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「備蓄米」放出で価格は?…専門家「大きく下がらないのでは」 21万トンが行方不明 “売り渋り”のワケ【#みんなのギモン】

日テレNEWS NNN / 2025年2月13日 10時12分

日テレNEWS NNN

新米が出回った後も、コメの小売価格の高騰は続きます。流通に支障が生じた場合でも放出できるようになった備蓄米が今後放出されることで、気になる価格への影響はあるのでしょうか? コメの生産や流通に詳しい専門家に、今後の見通しを聞きました。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「備蓄米放出へ 価格どうなる?」をテーマに解説します。

■輸入米が出回った「平成の米騒動」

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猪子華・日本テレビ社会部記者

「備蓄米の放出について、農林水産省は14日、販売量や条件などを公表する予定です。そもそも国がコメを備蓄しておくという制度ができたきっかけは、1993年から1994年にかけて起きた平成の米騒動です」

「歴史的な凶作により、人々はコメを求めて並び、輸入米が出回りました。この騒動をきっかけにできたのが備蓄米の制度です」

森圭介アナウンサー

「当時、タイ米をどうおいしく食べるかということをいろんな人と話していたのを思い出しました。あれから30年たつんですね」

鈴江奈々アナウンサー

「この時、初めてタイ米を食べた記憶があります」

■消費者に届きづらい状況でも放出

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猪子記者

「では、どんな制度なのでしょうか。備蓄米は毎年20万トンほど政府が買い入れて、5年間保管しています。そのため常に100万トン程度、国内の需要を1か月半ほどまかなえる量を確保しています」

「5年過ぎたコメは国内の食用ではなく、飼料用などとして販売されます」

「これまでは、生産量が減って供給量が大幅に足りない時に放出するのが決まりでした。しかし今年1月に制度が改正され、流通に支障が生じた場合にも放出できるようになりました」

「コメがとれないからではなく、とれているけれども消費者の手に届きづらい状況になっているから、解消すべく放出するということです。消費者にとっては、端的に言うと値段が高い状態です。最近の値段はどう感じていますか?」

桐谷美玲キャスター

「スーパーなどでは高いままなので、(コメが)定期的に届くところに登録しました」

森アナウンサー

「新米がとれたら落ち着くというような話をしていましたけどね…」

鈴江アナウンサー

「ちょうどコメがなくなったのできょう買いましたが、5キロ4500円くらいでした。まだまだ高いなと正直思いました」

■コシヒカリの小売価格、どう推移?

日テレNEWS NNN

猪子記者

「そうですよね。値段の推移を、総務省の小売物価統計調査(東京)で見てみます。1袋5キロのコシヒカリの小売価格は、令和の米騒動と言われた去年9月には3000円を超えて3285円、最新の今年1月時点で4185円でした」

森アナウンサー

「去年1月に2440円だったというのが遠い昔に感じますよね」

鈴江アナウンサー

「倍近い価格になってきていますよね」

■行方不明も…コメの高騰なぜ続く?

日テレNEWS NNN

猪子記者

「では、どうして高騰が続いているのか。生産者から農協、小売店につながる通常のルートとは違い、農家から直接買い取る卸売業者などが増えたからです。この違う流通ルート同士でコメの奪い合いが起きて、コメが高くなっています」

「さらに、この流通ルートの中には『より高い時に売りたい』と売り渋りをしている生産者や業者が一部にいるとみられています。これが原因かはわかりませんが、約21万トンのコメが市場に出回らずに行方不明になっているとも言われ、農水省も調査しています」

森アナウンサー

「備蓄米でいうと1年分くらいのコメが、どこに行っているかわからないと。それが市場に出てくれば、もしかしたらもうちょっと安くなるかもしれないのに、ということですね」

■インバウンドによる需要増の可能性も

日テレNEWS NNN

猪子記者

「こうした状況で備蓄米を放出することが決まったわけですが、最も気になるコメの値段が下がるのかどうか。コメの生産や流通に詳しい宇都宮大学の小川真如助教に聞きました」

「小川助教は『価格は大きく下がらないのではないか』と分析しています。農林水産省は今の市場の状況について、コメが足りないわけではないというスタンスなので、あまり大量に放出することは考えにくいということです」

森アナウンサー

「あくまで流通の問題だから、ということですね」

猪子記者

「そのため少量を放出するとなった時に、売り渋りをしている生産者や業者は『あまり価格は下がらないのではないか』と考え、すぐにはコメを手放さない。そうなると結果、高騰は続いてしまうのではないかということです」

「また今年は大阪・関西万博などインバウンドによるコメ需要も高まる可能性もあるなど、業者などからすると持っておくメリットがある状況が続いていくということで、状況が大きく変わるのは難しいのではないかということでした」

森アナウンサー

「(市場に)出してほしいという気持ちもありますが、『これまでのコメが安すぎた』という農家さんの声もありますから、何とも難しい問題ではありますよね」

■備蓄米の味は? 見分けるのは可能?

日テレNEWS NNN

猪子記者

「これから私たちも食べるかもしれない備蓄米ですが、備蓄米と聞くと何となく味が落ちるのかなと思う方もいるかもしれません」

桐谷キャスター

「結構時間がたっているのかなという…」

森アナウンサー

「どうなんだろうというギモンはありますけどね」

猪子記者

「放出する際は新しいものから出されるとみられますが、仮に2年以上前のものとなったとしても、味の心配はなさそうです。埼玉県で備蓄米を管理している会社に聞きました」

倉庫会社の社長

「低温倉庫ですので、夏場でも必ず15℃以下をキープできるように温度管理しています。5年たっても変わらずおいしいままお出しすることは可能です」

猪子記者

「備蓄米はスーパーなどに並ぶ精米した後の状態ではなく、精米する前の玄米の状態で保管されているため、味は落ちにくいそうです」

忽滑谷こころアナウンサー

「スーパーで我々が買う時は価格が安かったり、『これは備蓄米ですよ』と目印があったり、わかるものなんですか?」

猪子記者

「備蓄米と書かれることはないそうで、製造年の表示しかヒントはないということです」

鈴江アナウンサー

「いずれにしてもコメの価格が高止まりしている状態です。作っている農家さんにとって必要な価格転嫁が進むことは大事なのですが、落ち着いてほしいなとは思いますね」

猪子記者

「コメを売る量や値段はあくまでも売る側が決めることで、政府も売り渋り自体が悪いとは言っていません。ただ生活に欠かせないものである以上、備蓄米の放出が消費者にとって納得のいく措置になってほしいと思います」

(2025年2月12日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

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