【解説】“Amazon”に公取が立ち入り 低価格をおすすめ、なぜダメ?
日テレNEWS NNN / 2024年11月26日 19時55分
公正取引委員会は26日、アマゾンジャパンに立ち入り検査を行った。何が問題なのか?(解説・経済部 安藤佐和子)
問題となっているのは、「カートボックス」と呼ばれる、サイト上の商品の表示です。同じ商品を複数の業者が出品している場合、いかに目立つところに表示されるかで売れ行きも変わりますが、関係者によりますと、アマゾンジャパンはこの「カートボックス」への掲載を希望する出品者に対して、他の通販サイトより低い販売価格を提示することなどを要求していたといいます。
公取は独占禁止法の「優越的地位の乱用」にあたる疑いがあるとして、資料の分析を進めるほか、今後、出品業者から広く情報提供を求める方針です。
Q 消費者にとっては同じ商品なら、他より安いところから購入できた方がありがたい。何が問題?
A 「安い価格」がどうやって実現できたものなのか?という背景に問題があります。関係者はぴしゃり、こう言っています。その安い価格は「アマゾン自身の経営努力によるものではなく、アマゾンは汗をかいていない」。
つまり、アマゾン自身は、値段が安くなるように、出品者に対して出品手数料を値下げするなどの努力をしていない。それなのに、出品者に対しては「安くしないと目立つところに掲載されませんよ」と圧力をかけて、不当に引き下げさせていた疑いがあるというんです。さらに、目立つように表示されるために、アマゾンが行っている有料の配送サービスや代金回収などを利用するよう要求していた疑いもあるということです。
つまり、おすすめとして表示されるために、出品業者がいろいろと身を削らなければならない仕組みになっているということなんです。
Q ただやはり消費者からすれば、安いにこしたことがないのでは?企業努力をどこまでできるかの競争なのでは?
A 「消費者としてある商品を安く買えること」と、「日本の企業が適切に稼げて、従業員にも賃上げできること」をひきかえにできるかどうかというのが一つの視点です。「目立つ表示位置を確保して、売れるようにしたい」と多くが競えば、『安売り競争』が起こり、利益が削られ、賃上げの原資も減り、消費も増えません。
アマゾンに出品している業者に話を聞いたところ、「本当に殿様商売。だけど、売れ行きが他のショッピングモールと全然違うから特に中小企業はアマゾンに頼らざるを得ない」と嘆いていました。
業界をリードする会社として、高い視座にたった公正な取引が求められます。
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