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[社説]改正規正法成立 解散し国民に信を問え

沖縄タイムス+プラス / 2024年6月20日 4時0分

 あれだけの裏金事件の後にもかかわらず、「抜け穴」をいくつも残して、改正政治資金規正法が参院本会議で可決、成立した。内閣支持率の低迷が突き付けるように、これでは国民の政治への信頼は取り戻せない。

 派閥の裏金事件を受け自民党が提出した改正法に自民、公明両党が賛成した。立憲民主党など野党各党は反対し、衆院で賛成した日本維新の会も反対に転じた。

 この問題の本質は徹底した透明性の確保である。ところが成立した改正法は「抜け穴」と「先送り」だらけだ。

 ブラックボックスとして批判されてきた政策活動費は温存。その上、領収書の公開は10年後、使途を監査する第三者機関の具体化は今後検討と決定を持ち越した。

 政治家本人の責任の強化について盛り込まれたのは「いわゆる連座制」。議員に収支報告書の「確認書」の交付を義務付けるが、実効性に乏しい。

 調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)を巡っては、自民と維新が先に「使途公開と残金返納の法整備」で合意している。

 だが自民党は「日程的に厳しい」とし改革を先送り。維新は約束が「破られた」と首相の問責決議案を出すに至った。

 合意文書の解釈で齟齬(そご)が生じたわけだが、そもそも立民などとともに維新が要求した企業・団体献金の禁止が取り上げられていない。それなのになぜ衆院で改正案に賛成したのか。不可解極まりない。

■    ■

 きっかけとなった裏金事件の実態も依然として謎のままだ。

 そうした中、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪に問われた安倍派の会計責任者が、東京地裁での被告人質問で議員らの主張を真っ向から否定した。

 2022年4月に一度中止となった所属議員への販売ノルマ超過分の還流について、8月に開かれた協議で幹部4人が判断し再開が決まったと明らかにしたのだ。

 協議の出席者は塩谷立、下村博文、西村康稔、世耕弘成の各氏。4人はこれまで国会の政治倫理審査会などで「協議で結論は出なかった」と主張しており、改めて説明責任が問われる。

 派閥幹部が繰り返してきた説明は虚偽だったのではないか。国会で嘘(うそ)をついたのか。

 新たな証言が出た以上、会期を延長してでも、偽証に制裁が科される証人喚問を実施すべきである。

■    ■

 裏金の真相は明らかにされず、規正法は相変わらずの「ザル法」。

 岸田文雄首相が国民に約束した「火の玉となって、先頭に立ち取り組む」との言葉がむなしく響く。

 抜本改革に後ろ向きで、今国会中の成立を優先した結果である。

 法を破った側が新たな法案を作り、数の力を背景に主張を押し通すというやり方も、世の中の常識からは乖離(かいり)している。 

 政治改革の名に値しない。

 解散して国民に信を問うべきだ。

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