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[社説]南城ハラスメント調査 議会は究明責任果たせ

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月3日 4時0分

 南城市議会特別委員会が市職員らに実施したハラスメント実態調査で「古謝景春市長からキスされた」との回答が複数あったことが明らかになった。

 古謝市長に対しては昨年、市長の運転手として働いていた女性がセクハラを受けたと訴え出た。市長は疑惑を否定しているが、他にもセクハラの被害者がいる可能性が高い。市議会は詳細な分析を急ぐべきだ。

 市議会特別委によるハラスメント調査は4~5月に実施された。対象は市職員や非正規の会計年度任用職員、業務委託先職員などで669人に配布。ハラスメント被害を受けたり、見聞きしたりした経験の有無や内容など計16問について質問した。

 特別委は先月27日に調査結果を集計。301件の回答があり、市役所内のハラスメントについて「受けたことがある」または「見聞きしたことがある」との回答は81件だったと明らかにした。

 一方、詳細な分析や、公表に向けての協議は先送りにされた。

 非公開の「秘密会」で集計された結果の一部が報道されたとして与党会派が問題視。関与した市議への懲罰動議を優先したためだ。

 規定違反があったことは問題だろう。

 しかし、市長のセクハラ疑惑が表面化しすでに半年たっている。調査はデリケートな内容を含んでおり公表の仕方に慎重を期すことは当然だが、公表を先延ばしにすべきではない。

■    ■

 ハラスメント問題を巡る市の対応に疑問は膨らむばかりだ。

 元運転手女性の契約解除を巡っては、市が変更委託契約書に女性の名前と住所を無断で記入していたことが判明した。

 これに関して契約解除に向けた起案文書の公開を求めた市議に対し市は、女性が市長を提訴したことを理由に公開しないとする決定を通知したのである。

 市は昨年4月以降、セクハラ防止規定に基づく市職員からの相談は「1件もない」と説明していた。

 だが、市議有志が今年1月に実施した市職員への匿名アンケート調査では、回答者の3割が「市長や上司からハラスメントを受けた」と答えている。

 今回の調査結果とも重なる部分がある。市長には説明が求められる。

■    ■

 二元代表制をとる地方自治体で議会は首長へのチェック機能を果たさなければならない。

 昨年12月の定例会では、市長の疑惑を調査する特別委員会(百条委)の設置が否決された。反対した与党系市議は百条委ではなく第三者委での真相究明を主張していたが、いまだに実現していない。

 市長など特別職を含む「防止条例」の制定を巡っても議論の入り口で足踏み状態だ。

 ハラスメントは人権にかかわる問題だ。議論の停滞を招けば市民の信頼を失墜させる。

 市や議会は真相究明と防止策へ責任を果たすべきだ。

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