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[社説]日中韓首脳会談 地域安定へ対話続けよ

沖縄タイムス+プラス / 2024年5月28日 4時0分

 目立った進展はなかったものの、3カ国の首脳会談が再開したこと自体に意味がある。課題は山積している。対話を継続し、意見の隔たりを埋める努力を続けなければならない。

 岸田文雄首相と中国の李強首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がソウルで日中韓首脳会談に臨んだ。

 実に4年半ぶりの開催だ。コロナ禍があったとはいえ長い空白は特に、日中の冷え込んだ関係を示している。

 3首脳は共同宣言を発表。日中韓自由貿易協定(FTA)を巡り「交渉を加速するための議論を続ける」と明記した。

 昨年8月の東京電力福島第一原発の処理水放出を受け中国は、日本産水産物の全面禁輸を続けている。

 3カ国会談に先立ち行われた日中会談で日本側は輸入停止措置の即時撤廃を求めたが、互いに歩み寄ることはできなかった。

 経済成長が鈍化する中国は、FTA交渉再開を重視している。交渉を加速させる中で、こうした新たな懸案事項についての意思疎通も継続したい。

 日中韓は、北朝鮮の非核化や拉致問題の政治解決へ前向きに努力することでも合意した。

 ただ、前回2019年の首脳会談成果文書で「完全な非核化にコミット(関与)している」とした記述は消え、拉致問題についても「それぞれ立場を強調した」との表現にとどまった。

 北朝鮮に近い中国の意向が反映された形で、岸田首相が目指す「建設的関係」への道は険しい。

■    ■

 日中韓首脳会談は08年からは3カ国の持ち回りで毎年開催を目指してきた。東日本大震災が起きた11年には、会談に先立ち中国の温家宝首相と韓国の李明博(イミョンバク)大統領がそろって被災地を訪れ、避難所の住民を励ました。

 国と国の関係は複雑で対立する場面も多い。だからこそ首脳級が互いに行き来するなどして、相互信頼を醸成することが重要だ。

 尹大統領の就任以降、日韓の関係は改善が進んでいる。北朝鮮への対抗姿勢から米国との関係強化を図る韓国と、同じく日米同盟の依存度を高める日本との利害が一致した。

 米主導の「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)など経済安全保障政策の加速や、防衛装備品の開発で米国との協議体をつくるなど、岸田政権の「米偏重」は外交にも表れている。

■    ■

 一方で日中のパイプは細るばかりだ。いがみ合っているだけでは解決は遠のくばかりである。

 日中首脳の相互往来の再開に向け、双方が環境整備を急ぐべきだ。

 日中韓にはそれぞれ歴史認識や領土問題など長年の課題が横たわる。

 2国間で懸案があっても、窓口を広げて経済や環境、保健など幅広い分野で協力を話し合う3カ国会談の意義は大きい。

 東アジア地域の安定化のためにも、閣僚級にも広げ定期的な開催が求められる。

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