交通事故で甲羅が損傷し大けが ぐったりした天然記念物のカメ 獣医が8カ月懸命に治療し回復 森に返すまでの軌跡
沖縄タイムス+プラス / 2024年6月28日 8時16分
昨年10月、沖縄県国頭村辺野喜の林道で交通事故に遭った国指定天然記念物のリュウキュウヤマガメ(イシガメ科)が、ヤンバル動物診療所の懸命な治療で回復し24日、約8カ月ぶりに同林道の林床に放獣された。同診療所獣医師の山岸真貴さんは「しばらく動かなかったけど、慣れたらすたすたと森の中に消えていった。とてもうれしく幸せを感じた」と笑みを浮かべた。(玉城学通信員)
事故に遭ったリュウキュウヤマガメが救護されたのは昨年10月9日午前11時半ごろ。ドライバーから連絡を受けたやんばる自然保護官事務所が、同診療所に搬送した。山岸さんによると甲羅が大きく損傷し、ぐったりしていた。両後ろ足と尻尾にまひも見られたという。
山岸さんは甲羅の亀裂修復処置を行い、高酸素ケージで管理しながら治療。1週間ほどしてカタツムリやミミズ、カナブンの幼虫などの餌を自力で食べるようになり、甲羅の傷も次第にふさがった。「今年に入って後肢のトレーニングのため、障害物を乗り越える訓練をした。4月には歩行できる状態にまで回復した」と説明した。
リュウキュウヤマガメは雄の若い個体で、搬入時の甲羅の長さは約12センチ、体重約170グラム。放獣時は甲羅が約15センチ、体重約210グラムまでに成長した。
野生復帰は事故の発生場所と同地点で行われた。環境省の自然保護官や安波ダム管理支所職員、同診療所スタッフなどが見守る中、山岸さんがリュウキュウヤマガメを林の中の落ち葉の上に置いた。しばらく動かなかったが、首を出して辺りを見渡した後、谷底に姿を消した。
同保護官事務所は「雨の日や雨上がりのやんばるの道を通行する時は、小動物が現れるので十分に気を付けてほしい」と呼びかけた。
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