「過去最多」訪日客、消費額は8.1兆円「6人で日本人1人分」 京都の宿泊税10倍も “アレルギー”対策は【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2025年1月16日 11時14分
去年に日本を訪れた外国人旅行者は過去最多を更新。消費額も最高となり、日本経済にとっても大きな存在になっています。一方で課題も多く、様々な対策が展開されています。地域とのあつれきを抑え、長期的に観光客を増やすにはどうすればいいのでしょうか。
そこで今回の#みんなのギモンでは、「訪日外国人最多 受け入れは?」をテーマに解説します。
■最多だった2019年から16%増
猪子華・日本テレビ社会部記者
「15日に最新のデータが発表されました。去年に日本を訪れた外国人の数が過去最多となったことがわかりました。一方で、増え続けているからこその課題もあります」
「日本政府観光局の推計値によると、日本を訪れた外国人旅行者はこれまで、コロナ禍前の2019年が過去最多で約3188万人でした。コロナ禍で激減しましたが、2023年には約2507万人にまで回復しました」
「そして、去年はついに2019年から約16%増えた約3687万人で過去最多となりました」
鈴江奈々アナウンサー
「今朝も通勤の途中で外国人観光客の方に会いましたし、会わない日はないですよね」
桐谷美玲キャスター
「場所によっては日本人よりも外国人の方が多いところもありますよね」
■訪日客の消費額 いくら使っている?
猪子記者
「実感するところかもしれないですよね。旅行客がたくさん来るとその分、消費額も増えます。去年1年間で外国人旅行者が日本で使ったお金は約8.1兆円(速報値)で、こちらも過去最高でした。交通費や宿泊費など、1人あたりの旅行支出は22万7000円です」
「こんな計算もできます。日本人が、食費や家賃など1年間に消費する額は平均で135万円とされています。少子高齢化で日本で人口減少が進んでいく中、外国人旅行者が6人来れば、減る日本人1人の年間消費額を補えるという計算になります」
森圭介アナウンサー
「日本の経済を回していく上でも、外国人観光客の皆さんをたくさん誘致してお金を落としてもらうのが重要になってくるということですよね」
猪子記者
「こうして見ると結構大きい額だなと思いますよね」
■旅行先は「三大都市圏」に集中
猪子記者
「外国旅行者はどこを訪れているのでしょうか? 宿泊した場所のデータ(観光庁、のべ宿泊者数)を見ると、首都圏・名古屋・関西都市圏のいわゆる三大都市圏が約7割。ほかの39道県を合わせて約3割でした。いかに都市圏に集中しているのかがわかりますよね」
忽滑谷こころアナウンサー
「仕事で出張する時に、これらの都市圏のホテルを取ろうとしても取れなかったり、価格が高くなっていたりということを実感します。やはり外国人観光客の皆さんの影響は、私たちの生活にも届いているんだなと感じますよね」
■課題解決へ…「宿泊税」導入の動き
猪子記者
「地元への影響も広がってきていますよね。観光地の課題の解決のために、一部の自治体では外国人旅行者からも含めて宿泊税を導入する動きが進んでいます」
「14日に京都市が発表したのは、宿泊税の引き上げ案です。例えば、宿泊料金が1人1泊あたり2万円~5万円未満の場合は(現在の500円から)1000円に、10万円以上の場合は(1000円から)1万円に、それぞれ大幅に引き上げるというものです」
「適用されると、宿泊税による税収はこれまでの2倍以上の約130億円になる見込みで、市長は『市民生活に還元していきたい』という考えを示しています」
森アナウンサー
「これは外国人観光客だけでなく、日本人観光客も払うということですね」
猪子記者
「また、東京ディズニーリゾートがある千葉・浦安市では宿泊税を1人1泊につき100円~150円を徴収する方針です。導入時期はまだ決まっていませんが、税収は1年間で約11億6000万円になる見込みで、インフラ整備や観光地のゴミ問題などに使う予定といいます」
鈴江アナウンサー
「どっと押し寄せてくる外国人観光客、それによって地域が暮らしにくくなっている課題を解決するためにもお金が必要というのは(多くの人に)共通する認識だと思います」
「ただ、宿泊税を一律に外国人(から)も日本人(から)も取るとか、施設の規模も関係なく一律にとなると、様々な意見はありそうですね」
猪子記者
「地域での議論が大事になってくるのではないかなと思います。そして、都市圏に集中する観光客を地方に呼び込んでいくことも重要になりますよね。各地で取り組みが広がっています」
■新潟の「ナイトマルシェ」開催の背景
猪子記者
「新潟・湯沢町で一昨年から定期的に開催しているのが『ナイトマルシェ』です。屋台などが並んでいて、観光客が自由に飲食を楽しむことができます」
イギリスとスロバキアから来た人
「(飲食店は)人が多すぎてとても混んでいます。9人で入れる店はないので、ここに来ました」
猪子記者
「外国からの観光客は素泊まりを選ぶ人も多い一方で、まちの飲食店は観光客が多くて予約なしでは入るのが難しい現状があるということです。マルシェは、そうした人たちの受け皿になっているんです」
■負担軽減へ「泊食分離」に注目
猪子記者
「こうした、宿泊と食事を切り離して考えるスタイルは『泊食分離』と呼ばれています。高齢化や人手不足に悩む地方の宿泊施設が食事を提供する負担を減らし、素泊まりだけでも経営を続けていけるというメリットもあり、注目されています」
森アナウンサー
「その分、飲食店は必要になりますけどね」
■「船×鉄道」で観光客を島々へ
猪子記者
「JR西日本グループは、地元の海運会社などとともに観光クルーザー『SEA SPICA』を運航しています。船と鉄道を組み合わせることによって、アクセスしにくい瀬戸内海の島々などの観光スポットを巡りやすくして、観光客を呼び込むという狙いがあります」
桐谷キャスター
「島にも本当に素敵なところがたくさんあるので、『行きたくてもどうやって行ったらいいかわからなかった』という方にも利用してもらえたらいいですよね」
鈴江アナウンサー
「アクセスが良くなれば、それだけ訪れるきっかけになりますよね」
森アナウンサー
「パッケージで提供してもらえると助かりますよね」
猪子記者
「鉄道との組み合わせで行けるように提案しているそうです」
■長期的に旅行者を増やすためには
猪子記者
「今後長期的に旅行者を増やしていくためには、何が課題なのか。元観光庁長官の和田浩一さんに聞きました」
和田さん
「外国人旅行者に対して観光地の地域住民が、混雑やマナーの悪さなどにアレルギーを感じてしまわないようにすることがとても重要。観光によるメリットがいかに地域の生活にプラスになっているか実感してもらう一方で、デメリットの対策も丁寧に行うことが重要」
「これだけ外国人旅行者が増えているといっても、国内に落ちる観光消費額全体の約8割は日本人の国内旅行によるもの。国内旅行の消費を減らさないための対策もないがしろにはできない」
鈴江アナウンサー
「地域によっては外国人観光客がどっと押し寄せてきて暮らしにくくなったと感じている方もいらっしゃるかもしれません」
「(湯沢町の)ナイトマルシェのように、混雑という課題を新たなビジネスチャンスに変えるなど、地域経済の活性化につながるようなチャンスにしていければいいなと思いました」
猪子記者
「人数も消費額もますます増えているからこそ、いかにその効果を地方に波及させて、日本全体の盛り上がりにつなげられるのかどうか。今後のカギになっていくと感じました」
(2025年1月15日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
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