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[社説]物価高、子育て直撃 支援策の拡充が必要だ

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月8日 4時0分

 長引く物価高の影響を受け「生活が苦しい」と感じる子育て世帯が増えている。全国最下位の所得水準の県内では、最低賃金の引き上げなどを物価高が相殺した形だ。所得制限の見直しなど支援策の立て直しが求められる。

 子どもの貧困対策への活用などを目的に県が実施した「2023年度沖縄子ども調査」の結果が公表された。

 対象は0~17歳の子を持つ保護者。等価可処分所得が130万円未満の「困窮層」の割合は20.2%となり、前回21年度調査から3ポイント減少した。

 同130万~195万未満の「低所得層」も前回に比べて減少。195万円以上の「一般層」は57.2%と約6ポイント増え、世帯収入は全体的に増加傾向だった。コロナ禍後、経済活動の回復による正社員化や賃上げなどで一定の給与改善が進んだことが大きい。

 一方、現在の暮らしを「大変苦しい」「苦しい」と感じている世帯は増加した。困窮層では前回に比べ9.9ポイント増の69.8%に上った。

 賃上げが物価高に追い付いていないことが背景にある。

 1年前と比べて支出が増加したとの回答は、全ての所得層で9割を超えた。食料や衣服が買えなかった経験も各層で増加している。

 労働者が実際に受け取った給与額から物価変動の影響を差し引いた「実質賃金指数」は23年、全国が前年比3.5ポイント減に対し県内は7.8ポイント減と悪化が目立つ。

 困窮・低所得層では住宅費、通信費、学校教育費など基礎的な支出も負担となっており深刻だ。物価高が子育てを直撃している。

■    ■

 経済的な困難を抱える家庭では、そのストレスが子どもの学校生活や、家庭内の人間関係に影響していることも明らかになった。

 困窮層の子どもで不登校を経験した割合は22%、いじめは15%で、一般層に比べてそれぞれ1.8倍、1.4倍高い。ヤングケアラーの経験は4倍以上だった。

 こうした世帯の多くは孤立し、DVや自殺念慮など保護者が苦しい経験をしている割合も高くなっている。

 子どもの貧困対策には、本人へのアプローチはもちろんのこと、親も含めた家庭の包括的な支援が欠かせない。

 国は今年4月、全市町村に対して「こども家庭センター」の設置を努力義務とした。従来の「子育て世代包括支援センター」の役割を拡充し、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う。

 県内でも速やかな整備が求められる。

■    ■

 調査では、保護者が子育て支援として最も重要だと思う施策として「教育費の支援、軽減」が上がった。「手当の充実や税制上の優遇」「住宅費支援」が続く。

 子育てにかかる経済的負担は少子化の大きな要因にもなっている。加えて物価高が、子育ての負担に拍車をかけている。

 教育費や医療費の無償化対象を広げるなど、世帯所得にかかわらず全ての子どもに届く施策を求めたい。

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