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2025年、石破首相に立ちはだかる3つの壁 36年前の悪夢とは…「ポスト石破」は誰?

日テレNEWS NNN / 2025年1月2日 7時0分

2024年10月1日、総理大臣に指名された石破茂氏。総裁選挙はなんと5度目の挑戦。

衆議院選挙で与党過半数割れに追い込まれた石破政権。2025年の通常国会では、最重要課題の予算成立に向け野党の協力を得るメドは立ってない。“12年に一度”の東京都議選と参院選がともに行われる年に、石破首相に立ちはだかる3つの壁とポスト石破について解説する。(政治部 自民党担当 長谷栞里)

■第1の壁 2025年度予算 “野党の協力”が必須

自民・公明が過半数の議席を得られず“少数与党”となり「国会の景色が一変した」永田町。衆議院予算委員会の委員長など、重要ポストが野党の手に渡る中、2025年は与党にとってさらに苦しい場面が続くことが予想される。

国会で審議される予算案や法案は基本的に衆議院・参議院で“過半数の賛成”で可決されて初めて成立する。つまり、現状の与党の衆議院の議席数では、野党にも賛成してもらわない限り、2025年度の本予算案が成立させられないのだ。

2024年、少数与党になって初めての臨時国会では「補正予算」を成立させるために、与党は野党の協力を取り付けるために奔走することになった。

■国民民主と維新“両にらみ”で協議

自民・公明・国民民主の政調会長が、国民の看板政策「103万円の壁見直し」を取り入れ経済対策に盛り込むことで合意(2024年11月)

衆院選で大きく議席を伸ばした国民民主党の“看板政策”である「103万円の壁見直し」を取り入れ、日本維新の会とは「教育無償化についての協議開始」で合意。野党2党の賛成を取り付けたことで、何とか補正予算の成立にこぎつけた。

だが、2025年の通常国会では野党から本予算案の賛成を取り付けるメドや道筋は立っていない。国民民主は103万円の壁を「178万円」にすることを求めて、自民・公明を引き続き揺さぶり続けている。また維新も党内が一枚岩ではなく、教育無償化の協議を通じて与党との距離が近づくことへの反発が出ている。

夏には参議院選挙を控える中、国民民主・維新とともに与党に接近し過ぎることは選挙にマイナスとなりかねず、予算賛成へのハードルは高いと言わざるを得ない。

仮に政府・与党が予算を成立させられないと新年度から政策が実行できなくなり、政府の機能が停止するおそれもある。そのため、政府・与党内からは「予算の成立と引き換えに、石破首相は退陣に追い込まれるのではないか」との見方も出ている。

■第2の壁 “内閣不信任案” 可決が現実のものに?

石破首相が予算の壁を乗り越えることができたとしても、次に立ちはだかるのが「内閣不信任決議案」という壁だ。

衆議院で出席議員の過半数が賛成すれば可決される不信任案は、これまでのように「出しても与党側に否決される」国会会期末の“風物詩”ではなく、野党が一致結束さえすれば「出せば通る」不信任案となっている。

野党が内閣不信任案を出して可決された場合、石破内閣は10日以内に“総辞職”するか、“衆議院を解散”しなければならない。過去には、少数与党政権だった羽田内閣が野党に内閣不信任案を提出され、政権発足からわずか64日で総辞職に追い込まれた例もある。

不信任案が可決されるリスクを抱えた石破政権にとって通常国会は後半にかけて緊張感のある状態が続くことになる。

■第3の壁 “12年に一度”のダブル選挙

そして、通常国会の2つの壁を乗り越えられたとしても、石破首相には「選挙」という壁も待ち受けている。

2025年は夏に「東京都議会議員選挙」と「参議院選挙」が相次いで行われる予定なのだ。この2つの選挙が同じ年に開かれるのは、12年に一度のこと。選挙の時期が接近しているため、先行する都議選の結果がそのまま参院選の結果と連動することが多い。

小泉純一郎フィーバーで都議選・参院選ともに勝利をおさめた2001年

過去を振り返ると直近の2013年は民主党からの“政権奪還”直後、2001年は政権発足直後の小泉純一郎フィーバーで、いずれも自民党が都議選・参院選ともに勝利をおさめている。

一方で、さらに12年前の1989年は都議選で、野党の社会党が議席を3倍に増やし、自民党は大敗。直後に行われた参院選でも惨敗し、自民党は結党以来初めて参議院での過半数割れへと追い込まれた。

当時の宇野宗佑首相は辞任、参院選に勝利した日本社会党の土井たか子委員長が「山が動いた」の名言を残したことでも有名だ。

そして歴史はめぐり、2つの選挙を控える2025年。都議選では、小池都知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が国民民主党との連携を模索しているほか、前回の都知事選に出馬した石丸伸二氏が新党を立ち上げて都議選に挑む見通しだ。

自民党にとっては厳しい展開が予想され、36年前の“悪夢の再来”を危惧する声も出始めている。

都議選が近づくにつれ、「石破総理という顔のままで2つの選挙に勝てるのか?」という声が自民党内から上がり、石破おろしに発展することも予想される。

■“ポスト石破”は誰なのか?

では仮に石破首相が退陣に追い込まれた場合、「ポスト石破」となりうるのは一体誰なのか?

通常国会中に総理・総裁が交代する場合、政治空白を作ることはできないため、フルスペックの自民党総裁選をやっている時間的余裕はない。そのため、両院議員総会を開いて国会議員票を中心に一定数の地方票を加えて総裁選を実施することが想定される。つまり、ポスト石破は“緊急登板”という形になる可能性が高い。

「ポスト石破」の筆頭は林芳正官房長官。要職を歴任した安定感に定評あり。

そこで自民党内でまず最初に“即戦力”の候補者として名前が挙がるのが林芳正官房長官だ。林氏はこれまでも不祥事などがあった閣僚の後任として、何度も緊急登板した経験があり、数々の要職を歴任した安定感には定評がある。

ただ、林氏が所属していた旧岸田派の議員からは「再登板の可能性を残したい岸田前首相が林氏への『代替わり』を許さないのではないか」との声も出ている。党内の支持をどれだけ拡大できるかが課題と言える。

「ポスト石破」候補と言われる2024年総裁選挙に出馬した議員たち

また、「ポスト石破」として、前回の総裁選で決選投票に進み、首相の座まで“あと一歩”に迫った高市早苗・前経済安全保障担当大臣を推す声もある。高市氏は党内の保守系グループ「保守団結の会」の会合に顔を出したり、これまでは苦手だった政治家との夜の会食の機会を増やしたりしていて、次の総裁選を見据えた動きとみられている。

ただ、前回の総裁選で高市氏を支持した議員で落選した人が多く、支持基盤に不安を抱えるほか、保守色が強いことから「選挙の顔」となるのか不安視する向きもある。

そのほか、ポスト石破には前回の総裁選に出馬した議員の名前も挙がる。

茂木敏充・前幹事長は、第一次トランプ政権下で日米貿易交渉を担当し、「タフ・ネゴシエーター」と呼ばれるなど、外交経験と即戦力なのが強みだ。

また、「刷新感」や「選挙の顔」となることを期待して小泉進次郎・元環境相や、小林鷹之・元経済安保相を推す声もある。小泉氏は政治改革をめぐる与野党協議を担当し、小林氏は総裁選での陣営メンバーを中心に勉強会をスタートさせている。

ただ、「即戦力」・「安定感」・「選挙の顔」という条件を全て満たすポスト石破は見当たらず、いずれの候補も「帯に短し、たすきに長し」で決定打を欠いている状況だ。

■どうなる2025年

1月24日から始まる見通しの通常国会。石破政権は3つの壁を乗り越え、本予算案を無事に成立させた上で、内閣不信任案のリスクを乗り切り、都議選・参院選の「ダブル選挙」に勝利できるのか?

ポスト石破の候補者たちの動向も含め、石破政権の2025年は先行きが見えない不透明な展開になりそうだ。

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