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おからと廃鶏の食品ロス問題、糀の力で解決目指す 仲宗根糀家の挑戦

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月5日 9時53分

「まぜとこ」を手にする仲宗根糀家の山川剛司企画・営業部長=5月20日、那覇市内

 豆腐製造の際に大量に出るおからと、沖縄本島北部でよく食される廃鶏の食品ロス問題を一気に解決しようと立ち上がった企業がある。糀(こうじ)関連の製品を製造・販売する仲宗根糀家(那覇市)だ。市内のある豆腐店では、活用しきれないおからの処理に月50万円かかるなど負担は大きい。その状況を打開しようと仲宗根糀家は、おからを活用した万能調味料「まぜとこ」を広く展開していくためにクラウドファンディングに挑戦しており、収益の一部で今度は、廃鶏を使った新商品開発につなげる計画だ。同社企画・営業部の山川剛司部長は「おからも廃鶏も、両方の問題を発酵の力で解決したい」と話す。(文・写真=ライター・長濱良起)

おからの食用はわずか1%

 山川部長によると、全国でおからは年間で約70トン発生しているとされるが、食用とされるのはわずか1%。大半は飼料や肥料になるものの、水分含有量が多いおからは日持ちしないため、3万~7万トンが廃棄されているのが現状だ。その廃棄費用は年間約100億円ともいわれる。

 豆腐を製造するひろし屋食品(那覇市)では、製造過程で毎日1トンのおからが出て、処理費用は毎月約50万円にも上る。ひろし屋食品からの相談を受け、この現状をどうにか打開しようと仲宗根糀家が約5年前に開発したのが「まぜとこ」だ。おからを活用した商品としては、含有量が35%と高い。おからと米糀を混ぜて発酵させ、塩糀、ショウガ、ニンニク、唐辛子で味付けされている。

 これまで「まぜとこ」は同社の主力商品ではなかったものの、いま一度商品の周知や営業に本腰を入れる中で、2023年の那覇市長賞食品の部で優秀賞を受賞した。その年の同部では、同じくおからを配合した照屋食品のOKARAちんすこうが最優秀賞を受賞しており、おからの利活用にスポットライトが当たる形となった。

 山川部長は「せっかく賞を頂いたので、この勢いで商品をPRして循環型社会の実現に寄与していきたい」と意気込む。仲宗根糀家は並行して、おからを発酵させた飼料の開発にも取り組んでいる。おからの飼料化自体は一般的なことだが「糀を扱う会社として、発酵の力を使って飼料化できないか模索しています。環境にも優しく、鶏にとって栄養価の高い飼料を目指しています」と目標を掲げている。

廃鶏使ったレトルトカレー

 「まぜとこ」には、おからだけではなく、廃鶏の食品ロス問題解決への思いも込めている。卵を産まなくなった雌鶏の廃鶏は、柔らかくジューシーな若鶏とは逆に、コリコリとした歯応えのある食感が特徴で、ご当地グルメとしても人気がある。その一方で年間の処理重量が14万トンあり、活用の余地が残る。

 今回のクラウドファンディングではさらに、廃鶏を活用した新商品の開発も見据えている。想定しているのは、レトルトのカレーだ。「歯応えのある廃鶏の肉を糀に漬け込むと柔らかくなるんですよ」と、従来の廃鶏ファン以外の層も取り込む考えだ。

 クラウドファンディングは6月7日まで、以下のURLで実施している。
 https://camp-fire.jp/projects/view/744986

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