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台湾有事「2027年」に注意? 米中が全面衝突で“食べ物に困る”事態も ガソリンや灯油…生活への影響を検証【戦後80年】

日テレNEWS NNN / 2025年1月5日 17時3分

日テレNEWS NNN

日本の周辺では中国が現状変更の試みを続け、警戒感が高まっています。今年は戦後80年。日本テレビはNNN各局とともに「いまを、戦前にさせない」をテーマに考えます。2回目は、台湾有事が日本に及ぼす影響について小野高弘解説委員と考えます。

■「戦前」を思わせるような危険性

日テレNEWS NNN

杉原凜アナウンサー

「戦後80年となる今年、私たちは『いまを、戦前にさせない』をテーマに、様々な特集をお送りします」

小野高弘・日本テレビ解説委員

「『戦前』という言葉をなぜ使うかというと、いま、日本を取り巻く環境は戦前を思わせるような危険性をはらんでいるからです。その1つが台湾有事。もし台湾有事が起きたら私たちの生活がどうなるのかも考えます」

■大型武器も…中国海警局の船が侵入

日テレNEWS NNN

尖閣諸島の魚釣島。石垣島の北、約170キロに位置しています。石垣市議の仲間均さん提供の映像では、高級魚のアカマチ(ハマダイ)が釣り上げられていました。古くから、日本の漁師がここで漁を行ってきました。

しかし、いま周囲を見渡すと中国の船が。映像では「中国海警局、領海侵入しております。巡視船2隻が警備にあたっています」という声が収められています。

尖閣諸島の領有権を主張する中国。2008年以降に領海侵入するようになりました。近年では日本漁船を追って領海侵入するケースも増え、領海や日本の漁船を守る海上保安庁の巡視船とにらみ合いになることが常態化しています。

さらに、これまで一部の船しか搭載していなかった大型の武器を去年6月以降、尖閣諸島に現れる全ての海警局の船が搭載するようになりました。少しずつ、しかし着々と現状変更の試みを続けています。

■中国、2回の大規模な軍事演習

日テレNEWS NNN

その中国がいま見据えているのが、台湾の統一です。去年5月、中国が台湾独立派とみなす頼清徳氏が台湾総統に就任すると、台湾への武力侵攻を想定した大規模な軍事演習を5月と10月、2回にわたり実施しました。

中国軍は「独立を求める行為に対する警告だ」として、台湾を強くけん制しています。防衛省の幹部は「中国が様々な社会不安や経済への不満を解消する手段として、台湾侵攻に踏み切るかもしれないと危惧している」と話します。

■専門家たちが気にする「2027年」

日テレNEWS NNN

小野解説委員

「日本の周辺の海で、中国の圧力が強くなっているのがわかりますね。では、台湾有事が起きるとすればいつなのか。専門家たちは、2027年を気にしています」

「米軍司令官は去年3月20日の米下院軍事委員会で『中国軍が2027年までに台湾に侵攻する準備を整える』と述べています」

杉原アナウンサー

「2年後ですが、どうして2027年なのでしょうか?」

小野解説委員

「習近平国家主席が中国共産党の総書記として、3期目から4期目に入ろうという年です。この大事な節目の年に、台湾統一というレガシーを軍事力を使ってでも実現したい。そう考えるのではないか、ともみられているからです」

■沖縄の島民ら12万人が九州へ避難

日テレNEWS NNN

杉原アナウンサー

「この時に台湾有事になるかもしれないということですが、日本の私たちの生活にまで影響が出る可能性はあるのでしょうか?」

小野解説委員

「武力攻撃の可能性が高まった段階で対応が必要になります。まず避難です。台湾に近い沖縄の島の人たちなど約12万人に、九州に避難してもらうのが政府や県の計画です。『住み慣れた場所を離れたくない』という声も既に上がっています」

■台湾を取り囲むような軍事演習

日テレNEWS NNN

小野解説委員

「もう1つは、原油や物資です。日本への輸入に影響がありそうです。中国が台湾侵攻を想定して2回行った去年の軍事演習で、軍が展開した動きを図でたどると、ある特徴がわかります」

杉原アナウンサー

「(2回とも)台湾を取り囲むようにして軍事演習を行っています」

小野解説委員

「軍事力で周りを封鎖して、資源や物資が入らないようにするということを考えているかもしれません。ただ、この海域は日本にとっても大事な場所です」

■台湾周辺の海域封鎖で…タンカー迂回

日テレNEWS NNN

小野解説委員

「船の動きをトレースした図で確認すると、台湾周辺の海域は、中東から日本に原油を運ぶルートでもあることがわかります。日本向けの95%がここを通るといいます」

「もし中国がこの海域を封鎖したら、日本に原油を運ぶタンカーは台湾周辺を避けて大きく迂回することになりそうです。このことだけでも影響があると、専門家はみています」

日本エネルギー経済研究所・久谷一朗研究理事

「輸送コストが上がってしまうということを踏まえて、通常我々が見ている平時のマーケットとは違うレンジの上がり方をすると思います。まず影響が考えられるのはガソリン価格、それから暖房用の灯油。こういった物が値段も上がってくると思います」

■米中が全面衝突なら“悲惨な状況”も

日テレNEWS NNN

杉原アナウンサー

「もしこうなると、色々な物の値段が上がっていきますよね」

小野解説委員

「さらに深刻なケースでは、中国が台湾に侵攻してアメリカが軍事介入し、戦闘の影響が広い範囲に及ぶ場合です。久谷さんはここまでになる可能性は低いながら、もしそうなったら影響は大きいだろうと話しています」

久谷さん

「おそらくエネルギーだけではなく、全ての貿易財について輸送が制限される状況に近いと想像できます」

「最初は買い占めから始まるんでしょうけども、あらゆる物の値段が上がって、その利用が制限されるというような悲惨な状況にもなりかねない。食べる物にも困るという事態も、もしかするとあるかもしれません」

■過去にも物資不足…戦争を始めた日本

日テレNEWS NNN

小野解説委員

「振り返ると、日本は太平洋戦争とその前後に深刻な物資の不足がありました。それを思い起こすような事態ですよね」

杉原アナウンサー

「今後こうしたことがあるかもしれないと、今のうちから知っておくことが大切になりますね」

小野解説委員

「日本自身が戦争に突き進んでいった過去がありました。それを胸に刻んで、一人ひとりがどのようにして戦争をさせないか考える時です。外交や経済や文化、様々な面で働きかけることができます。いかがお考えでしょうか」

杉原アナウンサー

「日本テレビでは戦後80年に際し、戦争に関する記録を探しています。戦地や国内で記録された日記・資料・写真・映像など、皆さんがお持ちの情報をお寄せください」

    ◇

広島・長崎に原爆が投下され、戦争が終わって80年となります。戦争をした国に生まれた私たちが、二度と戦争を繰り返さないという「誓い」の意味を改めて考えます。情報提供サイトで資料や証言を募集しています。

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