選手権準Vの流通経済大柏...涙のロッカールーム 監督が伝えた思い「まだ決着はついてないんだよ」

熱いメッセージを選手に伝えた流通経済大柏の榎本雅大監督(写真：森田直樹/アフロスポーツ)

◇第103回全国高校サッカー選手権決勝(13日、国立競技場)

全国高校サッカー決勝は、前橋育英(群馬)がPK戦の末に流通経済大柏(千葉)に勝利。7大会ぶりの優勝で幕を閉じました。あと一歩で頂点に届かなかった流通経済大柏は、試合後のロッカールームで榎本雅大監督が涙にくれる選手たちへ熱い思いを伝えました。

試合は前半12分、流通経済大柏のMF亀田歩夢選手が先制ゴールを決めます。しかし前半31分に追いつかれ同点へ。そのまま後半、延長戦でも勝負はつかず、試合はPK戦にもつれこみます。

PK戦でも両者7人目まで連続で成功。10人目までもつれる死闘となりますが、前橋育英のGK藤原優希選手の好セーブにあい、優勝を逃しました。

PK戦直後、仲間に支えられて移動する流通経済大柏のGK加藤慶太選手

試合後、選手たちは下を向いて涙を流し、ぼう然と座り込み、ロッカールームで悔しさをにじませます。そんな選手たちに榎本監督は「自分の力不足で勝たせられなかったという申し訳なさはあるんだけど、それ以上に、みんなに対しては本当に感謝でいっぱいだし、最後まで流経らしく戦ってくれて感謝してる」と口を開きます。

そして「勝ち負けは別として、高校サッカーの素晴らしさ、どうだ？楽しかったか？素晴らしかったよな。お前らの姿も本当に素晴らしかった。みんなの姿を見て次の世代の選手たちがみんなを目指す。みんなが築いた足跡は...」と声を詰まらせ、「必ず先につながると思うんだよね」と涙ながらに言葉を絞り出します。

続けて、「だけどお前たち今日悔しい思いしたから、もっと強くなって、この流経サッカー部を超えろ。人としてな。もっと強くなれ。勝てるように。もう一回大きい夢もって、もっと大きい男になれ。絶対。いい？この流経を超えていく、お前たちは絶対そういう才能があるからな、いいか？これで終わるなよ絶対。3年間、本当ありがとな」と、引退する3年生へ感謝を伝えました。

さらに「残された1、2年生は、この3年生が見せてくれたもの、そして今日感じたこと、必ず帰ってきて、来年応援に来てもらってね、みんなで」と、来年のリベンジに向け下級生へメッセージ。

最後に、「まだ決着はついてないんだよ。1-1の引き分け、記録上はな。お前たちの後輩が、もう一回連れてきてくれるからな。いい？お前たちとしては、大きい男になって、強い男になって、応援に来てくれ。ありがとうな本当。本当にありがとう。ごめんなさいって言ったけど、ありがとうっていう言葉、それしか出ない。本当にありがとう」と、締めくくりました。

愛のこもった言葉に、ロッカールームには涙で鼻をすする音が響き渡ります。そして一人一人に声をかけ握手と抱擁をかわす榎本監督の姿がありました。