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Bリーグファイナルの会場、なぜ横浜アリーナ? 沖縄でも広島でもなく 運営の総責任者に聞いてみた

沖縄タイムス+プラス / 2024年5月28日 10時30分

琉球ゴールデンキングスを応援する観客=5月26日、横浜アリーナ(竹花徹朗撮影)

 連覇まで、あと1勝ー。プロバスケットボールBリーグ1部の年間王者に王手をかけた琉球ゴールデンキングスは28日午後7時5分から、神奈川県の横浜アリーナで、広島ドラゴンフライズとの最終第3戦に臨む。県民の応援も一段と熱を帯びる中、ふと、ある疑問が湧いた。なぜ、ファイナルは沖縄でも広島でもなく、横浜で開催するのか。運営の総責任者であるBリーグの増田匡彦常務理事に聞いてみた。(デジタル編集部・川野百合子)

施設のスペック重視

 -Bリーグファイナルの会場はなぜ、沖縄でも広島でもなく、横浜アリーナなんですか?

 「沖縄には、沖縄アリーナという素晴らしい施設があるから、そう疑問に思うかもしれませんね。ただ、チームによっては体育館が会場で、3千~4千人くらいしか入らない所もあります。このため、Bリーグは2026年まではセントラル(中央)でファイナルを開催するという方針を決めています。会場を一つにすることでブランディングを高めていきたいと考えています」

 「1万人以上が収容できる会場を確保するためには、2年前には利用を申し込み、場所を確保しないといけない点もあります。スケジュール的に2024~25シーズンについてはほぼ決まりつつあり、2025~26シーズンについてもそろそろ申し込まないといけなくなります。ありがたいことに今では8千人が集まる、客席が満員になるという状態が出てきましたが、ワールドカップ前にはなかなか満員にならないときもありました。そういう場合に、その都度会場を変えられない難しさがあります。地上波の中継もある中で、ファイナルにふさわしい、施設のスペック(仕様)のしっかりした会場で実施することで、まずはプレゼンスを高めていきたいと考えています」

 ーなるほど。沖縄アリーナのようなホーム施設を持たないチームがあるためですね。横浜アリーナでのファイナルでは1万人以上入っているのでしょうか?

 「そうですね、1日目は1万2千人以上、2日目は1万3千人以上が来てくれました。ありがたいことに、多くの方々に遠くまで来ていただいています。2試合とも試合開始時間が正午やお昼過ぎの時間だったので、沖縄からは朝一の飛行機の便で来ても、ぎりぎりだと思います。前日から入るファンの方もいたかなと思います。大変なのは承知していますが、それを考えて試合時間を設定することもできないので....。本当に沖縄のファンの皆さんには申し訳ないと思っています」

7割占めるキングスファン

 ーホテル代も上がり、直前だと飛行機代も高いので正直、ファンの出費は大変だと思います。

 「実は、今回のファイナル1、2試合目の週末、横浜ではプロ野球の横浜ベイスターズの試合があったり、人気ミュージシャンのライブがあったり、別のスタジアムでイベントがあったりと重なっていました。私たちも横浜アリーナの設営に入っていますが、新横浜で宿泊できない状況でした。なので、その気持ちは本当に分かります」

 ー設営側も大変なんですね。それでも、会場に多くのキングスファンが来ていました。

 「キングスファンが7割を占めていました。広島のオレンジも目立ってはいたのですが、キングスのファンが多かったと思います。ファイナルを通して、キングスファンが広島のファンを成長させてくれたように思います。広島はどちらかというと音楽に合わせて声を出すスタイルで、BGMベースの応援でした。一方、キングスファンは『ゴーゴー キングス』のように声を出すスタイル。1戦目のキングスファンの応援を見て、広島のファンは『声を出さなきゃ、もっと応援しなきゃ』と感じたと思います。キングスファンが引っ張る形で、他のチームのファンを成長させてくれるのは、本当にうれしいことです」

2026~27シーズンにはホーム&アウェー形式に

 ー今後、地方開催やホーム&アウェー形式での開催もあるのでしょうか。

 「はい、『B.革新』と掲げ、2026年からのリーグ構造の変更を伴う変革を行います。2026~27シーズンからBプレミアというリーグが発足します。入場者数、売上高、アリーナの3条件をクリアしたクラブが対象になるため、ファイナルもこれまでの3戦2勝方式から5戦3勝方式に変えて、期間を長く取ることでホーム&アウェーの方式に変えていく予定です」

 ーでも、アリーナというインフラを整えるのには時間がかかりますね。

 「2028~29シーズンまでの使用開始を保証することでBプレミアに参入できるようになります。環境を整えるのには時間が必要と認識しており、レギュレーション(適用基準)と一定の矛盾というか、食い違いが出ることにはなりますが、徐々に環境を整えていきたいと考えています」

 ーちなみに、沖縄以外からホーム&アウェーでやらないのか、という質問が来たことはありますか。

 「ないですね、今回が初めてです(笑)。沖縄以外では、佐賀や群馬なども会場が満員になるなど活気づいています。そういう意味では、徐々にBリーグの認知度も高まり、機運が高まっているのかなと感じており、うれしいです。ただ、一方で集客に苦戦しているチームがあるのも事実なので、今はちょうど過渡期なんだと思います」

バスケで地方創生目指す

 ーBリーグは「バスケの力で日本を元気に」と掲げています。バスケットボールやスポーツで地方創生を推進するということですよね。

 「スポーツの力、バスケットボールで日本や地域を元気にということを目指しています。人が集まることでアリーナやその周辺でお金も使うし、他チームのファンが沖縄まで応援に行って宿泊することも多くなってきました。そういう意味では地域、地元への経済効果も非常にあると思います。こうして盛り上がっていくことで、これまで課題だった地域への交通アクセスが改善されていくという期待もありますし、地方創生につなげることが私たちの使命だと思っています。ファイナルの地方開催が一つの起爆剤になり得ると考えています」

 ーいよいよ年間王者が決まるファイナル第3戦が28日夜にあります。今後の展望や県内外のバスケファンへのメッセージをお願いします。

 「今シーズン、多くのお客さまが会場に来てくださり、盛り上がっているのがとてもうれしいです。私たちもびっくりしている部分もあります。『B.革新』をしていく中で、ルールやレギュレーションを変更して、新しい形をつくっていきたいと考えています」

 「ファイナルはセントラルでの試合ですが、各地でパブリックビューイングがあり、盛り上がっていると感じています。ぜひ、チームを応援して、一緒に盛り上げていってほしいと思います」

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