判決の瞬間に“涙”…“紀州のドン・ファン”元妻 無罪判決の理由は?
日テレNEWS NNN / 2024年12月12日 20時15分
無罪判決の瞬間、被告は涙を流しました。 “紀州のドン・ファン”と呼ばれた男性を殺害した罪などに問われている元妻。専門家が指摘する無罪判決のポイントとは。
◇
裁判長
「主文、被告人は、無罪」
その瞬間、ぐっと背中を丸め、涙を浮かべた須藤早貴被告。
無罪判決。須藤被告は今、何を思うのか─。
◇
交際した女性は4000人、貢いだ額は30億円。伝説上のプレイボーイになぞらえ、「紀州のドン・ファン」と自ら称していた野崎幸助さん。2018年に急性覚醒剤中毒によって亡くなりました。
野崎さんが生前「最後の女性」と語っていた須藤被告。野崎さんに多量の覚醒剤を摂取させ、殺害した罪などに問われていました。
須藤被告(今年9月、初公判)
「私は社長を殺していませんし、覚醒剤を飲ませたこともありません」
23回にもわたった裁判。須藤被告は一貫して無罪を主張し続け、亡くなった野崎さんに対し、怒りをあらわにしたこともありました。
須藤被告(被告人質問、11月15日)
「目の前にいたら文句を言ってやりたい。もうちょっと死に方考えてほしかった。私は何年も人殺し扱いなので。クソッ」
◇
犯行を示す直接的な証拠がない中、迎えた判決。
記者(和歌山地裁、12日)
「傍聴券を求めて多くの人が列を作っています。判決ということで、これまでで一番長い列ができているでしょうか。注目の高さがうかがえます」
裁判所の判断は、無罪でした。その判決理由を見ていきます。まずは、検索履歴について。検察側は、須藤被告が事件前後に「老人 完全犯罪」「覚醒剤 死亡」「バレずに殺せば正義」などという言葉を検索していたと指摘。裁判所はこれについて…
裁判長
「単なる関心から検索することもあり得る」
殺害を思わせる行動とは言い切れないと指摘しました。
次に、事件当日の行動について。2階が寝室となっている野崎さんの自宅。検察側は、須藤被告が事件当日、1階から2階に8回も上がっていたのは不自然だと指摘していました。これについて…
裁判長
「被告人は平素から、野崎氏の寝室で過ごすこともあり、私物が置いてあったことも事実。 死亡とは無関係な理由で行き来していた可能性も否定はできない」
そして、野崎さんの死因となった覚醒剤について。これまでの捜査で、野崎さんが日常的に覚醒剤を使用していた形跡はなかったといいますが、野崎さんと性的関係にあったある女性は、こう話しています。
性的関係にあった女性
「野崎から電話がかかってきて、いきなり『覚醒剤やってるで、へへへ』と言われた」
裁判所はこれを、一概に冗談と決めつけることはできないと指摘。
裁判長
「野崎氏が事件当時に初めて覚醒剤を使用し、その際に誤って致死量を摂取して死亡した可能性がないとは言い切れない」
つまり、すべて可能性を否定できない、ということです。疑わしきは罰せず。須藤被告の無罪判決を下したのです。須藤被告は何度も鼻をすすり、涙を拭いながら判決理由に耳を傾けていました。
◇
元大阪地検の亀井氏は、今回の判決について、次のように話します。
元大阪地検検事 亀井正貴弁護士
「他殺ではなくて事故死である可能性を捨てきれないということで、無罪になったということ。(無罪が)確定するのであれば前例になる。検察の直接証拠のない状況証拠の積み上げ立証についてもう一度考え直さなければいけないぐらいの衝撃を与える事案だと思います。無罪を予想していなかったと思うので、地検の現場はもうひっくり返すような騒ぎになっていると思う。このまま終わらせることはおそらくなくて、控訴すると思う」
和歌山地検はコメントを発表しました。
「検察の主張が受け入れられなかったことは残念だ。判決内容を精査し上級庁とも協議の上、適切に対応したい」
終了後、裁判長に一礼し、まっすぐ前を向いて法廷をあとにした須藤被告。野崎さんの死の真相は、まだ明らかになっていません。
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