トランプ氏就任、初日に何が起きる? 不法移民対策、関税の強化、環境規制やめる…日本への影響は【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2025年1月20日 21時23分
日本時間の21日未明にアメリカの大統領に就任するトランプ氏。その初日に何が起きるのか、世界中が戦々恐々と見守っている状況です。トランプ氏は、就任初日に約100本の大統領令に署名すると明らかにしています。
そこで今回の#みんなのギモンでは「トランプ氏就任、初日に何が起きる?」をテーマに解説します。
■不法移民対策「史上最大の強制送還」実施へ
富田徹・日本テレビ解説委員
「トランプ次期大統領の就任式が日本時間の21日午前1時半頃行われます。その初日に何が起きるのか、トランプ氏はさっそく、100本近くの『大統領令』に署名すると言っています」
森圭介キャスター
「100本という数字は、かなり多いのですか?」
富田解説委員
「これは尋常じゃない数です。さらに一気にやるというのも異例です。ではどんなものがあるのでしょうか。まず『関税の強化』それから『不法移民対策』。そして『環境規制をやめちゃう』、さらに大規模な恩赦やTikTokなどなどです」
「なかでも不法移民対策については『史上最大の作戦』を行う、と言っています。移民の人々が不安を抱える様子を取材しました」
◇
目と鼻の先がメキシコのアリゾナ州ユマ。この国境を隔てるために建設されたのが、第1次トランプ政権時の目玉政策、“トランプの壁”です。
3年前に一部コンテナで埋められただけだった場所は、バイデン政権中、細かい編み目の鉄柵に様変わりしていました。
岡田光弘記者(1月15日)
「以前ですと、この時間、壁の奥でたくさんの人の足音が聞こえたんですが今は聞こえません。壁の端から人の姿も見られません」
“トランプの壁”が不法移民を阻んでいるようにみえます。
それでも現在アメリカに住む不法移民は、推計約1100万人。国境から遠く離れた首都ワシントン近郊の街にも大勢の不法移民が暮らしています。
増田理紗記者(1月14日)
「トラックなどのレンタル会社の前なんですけど、人がたむろしています」
レンタカー会社周辺にたむろする男性たち。記者が近づくやいなや…
男性たち
「引っ越しの手伝いは必要か?」
「労働力はいるか?」
記者
「いくらですか?」
男性
「いくら出せるか次第だ」
記者を取り囲み、引っ越しを手伝うと“売り込み”が始まりました。
男性たち
「俺と話せ」
「いや俺と話せ」
男性同士で仕事の奪い合いに。
記者
「ビザはあるんですか?」
ビザの有無を聞くと…
男性
「いいえ…」
彼らのうち、ほぼ全員が在留資格を持たない不法移民だと明かしました。
2016年のデータによると、メリーランド州で仕事に就いている不法移民はわずか6.4%。トランプ氏の“不法移民一掃”を受け、弁護士の元にも問い合わせが増えていると言います。
移民の在留手続きなどを支援する弁護士
「選挙の翌日、朝の5時頃から相談のメールが届き始めました。彼らは眠れないほど不安なんです」
また、移民の強制送還をめぐっては…
移民の在留手続きなどを支援する弁護士
「移民が担っているような労働力を狙うということは、メリーランド州だけでなく、全国的に確実に影響が出て、いろんな物の値段が上がるでしょう」
労働力不足による賃金上昇が価格に転嫁されて、インフレをまねくとの指摘も出ているのです。社会を支えてきた移民の強制送還は、アメリカ経済にどのような影響を与えるのでしょうか。
◇
富田解説委員
「改めてトランプ氏の政策をみていきます。不法移民対策では『史上最大の強制送還』を行うとしています。それからアメリカで生まれた子どもに自動的にアメリカの市民権が与えられる制度も停止するとしています。不法移民の間に生まれた子どもにアメリカ国籍を与えないようにするためだということです」
鈴江奈々キャスター
「これまで与えられている人たちの市民権を剥奪するというよりは、これからアメリカで生まれる子どもたちに対してという政策になるのでしょうか?」
富田解説委員
「基本的にはそうだと思いますが、はっきりしないところもあります。いずれにせよ、移民に開かれた国という政策の大転換となります」
■関税強化や環境保護に逆行する政策も
富田解説委員
「次に関税強化です。メキシコとカナダに25%の関税を課すことや、中国にも10%の追加関税を課すとしています。これとは別に、全ての国からの輸入品に一律10%から20%の関税を課すとも言っているほか、関税の徴収を専門に行う『外国歳入庁』を新たに作ると言っています」
斎藤佑樹キャスター
「もちろん日本も対象になると思いますが、何%かかってくるのか、これからの経済には重要ですよね」
富田解説委員
「気になるところです。ほかには環境保護に逆行する政策も打ち出します。選挙中にトランプ氏が連呼していたのが『掘って掘って掘りまくれ!』というもの。石油と天然ガスを掘りまくって、ガソリン価格を下げるんだということで、様々な環境規制を棚上げにすることを考えています。具体的には気候変動問題に対する国際的な枠組みである『パリ協定』から脱退する。また、EV=電気自動車への補助も見直すとしています」
瀧口麻衣キャスター
「世界中で環境問題に取り組んでいこうという中でのこの動き。今後、大きな影響が出そうですね」
富田解説委員
「まさに、アメリカは温室効果ガスを世界で2番目に排出している国ですし、各国の取り組みの足並みも乱れるということで、影響は深刻です」
富田解説委員
「ほかにも前回の大統領選挙の後、トランプ氏の敗北を認めない支持者らが議会を襲撃して訴追されていましたが、この人たちに恩赦を与える、それからバイデン政権が安全保障上の懸念があるとしてダメと言っていたTikTokの利用を続けられるようにする、というものもあります」
森キャスター
「これまでの流れとガラッと変わる政策が多くありそうですね」
富田解説委員
「大転換をするということになります。では実際に日本経済にどのような影響が考えられるのか、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・熊野英生さんに聞きました」
■トランプ氏の政策…日本経済への影響は
富田解説委員
「まずは関税。例えば日本からアメリカに乗用車を輸出する際にかかる関税は今は2.5%。これが10%、20%に引き上げられたらどうなるのか。熊野さんは『日本企業の業績悪化の要因になる』と言っています。また、アメリカが輸入するものに関税がかかるとアメリカの物価高の原因にもなって、さらに円安を引き起こす可能性があり、これが回り回って『日本の物価高につながる恐れもある』と言います」
「一方で、トランプ氏は関税を上げる分、企業への税金を下げると言っていて、これで景気が良くなると、日本経済への好影響も考えられるということで、実際は政策が出そろってみないとわからないところもあるといいます」
「次に不法移民の取り締まりで人件費が上がると、これまた回り回って日本の物価高につながる可能性もあると言います」
「さらに株式市場ですが、トランプ氏の政策の影響を見極めるため当面、上げ下げが激しい展開も予想されるため、例えばNISAなどをやっている人はあまり一喜一憂して取引を急ぐのではなく、冷静に見極めることをお勧めするということでした」
鈴江キャスター
「やはりこの先、不透明感があるということで、しっかり私たちもこの変化を注視していかなければいけないですね」
富田解説委員
「いずれにしてもアメリカと世界が大きく変わる瞬間なので、私たちも注意深く見守りたいと思います」
(2025年1月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)
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