警察庁の楠芳伸・新長官に聞く トクリュウ対策「先手先手で」 選挙時の偽情報「刑事事件として取り上げるべきものがあればしっかり対応する」
日テレNEWS NNN / 2025年1月29日 17時30分
今月27日に就任した警察庁の楠芳伸長官が日本テレビのインタビューに対し、「匿名・流動型犯罪グループは金がもうかることであれば何でもする」「先手先手でやっていくことが大事」などと強調しました。
Q.違法な求人への対策強化や、仮装身分捜査などの新しい取り組みが打ち出される中、闇バイトにどう対抗していく? 特に闇バイト強盗については首謀者の検挙をどう進める?
【楠芳伸長官】いわゆる闇バイト強盗は、市民の皆さんの平穏な生活を脅かすものなので、本当に大変な治安上の課題だと思っています。やはり、指示役や首謀者を一刻も早く検挙して、事案の全容を解明することが、警察に課せられた大きな課題だと思っています。仮装身分捜査などの新たな手法も駆使しながら、徹底した突き上げ捜査をやっていきたいと思っています。いま警視庁を中心として、関係都県警察で合同捜査本部を設置していますので、そこでしっかりと捜査を進めていくことが大事だと思います
Q.闇バイトで実行役を募集する匿名・流動型犯罪グループ、トクリュウが脅威だ。取り締まりの方針は?
【楠長官】匿名・流動型犯罪グループは、本当に治安上の大きな課題だと思っていまして、特殊詐欺、投資ロマンス詐欺だとか、およそ、とにかくこれらのグループの目的は資金を得ることですので、違法な犯罪収益の流れを止めるというのが一番大きなことだと思っています。彼らは要するに、金がもうかることであれば何でもする。我々としても彼らがやってきていることに対して、後れを取らないように、先手先手でやっていくことが大事だと思っています。そういった意味では今回、悪質ホストの問題とか、金属盗への対応ということで法案を提出することにしていますが、これは警察の取り締まり強化や、犯罪抑止の大きな武器になると思っています。関係機関や団体とも連携しながら、しっかりとトクリュウの資金獲得活動の実態解明をして、徹底した取り締まりをしていきたいと思っています
Q.海外トクリュウとも言うべき、海外拠点から日本を狙ってくる犯罪が後を絶たない。これらのグループに、どのようにアプローチする?
【楠長官】去年も東南アジアの4か国、タイ、フィリピン、カンボジア、ベトナムで、日本人が関与するような特殊詐欺グループが摘発されて、我が国に送還されていますけれども、海外に拠点を置くグループの対策も大事な課題だと思っています。最近は本当に外国当局も日本の警察に、とても協力してくれておりますので、こういった協力関係をさらに深化させるとともに、これも結局、金をもうけるということでありますので、金を止めるという意味では金融機関と連携したマネーロンダリング対策でありますとか、あるいは外国から電話がかかってくるということもありますので、そういった遮断の対策だとか、警察のみならず、関係機関、団体としっかり連携して対応していきたいと思います
Q.ランサムウェアやDDoS攻撃など、サイバー攻撃が相次いでいる。現状の受け止めと、能動的サイバー防御に関して、警察として、どう行うか、見えている課題はあるか?
【楠長官】個人のメールアカウントがフィッシングメールであふれかえったり、ランサムウェアとか年末のDDoS攻撃といったものが顕著に見られるほか、不審なアクセス件数も増加の一途をたどっているということですので、サイバー空間の脅威は非常に高まっていると思っています。これがまた、国民の皆さんの体感治安の悪化にもつながっているんじゃないかと思っています。そういった意味で、いま政府全体では能動的サイバー防御を警察の業務として位置づけるための法案が、国会に提出されようとしていますけれども、まさに警察庁としても、しっかりとその議論に参画をしているところであります。サイバー対策を進めていく上で、やはり大事なことは、必要な人材を確保するということと、装備資機材を整備して対処能力の向上を図っていくことだと思いますので、そういった点において遺漏のないように、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。それと、やっぱりサイバーというのは国境がありませんので、外国の当局との連携強化というのも当然重要になってくると思います
Q.DMMビットコインの不正流出の背景に、北朝鮮のハッカー集団がいると特定された。こうした北朝鮮の脅威に、どう対抗していくか?
【楠長官】北朝鮮の核ミサイルは安全保障上最大の関心事になっていますし、警察にとっては、なによりも拉致の問題、政府全体として、最重要課題として取り組まなければいけないことだと思っています。特にサイバー空間においては、北朝鮮を背景とするようなグループが暗号資産を狙っている話ですとか、北朝鮮のIT労働者が資金獲得活動をやっている、そういった何が起きているかを警察が実態解明をして、パブリックアトリビューションや注意喚起ということを通じて、世の中に明らかにしていくということが、とても大事なことだと思っています。こういったことによって、我が国の国益が損なわれることのないよう、しっかりと情報収集、分析、違法行為の取り締まりをやっていきたいと思います
Q.去年は、つばさの党や不適切なポスターといった形で、選挙のあり方が変化した。兵庫県知事選ではSNS上での名誉棄損や誹謗(ひぼう)中傷が問題に。選挙の現状の所感は? 今後、都議選、参院選と控える中で警察として、どう対応する?
【楠長官】一般論になりますが、選挙が公正に行われて、国民の意思が正しく政治に反映されるというのは、民主主義の根幹だと思っていまして、公職選挙法など一定のルールの下で選挙活動を行うことになっています。選挙の公正を確保することが警察の重要な責務だと思っています。いろんな妨害事案ですとか、偽情報ですとか、そういったものにつきましても、警察として刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて、しっかり対応していくことが、なによりも大事じゃないかと思っています。そうしないと、選挙全体に対する国民の皆さんの信頼が損なわれることになりかねないので。
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