲んで勝ちました」
「これも一種の外交術」
さらに8年前には、会談前の準備の大切さを「中国やロシアになると、個人情報を調べること自体が難しい。でも総力をあげて調べる。この人の飼っている犬はどんな犬で、名前は何であるか。話し合う内容はものすごいシリアスなんだけど、『こいつとだったら、話したら楽しいよな』という状況を作る」と話していた。
今回の日中首脳会談に向けても、入念に打ち合わせを重ねたという石破首相。「日本国民の思いが伝わらない。もっと厳しい言葉にしないとダメだ」と、会談での言葉1つ1つにもこだわっていたという。
そして迎えた、中国の習近平国家主席との初めての会談。笑顔を見せず、目も合わせない。マレーシアとの会談で見せた笑みはない。
元外交官・宮家邦彦氏
「これは非常に正しい対応だと思う。中国に対してはいろいろな問題が日本にはある。そんなにニコニコするわけにはいかない。(表情は)メッセージになっていく、これが記録として残る。この面構えは、いいと思った」
次に注目したのは「握手」。
「石破さん両手で握手している」
──確かに政治家の方、国際会議の場で片手で…
「普通は片手です」
そこで、日本時間17日に行われたアメリカと中国の会談を見てみると、たしかに2人とも片手で握手していた。
“両手での握手”に、宮家氏は「ただ日本では、政治家は両手。日本で片手で握手するのは、礼を失しているとは言えないが、丁寧じゃない」と話す。
「それは日本の文化(が出た)と思う」
──両手で握手、何か意味を持ってしまうことは?
「意味を持つことはないと思います。かなり丁寧な表現かもしれませんが、特に両手だか
らいいとか悪いとかではない」
◇
そして始まった首脳会談。
中国・習近平国家主席
「石破首相にお目にかかれて、とてもうれしいです」
「あなたとの連携を強化したい」
石破首相は「両国の間には発展に向けた大きな可能性が広がっていると同時に、多くの課題や懸案が存在しています」と、真剣な表情で迫った。
石破首相
「非常にかみあった意見交換だったというのが、私の印象であります」
◇
石破首相に同行している記者は。
日本テレビ政治部官邸キャップ・平本典昭記者
「複数の政府関係者が前進したと。中国側から前向きな発言が多かったと手ごたえを感じているよう」
「“石破茂首相”という、個人のキャラクターをあげる人が多い。石破首相の政治の師・田中角栄元首相の存在」
「(中国側は石破首相が)日中国交正常化を実現した田中氏の弟子であることを重視」
日中関係の改善に尽力した田中角栄元首相の弟子であることから、石破首相に中国側が期待感を持っているという。
「今回は習国家主席の方から田中角栄元首相のエピソードを披露した事が複数の政府関係者への取材からわかりました」
「ある外務省関係者は、石破・田中ラインを中国側が重視していることが、前進した要因と言える」
◇
最大の山場だった日中首脳会談を無事終えた石破首相。次の“大物”は次期アメリカ大統領のトランプ氏。どう向き合うのか…。
一連の南米訪問の後、トランプ次期大統領との会談を模索していた石破首相。しかし…。
石破首相
「現時点においては、トランプ次期大統領との会談は、いずれの国とも行わないという説明を受けているところでございます」
できるだけ早期の会談実現へ、働きかけを続けるという。そのトランプ氏と渡り合うため、石破首相に求められることとは。
元外交官・宮家邦彦氏
「トランプ氏は強い人に敬意をはらう。一番大事なのは日本の国内・内政を安定させること。政権基盤を安定させて、強い内閣をつくることが一番大事」
(11月17日放送『真相報道バンキシャ!』より
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