「原発から逃げられない」──回帰のワケ、どこに建設? 候補地住民「町に元気を」「不安です」 “新型”を初取材『every.特集』
日テレNEWS NNN / 2025年2月8日 14時12分
2011年の福島第一原発事故以降、原発への依存度を「可能な限り低減する」という方針だった日本。しかし、「最大限活用」へ大きく舵を切ろうとしています。なぜ今、“回帰”なのか。不安と期待が入り交じる候補地や、新型原子炉の開発現場を取材しました。
■美浜町民「原発建設はあってもいい」
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福井県の南に位置する美浜町。昨年12月、日本海の冬の味覚・ブリの水揚げが最盛期を迎えていました。町の産業の中心となってきたのは原発です。実はここに、新しい原発が造られる可能性が出てきました。
美浜町に住む人
「早く(原発を)建ててほしいという意見もたくさんあります。(原発建設は)あってもいいと思います」
日本のエネルギーのあり方を定める「エネルギー基本計画」。火力や太陽光など、将来何を発電源とするのかについて国の方針が示されています。
14年前の福島第一原発の事故をきっかけに、日本のエネルギー政策は「原発への依存度を可能な限り低減する」(2014年の第4次エネルギー基本計画以降)としてきました。しかし、この方針が大きく見直されます。
■方針転換の背景に「エネルギー」高騰
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「再生可能エネルギーと原子力をともに最大限活用」(第7次エネルギー基本計画案)。日本は、原発を「最大限活用」することに大きく舵を切るのです。
原発を最大限活用するという政府の方針。背景にあるのは、世界的なエネルギー価格の高騰です。CO2の排出削減も世界的な公約となる中、資源の乏しい日本では原発は排除できないといいます。今後、デジタル化が進み電力需要の増加も見込まれます。
今ある原発の再稼働だけでは将来の電力をまかないきれないとして、新しい原発の建設を進めていく計画です。
■1970年に運転を始めた美浜原発
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では、新しい原発はどこに建設されるのでしょうか。日本テレビの取材によると、福井県にある関西電力美浜原発に新しい原発を造るのが最も有力とみられています。
美浜原発は1970年、運転を始めました。この年に開催された大阪万博の会場には、「万博に原子の灯(ひ)を」を合言葉に、美浜原発から電気が届けられました。それから55年が経ちました。
3基の原子炉のうち1、2号機は廃炉作業が行われていて、3号機のみが運転しています。最盛期に比べて働く人は大幅に減り、現在は1日2000人が働いているといいます。
■原発建設、1兆円規模のプロジェクト
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町も、人はまばら。去年12月、数少ない飲食店の1軒を訪ねました。「あなぐら ももんじ」ではランチの時間帯、48席中でお客さんは5人でした。
店主の中村俊彦さん
「ランチはやめようかなと。お客さんが来ない。単にそれだけです。大変です」
わずかな客では、儲けは出ないといいます。日本海でとれた鮮度抜群の刺身や、天然の鯛を使ったたい飯が店のウリ。たい飯TKG(税込み1320円、1月20日でランチ営業終了)は、軽く漬け込んだ鯛に、福井の地鶏の卵をかけていただきます。
大阪からの客は 「関西でこれだけのクオリティーのものを食べようと思ったら、この値段では食べられない」と話しました。
原発の建設は1兆円規模のプロジェクトと言われています。美浜町に建設が決まれば、経済効果は計り知れません。
店主の中村さん
「建設となると、定検(定期検査)と違って一気に全国から作業員さんが集まってこられる。町に元気がない感じなので、(建設を)きっかけに元気を取り戻せたらいい」
■建設会社社長「安全に運営できる」
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新たな原発建設に期待を寄せる人は、他にもいます。従業員50人ほどの建設会社「耕雲商事」社長の国川晃さん。発電所内で、廃棄物処理や除雪の仕事を行っています。
国川社長の父の清さんは、発電所の建設工事にも携った原子炉内の大型クレーン操縦技師。親子で、原発と共存した暮らしをしてきました。
国川社長
「3.11(福島第一原発の事故)があった後、美浜3号機の(安全)対策工事をずっと見てきています。後がないという業界の中でやってきた。そこまでの(安全)対策工事をやった今なら、ちゃんと安全に運営はできるという自負や自信もある」
■町民「事故が起きたら地域は破壊」
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一方で、事故を心配する人もいます。美浜町に住む人は「表だって反対するのは難しい。事故が起きたら地域は破壊されます。不安ですね」と話します。
14年前の福島第一原発の事故。事故が起これば、人々の暮らしは一変します。避難を強いられ、ふるさとも仕事も失います。その損失は計り知れません。
新たな原発への期待と不安が交錯する中、関西電力の森望社長は日本テレビの取材に対し、「(さまざまな検討が必要であるが)美浜原発は新しい原発建設の候補地の一つ」と答えました。
その社長の姿は1月10日、美浜町にありました。「新年の挨拶」として、町長と面会したということです。
■開発中の原子炉、初のメディア取材
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では、新しく造られる原発とはどのようなものなのでしょうか。
兵庫・高砂市にある原発メーカーを訪ねました。開発中の原子炉をメディアとして初めて取材することが許されました。
カメラが捉えたのは、最新型の原子炉の模擬体。新型原子炉の7分の1の模型を使って、実験が行われていました。数百個ものセンサーで、原子炉内の水の流れや振動などさまざまなデータを集めて、安全性の確認を行っているといいます。
三菱重工原子力研究推進部の坂田英之次長
「現状は問題なくデータ取り等もうまくいっているところです」
■放射性物質を閉じ込める設計に
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福島第一原発の事故では核燃料が溶け落ちたことにより、冷却が困難となり、原子炉の中に封じ込めることができなくなった大量の放射性物質が外部に放出されました。
新型原発では、コアキャッチャーと呼ばれる機能を新しく装備します。核燃料が溶け落ちたとしても、原子炉の下に造られた溝を通り、その先にある部屋に導かれるよう設計。その後、大量の水で核燃料を冷却し、放射性物質を内部に閉じ込める構想です。
三菱重工の三牧英仁執行役員
「いろんな安全対策を施しているが、安全対策を施したうえでも万が一の炉心溶融事故(メルトダウン)も想定して、(事故の)対応も確実にできるようになっている」
その他、地震や津波などの安全対策についても、新型原発の基本的な設計は「ほぼ完了している」としています。
■課題は…ベテラン技術者が次々引退
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しかし、課題もあるといいます。兵庫・神戸市の工場を訪ねました。
三菱重工原子力工作部の富田昌考部長は「これは海外向けの蒸気発生器です」と説明してくれました。ここで造られていたのは、全長21メートルもある、原発で使われる装置。世界でも数か所でしか製造できない、特殊なものです。
福島第一原発の事故が起きてから14年間、国内では新たな原発の建設はストップしたまま。その間に、ベテラン技術者は次々と引退していて、あと10年もすれば、建設時のノウハウを熟知する経験者の大半がいなくなるといいます。
富田部長
「全体のだいたい半分くらいが経験者ですが、残り半分が未経験者。未経験者に対してしっかり技術伝承していかないといけない」
最新の原発を建てるとしても、土台となるのは熟練した人の技術なのです。
■政府関係者「20年くらいかかる」
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原発“回帰”へと舵を切ろうとしている日本のエネルギー政策。政府関係者は、将来への危機感をあらわにしました。
「原発回帰というより原発から逃げられないのです。我が国は、これはやるけど、これはやらないと言っている余裕はない。新しい原発の運転の開始は(今からやっても)今後10年では無理。20年くらいかかるかな」
新しい原発が運転を始めるとしても、当分先の話です。しかし、電気を使って暮らしていく以上、私たちは今、考える時に来ています。
(2月6日『news every.』より)
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