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【帰省ブルー】解消は「男性がカギ」専門家が提案する2つの方法…年末年始の「親子関係メンテナンス」どうする?

日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 11時0分

日テレNEWS NNN

帰省を憂鬱に感じる「帰省ブルー」。とくに妻が夫の実家を訪れる際に感じることがあるといわれています。家族の在り方などに詳しい立命館大学の筒井淳也教授は、帰省ブルーの解消には「男性がカギになる」といいます。報道局ジェンダー班の庭野めぐみ解説委員が詳しくききました。

◾️「帰省ブルー」の背景に…“夫はゲスト”で“妻は手伝い”のイメージ

──夫の実家、妻の実家に家族で帰省するときに少し憂鬱になるという「帰省ブルー」はどうして起こるのですか?

配偶者の親や親戚に囲まれる環境で、気を使うこともあるし、話が合わないこともあると思うので、むしろ「何のストレスも感じない」という人の方が珍しい気はします。

──特に妻が夫の実家に行く時に「帰省ブルー」になる人がいるというのはなぜでしょうか?

男性は、昔も今もどちらかといえば“ゲスト扱い”を受けていて、そう憂鬱になる要素はないと思います。しかし女性は、昔は男性側の“家に入る”“嫁に行く”という考え方が強かったので、男性の実家に行って、家事などのいろんな仕事が待っていることもあり得ます。

今は時代が変わっている最中なので、夫の親からしても、妻の側からしても、「家事した方がいいのかな?そうじゃないのかな?」と、そういった共通了解がない状態で、余計に気疲れしてしまうことがあると思います。

──例えば夫の親から「座っていていいのよ」と言われて、「そうですか」と本当にこたつでずっと座っていたら、「ちょっとくらい手伝ってくれないかしら」と思われたり、あるいは思われているんじゃないかと気を使ったりして、どちらがいいかお互いわからないということですか?

いっそのこと言ってくれた方が楽というのもありますが、さすがにそういう時代じゃないという雰囲気になってきています。そうすると、「これはやった方がいいのかどうか」と考えるのは本当に心理的ストレスになると思います。

時代的には、「義理の親との関係は基本的に他人だ」という考えにシフトしてきていますので、「男性も女性も同じようにゲスト」というパターンがこれから増えていくのではないかと思います。

◾️帰省ブルーを解決する「父子帰省」

立命館大学 筒井淳也教授

──解決策があれば教えてください。

最近増えているのが、配偶者を連れて行かないということです。例えば父親の実家には父親と子どもだけで帰るとか、またその逆もあるといったやり方です。

──いわゆる「セパレート帰省」ですね。

「父子帰省」は、特に結婚して子どもがいる女性にとって、家で1人で過ごせる非常に貴重な時間です。

──夫と子どもが1日中いないということですね。

これはなかなか得難いものだと思います。日本ではまだ家庭責任が女性に偏っていますので、男性は例えば職場の仲間と遊びに行くこともありますが、女性にとって1人で過ごすことができる時間はすごくストレス解消になり、プラスの効果があります。

──父子帰省は増えているんですか?

民間会社が行っている統計では、若干増えてきているという推測はできます。

──元々あまり熱心に子育てをしていないお父さんだと、子どもを連れて新幹線に乗るといったことが難しいかもしれないですよね?

これはなかなかテクニックがいるので、できない父親もいっぱいいると思います。逆に無理やりやってしまったら、せっかく妻が1人で過ごせてゆっくりできていると思いきや、ハラハラして逆にストレスがたまってしまうこともあり得なくはないわけです。

ですので、普段から子育てを共にやるような家庭であれば、使えるやり方かなと思います。

──逆に、父子2人で帰る準備段階で、お父さんと子どもが話すきっかけになるとか、そういう可能性もありますか?

そうだと思いますね。なので、使いようによっては日本社会の課題である父親の育児参加を進めるきっかけになる気はします。

■夫婦そろって帰省するなら…夫の重要な役割とは

2024年12月16日放送『news every.』より

──夫婦そろって帰省する場合は何がポイントになりますか?

夫の実家に連れていく場合は、夫の役割はすごく重要です。

夫が両親の考えていることや妻が考えていることを一番把握できる立場にいるわけです。なので、お互いが考えていることを推測して、うまいことやり取りをサポートして、お互いが気持ちよく過ごせる環境を作る役割が、夫側にあるはずなのです。

そういうのを意識せずにぼけっとしているようだと、妻は「うちの夫は何もやってくれないな」とストレスがたまると思います。

父子帰省でも男性の活躍する度合いは強いですし、一緒に帰省する場合でも夫の役割というのはかなり大きいと思います。そういう意味で、やはり男性がカギになると思うんですよね。

──夫が、両親と妻のコーディネーターとして働くということですね?

そうなんですけど、伝統的に親戚との付き合いをコーディネートしてきたのは、日本の場合女性側でした。夫側の親戚の付き合いも妻が管理するようなことがかつてはよくあったと思います。

時代が変わり、夫側の仕事が少し増えて「せっかくの休みなのに勘弁してくれ」という男性も多いと思いますが、今まで女性が引き受けてきた負担を分かち合った結果、やることが増えているというところは意識してもいいと思います。

今、大人の親子関係は「個別化」が進んでいると言われています。夫方の親との関係は夫が、妻方の親との関係は妻がちゃんと維持してうまくやっていくんだという考え方です。介護もそうで、今、自分の息子の配偶者に介護を期待することもなくなってきているわけです。

──父子帰省も無理そう、帰省してもずっと座ったまま、という、わりと後ろ向きな男性にはどう呼びかけたらいいでしょうか?

男性って職場ではわりと面倒くさい人間関係の調整とかやるんですよね。なのでそれをプライベートな場所で全くやらないというのは、妻からしたら「何だこの人は仕事ができないのか」と思われても仕方がないと思うんです。仕事の場で発揮しているはずの有能さをちょっとだけ家庭とか親戚づきあいに発揮すれば、すごい仕事になると思うんですよ。

なので妻側はプライドをちょっと突いてみるというか、「仕事できるはずだよね?」「職場ではちゃんとやってるんでしょう?」みたいな。仕事感覚で振ってみるというのもあるかなという気がします。

■少子高齢化で高まる「親子関係のメンテナンス」の必要性

報道局ジェンダー班 庭野めぐみ解説委員

──「帰省ブルー」や、家族で帰省して相手の家族に挨拶するといったことは海外でもありますか?

帰省という現象自体はグローバルに存在します。なぜかというと時代が都市化して、親元を離れて暮らす生き方が当たり前になっているからです。

他方で、少子化が進んでいて子どもの数が減っています。子どもの数が減るということは、親からしたら少数の子どもとの付き合いになるということです。子どもが10人いて10分の1なのと、1分の1ではだいぶ違います。親にとっても自分にとっても大事ということです。

しかも寿命は延びているので、長い間親と付き合っていくことになります。親子関係というのは、現代社会の方がむしろ以前より密になっている側面があるわけです。なので、しっかりとメンテナンスをする必要が出てくるんですね。

──そうした傾向を踏まえて、帰省、あるいは家族との付き合いはどうあるといいと思いますか?

男性の役割は大きいと思います。妻からは言いにくいこともあると思うんですよね。伝統的に妻がやってきたというのはありますが、夫側が「妻がストレスを抱えていそうだな。じゃあ今年はこういうやり方でいこう」と、主体的に動くことが大事になってくると思います。

■Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと~

日テレNEWS NNN

日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか?

番組ハッシュタグ:#talkgender

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