【國學院大學】「太田劇場が始まっちゃった…」前田監督が出雲・全日本を振り返る 皇學館・寺田監督は「学生たちに自信を持たせてあげたい」
日テレNEWS NNN / 2024年11月30日 8時30分
◇令和6年度 文化講演会 國學院×皇學館「駅伝師弟監督」対談
~前田監督・寺田監督が「駅伝」の今をそして未来を語る~(24日、國學院大學渋谷キャンパス)
國學院大學の前田康弘監督と、かつて國學院大學で前田監督の指導を受け、現在は皇學館大学で監督を務める、寺田夏生さんの「駅伝師弟監督」対談が実現しました。
今シーズン、破竹の勢いの國學院大學はトラックシーズンから各選手が活躍。出雲駅伝、全日本大学駅伝を制し、大学としては史上初、そして史上6校目の“大学駅伝三冠”を目指しています。
この対談は、國學院大學が“二冠”する前から開催が決まっており、司会が「一番かっこいい登場の仕方じゃないですか?」と尋ねると、指揮を執る前田監督は、「狙い通りですね」とニヤリ。会場からは拍手が起きました。
◆開幕戦 出雲駅伝
駅伝シーズンの開幕戦となった10月の出雲駅伝。
出雲駅伝の実施時期は、各大学の夏の強化合宿が終わってから約1か月後ということもあり、前田監督は「他大学もチーム状況は見えない部分が多いと思う。優勝を狙いに行ってというよりは、自分たちの今の高パフォーマンスを出してどれだけ(戦えるか)という手探りな状況が多い」と話します。
1区の青木瑠郁選手(3年)が区間3位の快走を見せると、2区の山本歩夢選手(4年)、3区の辻原輝選手(2年)も区間上位の好走。トップでタスキリレーした青山学院大学のエース・黒田朝日選手(3年)とは20秒差、2位の駒澤大学・山川拓馬選手(3年)とは16秒差の3位で4区へタスキをつなぎます。
國學院大學は、4区の野中恒亨選手(2年)と5区の上原琉翔選手(3年)が連続で区間賞の走りを見せ、上原選手が先頭奪取。5区終了時点で2位の駒澤大学と4秒差となり、勝負の行方はアンカー勝負へと持ち越されます。
最終6区、最長10.2キロを託されたキャプテンの平林清澄選手(4年)は、駒澤大学の篠原倖太朗選手とのエース対決に。
前田監督は、「相手が学生ナンバーワンの篠原くん。正直もっと貯金を作りたくて、平林に30秒の貯金を作って渡したかった」と振り返り、「駒澤大学さんと青山学院大学さんがやはり強くて、3区であそこまで離されるという想定がない中で、4区・5区でもっとタイムをとれると見込んでいたんですが、私が思っているより強かった」と語りました。
◆ 初優勝の全日本大学駅伝
「全日本までは時間があるので、とにかく全日本をとること、その勢いをもって箱根駅伝にいくというのをストーリーとして描いていました」と、プランを語った前田監督。
中盤5区までは、青山学院大学が独走態勢を築きます。それでも6区、41秒差の2位でタスキを受け取った山本選手(4年)が区間新記録の走りで、青山学院大学に4秒差にまで迫ります。
各大学のエースが集まる7区には平林選手(4年)を起用。対する青山学院大学の7区は今年の箱根駅伝、3区で区間賞の太田蒼生選手でした。
前田監督は「7区の平林でリードをとるシナリオを描いていたんですが、青学の太田くんがゾーンに入っていて、太田劇場が始まっちゃったので、うわぁと思った」とコメント。
太田選手相手に、思うようにリードを広げられなかった國學院大學。青山学院大学と4秒差の2位で、最終区間へつなぎます。
最長のアンカー区間には、3年生の上原選手を抜てき。
「本人も緊張していたけど、『やってやるぞ!』という気持ちになっていた。(青山学院大学の塩出翔太選手と)力関係としては一緒だったので、とにかく1秒でも前でゴールしたチームが優勝だから」と伝えていたといいます。
優勝争いは、國學院大學と青山学院大学に絞られたかと思いきや、駒澤大学の山川選手が日本選手歴代2位となるハイペースで激走。
「山川くん(駒澤大学)が後ろからくるっていうまさかの展開。で、大八木さん(駒澤大学総監督)がずっと笑っているっていう。そんな展開だった」と笑顔で振り返りました。
想定通りではない中で勝てたことについて指揮官は、「選手たちの強さが備わっている。どういう状況でもしっかり戦う意志を持って強い大学に立ち向かう、それが有言実行できているかなと思ったので、非常に箱根に向けて手応えのある全日本でした」とうなずきました。
國學院大學は、全日本大学駅伝出場12回目にして初めての栄冠を手にしました。
◆全日本で躍進した皇學館大学
寺田監督が指揮を執る皇學館大学は、全日本大学駅伝で、大学最高順位タイとなる17位に。これをもって、東海地方の出場枠がひとつ増える結果となりました。
「監督として全日本に臨むのは初めて、現役でも全日本大学駅伝に出たことがない」と語った寺田監督。
実は、寺田監督が國學院大學に在学していた時には、全日本大学駅伝の関東予選会を突破することができず。大学として出場権を得ることができませんでした。
「学生たちによく、区間の特徴や、『どうやって走ったらいいですか?』と聞かれるが、僕自身出たことがなかったので…」と言葉を濁しながらも、「逆に学生たちと力を合わせて、走ったことがある子に情報をもらったり、自分でもコースを見に行ったりして特徴を見て選手選考を行った。結果的にはチーム目標である17位を達成して、枠も増やすことができたのでうれしい」と話しました。
三重県伊勢市に拠点を置く皇學館大学。
就任2年目の寺田監督は、「関東の選手とは、一段階も二段階もレベルが違うので、学生たちの意識と、実業団までやっていた僕のレベルの意識の差を埋めていくことが、最初は本当に大変だった」と苦労を明かし、「今もまだまだ学生たちに“自信を持って関東の子たちと戦おう”という気持ちを持たせてあげられていないのが、まだ僕自身の指導不足」としながらも、「これからもっと関東の選手たちに少しでも食らいついていこうという強い気持ちを持たせてあげるのが僕自身の指導法。学生たちに自信を持たせてあげたいなと思う」と未来を見据えました。
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