【4月から太陽光パネル設置義務化】東京都・小池知事に聞く「車と同じように家にも燃費があっていい」
日テレNEWS NNN / 2025年1月3日 8時0分
全国初となる東京都内の新築住宅などへの太陽光パネルの設置を義務づける制度が2025年4月からスタート。住宅価格上昇で負担が大きくなるいま、義務化は都民にどんな影響があるのか。
都民の一人であり、将来、住宅購入を希望する記者が小池都知事に聞いた。
■4月から太陽光パネル設置義務化
東京都は、2025年4月から新築戸建て住宅などに太陽光パネルの設置を義務づける制度をスタートします。この制度は、2030年までに温室効果ガスの排出量を2000年比で半減させる「カーボンハーフ」の実現に向けた小池知事肝いり施策のひとつ。2022年に義務化を定めた条例が成立し、およそ2年間の準備・周知期間を経て、施行されるものです。
■義務づけられるのは「住宅メーカー」
設置を義務づけられるのは、住宅の購入者ではなく、一定以上の新築住宅などを供給する「住宅メーカー」です。
▽住宅メーカーは、供給棟数などに応じて割り当てられた「発電総量」の達成を目指す。したがって、住宅1棟ごとに設置義務が課されるわけではない。
▽達成状況は都のホームページで毎年公開される予定。
▽新築戸建て住宅などが対象。既存の物件は対象外。
■「義務化」に実効性はあるのか?
都の担当者は「住宅メーカーの取り組み状況の公表や、取り組み状況が不十分な場合は勧告や違反者を公表するなどして、事業者の適正な取り組みを促していきたい」としています。また、今後、都市特有の課題解決に有効な機能性に優れたパネル導入を促進していくということです。
■初期費用は“117万円”補助金活用も
都は4キロワットの太陽光パネルを設置した場合の初期費用を117万円と試算していて、この初期費用は、売電収入などで13年程度で回収できるとしています。また、1キロワットのパネルにつき10万円の補助金を活用すると8年程度で回収できると計算しています。
このほか、都のホームページでは、事業者が初期費用を負担して、発電した電力の売電量や設備のリース料で初期費用を回収することで、住宅所有者が“初期費用ゼロ”で太陽光パネルを設置できるサービスもあると紹介されています。
初期費用の回収後は、家計にプラスになるとの試算ですが、定期的なメンテナンスの費用やその手間、付属機器の更新や故障の可能性も想定しておく必要があります。
■すべての建物に設置義務づける制度ではない
もし、購入したい住宅が日当たりの悪い立地であったり、太陽光パネルを設置できるほどの屋根面積がなかったりする場合はどうなるのでしょうか。都の担当者は「すべての建物に設置を義務づける制度ではない」と説明し、日照などの立地条件や住宅の形状などをふまえて住宅メーカーが設置するかどうかを判断し、北面屋根や屋根面積が小さい建物は除外するとしています。
■都民の理解と周知に注力
太陽光発電設備の設置や断熱・省エネ性能を確保することで、環境性能が高い住宅をより多くの人に選んでもらえるよう、都は、タレントやキャラクターを起用した解説動画や特設サイトを制作するなど力を入れています。
■小池知事「車と同じで家にも燃費があっていい」
条例成立からの2年間で都民の理解は深まったのか。2024年12月下旬、小池知事が日本テレビのインタビュー取材に応じました。
小池知事は「車の性能と燃費を見るのと同じように、家にも燃費があっていい」として、資源がない国で、電気料金が高騰し生活が厳しくなる中、再生エネルギーをどう有効活用していくのかを自分事として考えてほしいと述べました。
また、太陽光発電と蓄電池をセットにした場合、停電時には電力を確保することができるなど、自己防衛につながるよう太陽光発電を活用していきたいといいます。これらを都民に理解してもらうため「しっかり伝わる広報でみなさんの共感を得るような形でこれからも政策を進めていきたい」ということです。
■「廃棄パネル」2030年代半ばに年間50万トン
今後、懸念されるのは「大量の廃棄パネル」です。太陽光パネルの製品寿命は30年ほどと言われています。環境省によりますと、廃棄するパネルの量は2030年代半ばから顕著に増加し、最大で年間50万トン程度にのぼると推計されています。
こうした中、都は、リサイクルルートの確立に乗り出しています。解体業者、収集運搬業者、リサイクル業者、メーカー、メンテナンス業者などで構成する協議会を2022年に立ち上げ、住宅用太陽光発電設備のリサイクルルートの確立に向けて検討を進めています。
小池知事は、日本テレビのインタビューで、リサイクル設備を導入する事業者に対して補助を出すなど、都がサポートしていきたいとの考えを明らかにしました。今後、サポートする計画を確実なものにして、リサイクルの流れをつくっていきたいということです。
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