あすは戦後79年の慰霊の日 沖縄戦体験者の記憶をつないで【6月15日~21日 タイムス+プラスから】
沖縄タイムス+プラス / 2024年6月22日 10時20分
今週、広島に行く機会があったので平和記念資料館を見学しました。2019年に改修が完了してから訪れるのは初めてです。熱線と爆風で街が10秒で壊滅したとされる原爆被害。写真や遺品などの実物展示を見て、奪われた被爆者一人一人の人生を想像してみました。
2023年度には198万人が訪れた資料館。地元のボランティアガイドの方に聞くと、ロシアのウクライナ侵攻後に入館者が増え、昨年5月のG7サミットでさらに注目が集まったそうです。「修学旅行が一段落して、きょうはスムーズ」と言われましたが、平日にもかかわらず訪日観光客をはじめ多くの人々がひっきりなしに訪れていました。
戦争体験者がいなくなれば、資料館の役割は一層重みを増します。あす6月23日は戦後79年の慰霊の日。二度と戦争を起こさないために、沖縄戦体験者の記憶をどう継承して伝えていくか、沖縄でも模索が続いています。
父の戦争体験をひもといて
連載「記憶を積む 石原ゼミと戦災調査」は、沖縄国際大の石原昌家さんのゼミで沖縄戦の住民証言を集めた当時の大学生と、改めて調査の現場を訪ねて沖縄戦の継承を考える企画です。
1回目に登場する、八重瀬町(旧東風平町)の外間英行さん(90)は、1999年発刊の町史に初めて目を通し、25年ほど前に数え92歳で亡くなった父英信さんの戦争体験を知ったそうです。聞き取った知念弘聡(ひろかず)さん(64)が調査ノートを手に証言をひもとくと、英行さんも自身の戦争体験も語り始めました。
父が語ることのなかった修羅場が克明に記されていた町史を読み、「初めてお父さんの体験をちゃんと知ったよ。大変な思いをしたんだなあ」との感想が印象的です。地域に残る資料は79年前に何があったのかを知る手がかりになります。
元難民と元船長、41年ぶりの再会
次に取り上げるのは、命を救った側と救われた側が41年ぶりに再会を果たした話題です。
1983年8月、ベトナムを出国した1隻の小型木造船を、沖縄水産高校の実習船「翔南丸」が救助しました。当時救出された元ベトナム難民のグエン・ソン・マイさん(84)一家が、那覇市内で翔南丸の元船長・宮城元勝さん(81)らと41年ぶりに再会しました。グエンさんは「あの日のことを忘れたことはない。感謝しかありません」と語りました。
グエンさん一家が翔南丸の船内で、宮城さんら乗組員と過ごしたのはわずか4日。それでも、命の恩人のことを忘れず、いつか会いたいと捜していたそうです。
グエンのように、ベトナム戦争後、国外に逃れようとした人々を「ボートピープル」と呼びました。写真の小さな船に100人余が乗っていました。当時の過酷な状況に改めて驚かされます。今も戦争や迫害で国を追われた人々は増えています。日本の難民認定に問題がある現実にも目を向けたいと思います。
沖縄だけのバイク走行規制 解除へ
次に紹介するのは、沖縄だけに残っていたバイクの走行規制が9月末で終わるというニュースです。
50cc超のバイクが幹線道路で一番左の第1通行帯だけを走らなければならない規制は1983年に始まりました。バイクが車線変更する際の事故が多かったことなどが理由です。他府県でも同様の規制はあったものの、徐々に解除され、沖縄のみ残っていました。
余談ですが、私の古里名古屋には、道路の真ん中を走る基幹バスレーンがあります。渋滞を回避するためなのですが、逆走してしまう車があるほど、初めて走るドライバーには分かりにくいだろうなと感じています。
今回解除されることになったバイク走行規制。業界団体は、何度も車線変更を余儀なくされ、かえって危険だと訴えてきました。バイクを借りた観光客からは「沖縄だけなぜこんなルールがあるのか」と不満が出ていたそうです。運転する皆さん、解除後も安全運転を心がけてくださいね。
ことしの梅雨やっぱり雨が多かった
沖縄地方は梅雨が明け、青空が戻ってきました。気象予報士の崎濱綾子さんによると、「梅雨明け10日」といって10日程度は晴れるそうなので、絶好の洗濯日和です。
ことしの梅雨はものすごく雨が多いなと感じていましたが、記録にも表れています。
きょう22日から高校野球が始まります。23日の慰霊の日も気温が上がることが予想されます。熱中症に注意してお過ごしください。今週のデジ編チョイスは大門雅子が担当しました。
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