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【解説】どうなる石破外交?米国・中国・韓国…3つの視点でひもとく2025年の展望

日テレNEWS NNN / 2025年1月5日 8時0分

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2025年、世界はアメリカのトランプ次期大統領を中心に回る。新たな世界秩序を描くトランプ氏に石破首相はどう向き合うのか?関係改善の兆しも見えてきた中国との距離感は?“大統領弾劾”で揺れる韓国との関係は?2025年の石破外交を展望する。(政治部 外務省担当 鈴木しおり)

■トランプ次期大統領とどう向き合う?――日米首脳会談は“センシティブな問題”に

2025年1月20日にアメリカ大統領に返り咲くトランプ氏。日本政府内には「防衛費の増額を求めてくるのではないか」「関税引き上げは交渉カードの1つにするつもりだろう」といった警戒感が広がっている。ある外務省幹部は、安倍元首相とトランプ氏の蜜月関係を振り返り「プレーヤーも状況も異なるのだから同じシナリオで進めることはできない」と話す。「新しい信頼関係を築いたうえで、トランプ氏に日米連携にメリットがあると伝え続けることが重要だ」(外務省幹部)。

石破首相は2024年11月中旬の南米訪問にあわせてトランプ氏と対面での会談を模索。しかし、トランプ氏側から「各国から会談要請が殺到していて調整がつかない」などと伝えられ、会談は実現しなかった。

その後、トランプ氏は11月末にカナダのトルドー首相と、12月上旬にはフランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相とも会談。ある外務省関係者は「G7首脳のなかで石破首相だけがトランプ氏と会談できていないとなれば見ばえが悪い。この問題が省内で“センシティブ”になっている」と打ち明ける。

一方、外務省幹部は「これまでのトランプ氏と各国首脳との面会は、行事に合わせて短時間接触したケースか、話し合うべき懸案事項を抱えているケースだ」と指摘。そのうえで「日本としては落ち着いた環境で正式な会談を目指すべきだ」と強調した。

12月中旬に事態が進展する。トランプ氏側が「1月中旬であれば会談に応じられる」と日本側に伝達。外務省内では「就任後の正式な会談が望ましい」との意見が根強かったものの、トランプ氏の意向を受けて、いったんは1月下旬の国会召集前の訪米に向けた調整に入った。しかし結局、2月以降の早い時期で再調整に入ったという。20日にはトランプ氏の大統領就任式があり、ある政府関係者が「正式に大統領になった後がよい」と話すなど、正式な首脳同士として会談したほうが良いと判断したとみられる。

■中国は日中関係の改善に思惑含み?――石破首相は“積極的な対話”方針

石破首相と習近平主席 11月の日中首脳会談にて

もう1つの大国、中国はどうだろうか。石破首相は、2024年10月のASEAN首脳会議で中国の李強首相と、11月のG20首脳会議では習近平国家主席と会談。ある外務省幹部は「日中間はテンポよく対話ができている」と胸を張る。

また、2024年後半には日本産水産物の禁輸措置の緩和に向けた合意や、日本人の短期滞在ビザ免除など、関係改善の兆しも見られた。「中国側の『日本との関係をある程度、元に戻そう』という意識の現れではないか」(外務省幹部)。

中国はなぜ、このタイミングで対日姿勢を修正しているのだろうか。別の外務省関係者は、“中国経済の低迷”が背景にあると分析する。「いま、中国はトランプ次期政権とどう対峙するかで頭がいっぱい。経済が低迷するなか、関税の引き上げは死活問題になるからだ」(外務省関係者)。“貿易戦争”を引き起こしかねない強気の通商政策のみならず、対中強硬派の要職への起用を次々に打ち出すトランプ氏。米中対立が先鋭化するリスクが高まるなか、中国には日本との関係を改善したい思惑があるとみられる。

一方で、外交関係者に“あるデータ”が衝撃を与えた。2024年12月に「言論NPO」などが発表した世論調査によると、中国側で「日本に対して良くない印象を持っている」と答えた人は、去年と比べて24.8ポイント増で87.7%にのぼった。「ここまで対日感情が悪化しているとは衝撃的だ」(外務省関係者)。急速に悪化した理由について、この関係者は「中国政府が煽っている部分もある。暴走したSNSを取り締まることもしない」とため息をつく。

石破首相は周辺に「お互いに譲れないものは譲らないが、助け合える部分は助けていく。それが外交だ。政治家同士が真剣に考えることが重要だ」と語っていて、積極的に対話を重ねることで懸案事項の解決を目指す考えだ。ただ、対中強硬論を深めるアメリカに配慮する必要もあり、ふたつの大国に向き合うバランス外交が求められている。

■激震の韓国社会…日韓関係はどうなる?――“少数与党では足元を見られる”指摘も

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そして、12月に入りアメリカ、中国に加え大きな懸案となったのが韓国との関係だ。尹大統領が一時宣言した“戒厳令”を契機に、混乱を極める韓国政界。2025年1月上旬に予定されていた、石破首相の訪韓も中止となった。2025年は日韓国交正常化60年の節目となり、尹大統領を国賓として招待する案も水面下で検討されていただけに、外務省内には動揺が広がっている。

日韓関係は去年、岸田首相と尹大統領の良好な関係のもとに大きく改善を見せたが、仮に革新系の野党が政権をとれば根本から揺らぐ。ある外務省関係者は「日韓協力はリセットどころか逆行するだろう」と肩を落とす。一方、別の関係者は「歴史認識では厳しくなるが、安全保障面では現実を見て日韓協力を継続するのではないか」と分析している。

良好な日韓関係は日米韓3か国の関係も深めた。バイデン大統領は“異例”のおもてなしで、両首脳を“別荘”キャンプ・デービッドに招くなど、日米韓の関係改善はバイデン政権のレガシーの1つとなった。しかし、国際協調の枠組みを軽視するトランプ氏に加え、仮に革新系が政権を握り厳しい対日姿勢を取ったとすれば「日米韓の連携は崩れる」(外務省関係者)と心配する声が出ている。別の外務省関係者は「日米韓の関係が崩れれば、中国や軍事協力を深化させているロシアと北朝鮮が“暴発”し、東アジア情勢が緊迫化するかもしれない」と警鐘を鳴らしている。

2025年の世界秩序――それはトランプ氏の大統領再登板で大きく変容する。ある外務省幹部は石破外交について「政権の安定性と継続が外交にとっては重要だ。少数与党では足元を見られることもある」と指摘する。少数与党という厳しい状況が続く中、「石破流外交」でどれだけ成果をあげられるか、強いリーダーシップを期待したい。

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