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[社説]規正法改正案 先送りやめ「再考」せよ

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月9日 4時0分

 自民党が公明党と日本維新の会の要求を踏まえて修正した政治資金規正法改正案が、参院で審議入りした。

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治改革にもかかわらず、中身は「抜け穴」と「先送り」だらけである。ザルの網目を少し小さくした改正案を、そのまま成立させてはならない。

 衆院の政治改革特別委員会に続き、政策活動費の使途公開や企業・団体献金の在り方など、透明性と実効性の確保が論点となる。

 自民の改正案は、政党から党幹部らに支出される政策活動費について、年間支出の上限額を定め、10年後に領収書を公開するとした。

 使途の報告義務がなく「ブラックボックス」として強く批判されてきた支出だ。二階俊博元幹事長は、在任中の5年間に約48億円を受け取っている。

 それなのに、なぜ10年も待たなければならないのか。納得のいく理由は示されていない。

 10年後に黒塗りで出される可能性がある。政党があるかどうかさえ分からない。政治資金規正法違反など関係法は時効が成立している。

 衆院の審議で出た疑問は、どれももっともである。

 規正法は「政治とカネ」の問題が起きるたびに改正を重ねてきた。「ザル法」と指摘されるのは、そのたびに「抜け穴」が残されてきたからだ。

 「10年後公開」の規定は、公に穴を認めることになりかねない。

■    ■

 そもそも「10年後公開」は本則ではなく、付則に記されている。

 衆院特別委で岸田文雄首相は「領収書の保存など具体的なルール、罰則の要否は各党で検討される」と説明するにとどまった。

 同じく付則に盛り込んだ政策活動費を監査する第三者機関の設置についても、「どういった権限を与えるのか、政治の自由や透明性との関係で簡単な議論ではない」と語り、時期の明言を避けた。

 改正案の付則や付帯決議で目につくのは、あいまいで具体性を欠く検討項目の多さだ。先送りは改革にはならない。

 他方、パーティー券購入者名の公開基準額は「5万円超」に引き下げたが、収入から裏金をつくる「抜け道」は残る。

 野党が要求した企業・団体献金の禁止は手付かずのまま。

 実効性の確保に疑問符が付く。

■    ■

 参院の政治改革特別委員会での審議は週明けから本格化する。

 衆院特別委での審議はわずか13時間だった。リクルート事件に端を発した「平成の政治改革」に比べ、真剣さに欠けるように映る。

 世の中の常識から乖離(かいり)する「抜け穴」だらけの法案をこのまま成立させれば、国民の政治不信はますます高まるだろう。

 抜本的な修正が必要である。会期を延長してでも審議を尽くし、「良識の府」「再考の府」としての役割を果たすべきだ。

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