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[社説]西普天間にPFAS 国は早急に汚染対策を

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月11日 4時0分

 米軍キャンプ瑞慶覧の西普天間住宅地区跡地内の複数の湧き水から、発がん性が指摘される有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)が高濃度で検出された。

 4月に公表された、県の「基地周辺環境対策推進事業」2023年度調査報告書で明らかになった。

 昨年8月~今年1月に西普天間の湧き水10カ所の水質を調べたところ、4カ所で国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超えていた。

 最も高濃度だったのは宜野湾市喜友名の「チュンナガー」で、指針値の19.8倍に当たる990ナノグラムだった。少し離れた「ヒージャーガー」でも790ナノグラムを計測した。

 残り2カ所はそれぞれ65ナノグラムと56ナノグラム。他の6カ所も指針値は超えていないものの45~22ナノグラムで、今年4月に改定された米環境保護局の新基準4ナノグラムをはるかに上回った。

 西普天間住宅地区跡地は14年度末に返還された。沖縄防衛局による「支障除去」が完了したとして地権者へ引き渡されたのは17年度末だ。

 跡地利用特措法は、国内の汚染対策法に基づき米軍跡地の支障除去を国の責任で実施すると定めている。

 しかし、水質汚濁防止法の指定物質にPFASが追加されたのは22年12月であり、土壌汚染についてはいまだに対象外だ。

 西普天間には「沖縄健康医療拠点ゾーン」が設けられ、来年1月には琉球大学病院が開院予定だ。県内医療の中核となる場所の環境汚染である。事態を重く受け止めてもらいたい。

■    ■

 PFASは自然界でほとんど分解されず、体内に蓄積する恐れがある。

 米軍は21年、県内全ての海兵隊基地や施設でPFASを含む泡消火剤を代替品に交換したと発表した。

 だが、県の調査では今年1月、普天間飛行場とチュンナガーの間に設置された観測井戸から4500ナノグラムが検出された。

 井戸近くの飛行場内には消火訓練施設があり、過去の汚染が蓄積している可能性が高い。

 今回検査した湧き水以外の汚染はないのか、利用が本格化するまでに広範囲の調査や対策を急ぐべきだ。

 汚染源の特定に向け県は、これまで基地内の立ち入り調査を要請してきた。

 しかし、米軍は「環境補足協定」の対象外として応じていない。政府も米軍に追従し、県の要望は聞き入れられていない状況だ。

■    ■

 結果として汚染の影響や、対策に係るコストは県民に負わされている。

 PFASが血液中にどれだけ含まれているかを把握する調査は2年前、民間団体によって実施され、米軍基地周辺の住民から平均を上回る数値が出た。

 水源の汚染対策費もかさみ、それが水道料金を押し上げる要因にもなっている。

 基地由来のPFAS汚染を誰が調査し、どう除去するのか。

 県民の健康と生活に直結する問題であり、県議選でも議論を求めたい。  

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