厚労省年金制度改革 基礎年金底上げ案の判断先送り 29年以降に
日テレNEWS NNN / 2025年1月29日 18時54分
厚生労働省は、将来の年金の給付額が少なくなることを防ぐために検討されていた「マクロ経済スライド」の早期終了について、判断を先送りする案を29日、自民党に示しました。
日本の年金制度では、現役世代の保険料の負担を抑えるため、年金額の伸びを物価や賃金の伸び率に比べて低くおさえる仕組み、「マクロ経済スライド」が導入されています。
この「年金の伸びをおさえる」期間が長くなり、特に今の40歳代以下の人たちが受けとる基礎年金の給付額が低くなることを防ぐため、厚労省は「マクロ経済スライド」を早く終わらせるための方法を議論してきました。
しかし、厚労省は29日、この早期終了を実施するかどうかの判断は、2029年に予定されている次回の年金財政検証後に先送りする案を自民党に示しました。
厚労省は「経済が成長し、実質1%の成長が続けば、かなり高い基礎年金の水準を守れる。そうするとマクロ経済スライドの早期終了の必要性は低くなる」としながらも、「将来どんな経済になるか現時点での判断難しい」と述べ、マクロ経済スライドの早期終了は、あくまで「経済が好調に推移しない場合」に実施するものだと説明しています。
しかし、どういう場合に、早期終了すると判断するのかについては、「総合的に判断する」と述べ、具体的なことは示していません。
また、「マクロ経済スライド」の早期終了を実現する場合に、基礎年金を底上げする方法としては、会社員が納めてきた厚生年金の保険料の「積立金」の一部を使う案が示されていましたが、これには反発の声もあったため、厚労省は厚生年金の「積立金」を使って年金額を底上げする対象としては、国民全体とするのではなく、自営業や無職の人などを除くという、新たな案を示しました。
基礎年金を底上げする場合、将来的には、年間数兆円の税金がさらに必要になることも大きな課題となっていますが、この点については「安定財源の確保の状況等を踏まえて」と書くにとどまりました。
厚労省は、与党とさらに調整し、これらを含む年金制度改正法案をとりまとめ、通常国会に提出、成立を目指します。
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