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[社説]経団連「夫婦別姓」提言 法改正 自民が動く時だ

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月12日 4時0分

 経団連が選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表した。第一線で活躍する女性が着実に増え、企業経営の視点からも無視できない重大な課題だと指摘した。

 国民の意識や社会の環境が変化していく中で、ビジネスの現場では、当事者のキャリア形成のみならず企業の足かせになっている。

 夫婦別姓はもはや時代の要請だ。政府は一刻も早く民法の改正案を国会に提出するべきである。

 経団連の調査によると、旧姓を通称として使うことを認めている企業は9割に上る一方で、会員企業の女性役員を対象にした調査では、通称として使える場合でも「何かしら不便さ・不都合、不利益が生じる」との回答は88%を占めた。

 通称では銀行の口座やクレジットカードが作れない他、通称とパスポートの名義が異なるために、海外のホテルで宿泊時にトラブルになった事例があった。旧姓を使い続けるために、形式的に離婚をしたという回答もあった。

 結婚後も希望すれば、夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上で名乗れる選択的夫婦別姓制度は、法相の諮問機関である法制審議会(法制審)が1996年に民法の改正を答申したが、保守系議員の反対などで法案は国会に提出されないままでいる。

 経団連は今年1月と3月にも政府に選択的夫婦別姓の導入を要望している。今回は組織の正式な提言として、動きが鈍い政府に改めて対応をせまった格好だ。これまで放置してきた政府の責任は重い。

■    ■

 1898年に施行された明治民法は、「家」を一つの単位にして戸籍を作り、戸主である家長が家族全員を絶対的な権利で統率する「家制度」を規定した。

 1947年に家制度は廃止されたが、夫婦を同姓とする規定は残された。制度上は、婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べることになっているが、女性のおよそ95%が夫の姓に変えているという現状がある。

 夫婦の同姓を義務付けているのは世界的にも日本だけだ。生活上の不便や不利益といった改姓による負担が、女性だけに偏っているのは明らかに不合理である。

 最高裁は2015年の判決で、現行法の規定を「合憲」と判断したが、15人の裁判官のうち5人が「違憲」、21年の家事審判の決定でも4人が「違憲」と判断している。社会の課題として国会は議論に着手するべきだ。

■    ■

 岸田文雄首相は、企業などにおける女性の活躍や多様性の尊重を掲げるが、選択的夫婦別姓の導入についてはこれまでの国会答弁で「社会全体の家族の在り方に関わる問題」「国民の意見が分かれている」などと、慎重な姿勢を崩していない。

 公明党や野党が賛成する中で、主な政党で制度に慎重なのは自民党だけである。法制審が制度の導入を答申してから四半世紀余りがたっている。自民党はこの事態をどう説明するのか。これ以上のたなざらしが許されてはならない。

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