パフォーマーらがお勧めポイントを紹介 ハッピードリームサーカス沖縄公演 豊見城市で3月3日まで
沖縄タイムス+プラス / 2024年1月26日 12時23分
[ハッピードリームサーカス2023 沖縄公演]
日本の3大サーカスの一つで、沖縄初上陸となる「ハッピードリームサーカス沖縄公演」(主催・沖縄タイムス社、琉球朝日放送、ムーンウォークメディア)が豊見城市のイーアス沖縄豊崎大テント特設会場で好評開催中だ。巧妙な技を繰り広げるパフォーマーやサーカスの裏側を支えるスタッフ、お勧めポイントなどを紹介する。(社会部・垣花きらら)
■親子3代 公演彩る ルーズベルトさん一家 ピエロ役とデザイン制作
親子3代でステージを盛り上げるのはコロンビア出身のルーズベルトさん一家だ。父サンタンデルさん(33)と息子のデルガドさん(11)はピエロとして出演。サンタンデルさんの父、カリジョさん(59)は舞台の看板やコンテナのデザインなどを手がけている。
カリジョさんは昨年4月、昔から憧れ、息子や孫がサーカスで活躍する日本に観光目的で訪れた。当初は3カ月の滞在予定だったが「もっと子や孫と過ごしたい」との思いが強くなり、約半年の延長を決定。団員と一緒にコンテナ生活しながら、コロンビアでデザイン制作の仕事をしていた経験を生かしてコンテナのロゴデザイン、パネルなどの制作を始めた。
沖縄公演にはカリジョさんが作った看板もステージ上に加わり、それに合わせてオープニングパフォーマンスも変更。団員からも「ステージがさらに華やかになった」と好評だ。
2月には妻が待つコロンビアに戻る予定のカリジョさん。「息子が日本に来る夢をかなえてくれてうれしい。生まれたばかりの孫、きせきちゃんにも会えて本当に幸せ」とほほ笑んだ。
舞台の監督や演出も務めるサンタンデルさんは「父のデザインのおかげでサーカス全体がより明るくなった。離れても父の作った看板や絵を見て、父を感じられると思う」と話した。
孫に当たるデルガドさんは「おじいちゃん、お父さんと一緒にステージを作れて幸せ」と声を弾ませた。
■舞台裏でも一流の顔 体温め入念に準備
色とりどりの照明が舞台を照らす華やかなステージの裏では、サーカスを盛り上げる小道具や装置の数々が並ぶ。バックステージには40人以上が出入りし、慌ただしい雰囲気。パフォーマーは緊張した面持ちで、技の最終チェックや体をほぐしながら出番を待つ。
日本唯一の「バイク・カースタントショー」に出演するアーリン・ルセロ・アジャラ・キンテロさんは、出番の30分以上前からテント内に待機。演技に合わせたオリジナルの動きやストレッチで体を温める。逆円すい状の鉄格子を自転車で猛スピードで旋回するパフォーマンスは、常に危険が伴うため、入念な準備が欠かせない。
ルセロさんは「完璧なパフォーマンスで観客を驚かすために、常に細心の注意を払っている。極限を目指した芸には緊張するが、一番は楽しんでもらうことが大事」と、待機中も笑顔を絶やさない。
舞台裏ではパフォーマーたちの熱意と覚悟、プロ魂を感じさせる。
■癒やしの舞台 下支え 下津浦舞さん 広報や通訳担当
舞台をつくるのはパフォーマーだけではない。ハッピードリームサーカスの団員にとって欠かせない日本人スタッフ、下津浦舞さん(25)は元々同サーカスの大ファンだった。2021年に入団し、広報や団員のビザ取得、市役所の手続きやSNS(交流サイト)の運用、通訳までの全てを担当している。
長崎市の高校を卒業後、自動車教習所の事務員として勤務。19年、佐世保市で開かれた同サーカスを初めて見て、その魅力にはまった。「開催地が長崎から佐賀県に移った後もサーカスを追っかけた。嫌なこと全てを忘れられる癒やしの空間だった」と振り返る。
入団のきっかけは新型コロナウイルスの流行だ。公演に行けなくなり、初めて自分がやりたいことを真剣に考えた。「サーカスが好き。彼らと仕事がしたい」と気付いた瞬間だった。
親の反対もあったが、入団を決意。同サーカスの真枝功一会長に快く受け入れてもらい、21年2月の福岡公演から一員に加わった。
入団当初は団員らの共通語・スペイン語も分からなかったが、みんなフレンドリーに迎え入れてくれた。今では完璧にスペイン語を使いこなし、日本語を話せない団員たちに代わって外部とのやりとりも担う。
「メンバーは本当に家族のよう。彼らはみんなポジティブで明るいし、いつも元気をくれる」と笑顔。「ハッピードリームサーカスをたくさんの人に知ってもらい、全国47カ所で公演するのが夢」と声を弾ませた。
下津浦さんお勧めポイント
■空中ブランコ進化続ける 3回転に挑戦
サーカスの大トリを飾る「空中ブランコ」では、世界でも難易度が高いとされる3回転に挑戦中だ。ハッピードリームサーカスに登場する「ホワイトコーヒーチーム」「ドリームフライングチーム」の両方とも練習に励んでいる。
同サーカスは団員たちが日々技術を磨いている。沖縄公演の期間中でも新たな技や衣装が登場し、会期の後半にはさらにレベルアップしたパフォーマンスが見られ、何度でも楽しめる。
3回転の練習に励むダニエルさんは「飛ぶ前は緊張するが、いつか絶対に成功させたい。沖縄の人に奇跡の瞬間をぜひ見てほしい」と願った。
大技成功の瞬間をステージで見届けよう。
■5.5メートル一輪車ギネス狙う 11歳成長中
ハッピードリームサーカス最年少のパフォーマーは、コロンビア出身のバレンシア・デルガド・ルーズベルトさん(11)だ。1歳から舞台に立ち、10年以上観客を魅了してきた。140センチの体から繰り広げられる大人顔負けのパフォーマンスには何度も圧倒される。
現在、身長の3倍近くある5.5メートルの一輪車に挑戦中。学校やショーの合間を縫って、団員のサポートを得て練習に励んでいる。最初の練習時は高さへの恐怖心が大きく、涙する場面もあった。だが今では一人でステージを1周できるほどまでに成長した。
本番のステージで成功すればギネスに申請する予定。沖縄公演期間中に世界唯一のパフォーマンスをお披露目できるかも。
■テントの中 広がる別世界 ポップな音楽と光 交差
ゲートをくぐり、青と白を基調としたテントに一歩足を踏み入れると、そこには別世界の空間が広がる。
赤いじゅうたんに円形状の大きなステージ、ポップな音楽に明るい光が交差し、訪れた人たちをわくわくさせる。沖縄公演からはステージの中央トップに「Happy Dream Circus」と光る看板も加わり、より心躍る雰囲気になった。
「日常を忘れるような夢の空間」をテーマに音楽や照明も組み合わせ、空間を演出している。日常では味わえない、サーカスの特別な空間を存分に楽しんでほしい。また、パフォーマーやスタッフらが手作りのかばんやシール、Tシャツなどを販売している。サーカスの思い出に一品いかが。
イーアス沖縄豊崎大テント特設会場で開催中のハッピードリームサーカスは3月3日まで。席に余裕がある平日の観覧がお勧め。チケット購入や詳細はこちら https://www.qab.co.jp/events/hapidori_okinawa/ から。
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