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[社説]県議選 与党大敗 知事の施策推進困難に

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月17日 4時0分

 「オール沖縄」退潮の流れが鮮明になった。

 県議会議員選挙は16日投開票され、中立系を含む県政野党が28議席を獲得し、過半数を制した。議会の構成が少数与党に変わることで、2年後の知事選を見据え、玉城デニー県政が野党の激しい攻勢にさらされるのは確実だ。

 議決が必要な予算や人事、とりわけ辺野古関連予算、知事肝いりの平和事業予算、副知事人事などがターゲットになりそうだ。

 自民党県連にとっては、自民党派閥の裏金事件への不信が高まり、岸田政権に対する支持率が低迷する中での「逆風選挙」だった。

 自民党であることを演説などでもあえて触れず、党幹部の応援も断り続けたが、組織力の強さを見せた。

 前回、コロナ禍の影響で候補者を2人に絞った公明党県本が立候補者を4人に増やし、全員当選を果たしたことも勝利の大きな力になった。

 政権与党の自民・公明が県議会で過半数を占めるのは16年ぶりとなる。

 自公勢力は、仲井真弘多知事の下で行われた2008年の県議選で少数与党に転落した。辺野古新基地建設に反対する翁長雄志、玉城両知事の下で実施された過去2回の県議選でも過半数を獲得することができず、この間ずっと少数野党に甘んじてきた。

 党本部の失態をはねのけ、野党過半数を実現したことは、窮地に立つ岸田政権にとってもプラス材料になる。

■    ■

 議会の過半数を失えば県政は行き詰まる。

 玉城知事は、危機感をあらわにして与党候補の応援に奔走。応援の国会議員は街頭演説で積極的に裏金問題を取り上げた。県政与党にとって有利な政治状況だったはずだ。

 だが一部の選挙区で候補者調整がうまくいかなかった。補助金申請などを巡る県政運営の「ポカ」が続いたこともマイナス評価につながった。

 新基地建設問題は代執行によって新たな段階を迎えたこともあり、明確な争点にはならなかった。代わって与党の候補者が取り上げたのは「台湾有事」に絡む軍事要塞(ようさい)化の動きである。

 基地問題ではぶれずに反対のスタンスを貫く玉城知事だが、県民にとって今、切実なのは物価高騰など足元の生活である。経済対策や暮らしの底上げで具体的成果がなければ、知事選も厳しい戦いを迫られるだろう。

 与野党が激しく競り合ったにもかかわらず、投票率は45.26%で過去最低。2人に1人が棄権する状況は極めて深刻といえる。

■    ■

 県議選では与野党問わず、物価高対策や子育て支援、経済活性化など生活に関わる施策を重点的に取り上げた。

 これらの政策課題の実現には、県議会の意思を政府に示していく必要がある。

 議会がチェック機能を果たし、県民の側に立って県政運営にモノ申し、一致できる分野では協力して政策実現を図っていく。その姿勢が大切だ。

 県民を忘れ、党利党略の争いに明け暮れるようなことがあってはならない。

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