棚橋弘至「いま日本で一番売れている社長です」 新日本プロレス社長就任から1年 選手と社員に板挟みの日々
日テレNEWS NNN / 2024年12月29日 22時10分
2023年12月にプロレスラーとして所属する新日本プロレスリング株式会社の代表取締役社長に就任し、選手兼社長となった棚橋弘至さん(48)にインタビュー。所属団体の社長に就任することになった経緯や、選手兼社長としての苦労、社長としての今後の目標などを伺いました。
棚橋さんは、1999年に立命館大学を卒業し、新日本プロレスリングに入門、同年10月にデビューしました。その後、IWGP・U-30無差別級王座や、IWGPタッグ王座などのタイトルを獲得し、2006年には、団体最高峰のタイトルでもあるIWGPヘビー級王座を獲得。
新日本プロレスの“エース”として長年活躍する一方で、去年12月に、所属する新日本プロレスリング株式会社の取締役社長に就任し、団体としてはアントニオ猪木さん、坂口征二さん、藤波辰爾さんに続く、史上4人目の選手兼社長として活動しています。
■社長就任の経緯「僕は疲れたことがないので」
――選手として活動しながら、新日本プロレスの社長に就任することになった経緯を教えてください。
昨年の11月に新日本プロレスのオーナー会社の『ブシロード』の木谷社長に呼ばれまして。食事の場で「来年から社長をやってもらえないか」ということを言われまして。さすがに即答はできないかなと思って「ちょっと考えさせていただいてもよろしいですか」と。
やっぱり社長になるっていうことは、レスラーとしてチャンピオンを目指していくっていうのを少しセーブしろというか、“諦めろ”って言われているのかなと思っていたんですけど、僕は疲れたことがないので、“社長100%・レスラー100%”でもできるなっていうのを思ったので、ちょっと待ってくださいとは言ったんですけど、食事が終わる頃には「やります」って言って、その日のうちに返事しました。
■月から金はオフィス勤務、土日は試合
――社長としてオフィスには、どれくらいの頻度で行っているのでしょうか。
新日本プロレスは年間150試合ぐらいありまして、基本的に土日が多いんですね。で、会社に行くのは月曜から金曜なので、月から金はオフィスで仕事して、土日に試合みたいな。なので僕、今年の年始から数えて、まだ7日しか休んでないです。
「これは労働基準法違反だ」と思ったんですよ。そうしたら、取締役は雇用側なので、労働基準法の対象外なんですよ。だから僕、今ね、使われ放題なんですけど“大丈夫、ウチの社長は疲れないから”っていうね。どんどん仕事が入ってきてる。今、日本で一番売れている社長です(笑)
――47歳(社長就任時)から会社へ出社してデスクワークする日々はいかがですか。
慣れないところもありますよ。まず、名刺管理もあるし、承認印を押したり、会議とか動いている時間以外の時間っていうのは勉強の時間に充てていますね。経営学とか、いろんな方の会社のシステムとか、物流の流れとか、物の売りたい時の売り方とか、本当にあらゆるキーワードで検索して。
(社員は)ウチの社長ずっと机に向かってなんか書いているけど、って思っているかもしれないですけど、プロレスラーのキャリアの間で勉強できなかったことを今必死に埋めようと、大学受験以来の猛勉強中です。
■選手と社員からの板挟み状態「中間管理職みたい」
――選手目線での会社と、社長目線での会社はどのような違いがありましたか。
選手の時は、年間の試合数だったりとか、日本全国を回るので、やっぱり移動が長いと体に負荷がかかったりして、“なんだよ”って。“キツいな、このシリーズ”とか思っていたんですけど。会社は会社で、営業で取れる会場を探して、しかもその中で最短距離、隣の県とか、できるだけ移動を少なくして、半月とかのシリーズを組みたいわけなんですけど。
なかなか曜日ごとに空いている会場だったり、コース取りっていうのも難しかったりするので。レスラーの気持ちも分かるし、事務方の気持ちも分かるようになってきたんで、ものすごくね、板挟みです。中間管理職みたいになっています(笑)
■社長としての今後の目標 プロレスラーは「夢のある仕事にしたい」
――社長就任から1年たち、自身の社長としての評価は何点ですか。
点数はつけられないですね。というのも、大学卒業してすぐにプロレスラーになってしまったので、会社勤めというか、社会人的な礼儀作法だったり挨拶っていうのは新日本でたたき込まれたんですけど、定時に行って仕事をして、定時に帰るみたいな。いきなりそれが、新人ではなくて社長で。いきなり部署会議、取締役会、株主総会っていうのが怒とうにきたので。表情を変えずに社長然としていましたけども、内心はドキドキしていましたね。
――会議などに出るとなったときは、どういう心持ち、どんなことを思っていましたか。
心ではドキドキしていても社長なので、やっぱり社長がドンと構えて、自信を持ってしっかりした口調で、なんでも言わないと。朝の朝礼でもそうなんですけど、会社の社員の士気にもつながってしまうので、みんなの前で話す時とか、テレビ、ラジオ、新聞、そういったものはしっかり頼りがいのある社長でありたいなとは思っています。
――最後に、社長としての今後の目標を教えてください。
やっぱり過去最高収益を出したいっていうのと、もっと所属選手を有名にして。プロレスラーになったら稼げて、やっぱり夢のある仕事にしたいので。僕がチャンピオンの時にもらっていた年俸額よりも、今の若い子が、現役の時に超えていくような、そういう大きい会社にしたいですね。
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