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[社説]海自 相次ぐ不祥事 組織体質の問題を露呈

沖縄タイムス+プラス / 2024年7月9日 4時0分

 海上自衛隊で不祥事が相次いでいる。安全保障の最前線に立つ現場の不祥事は影響も大きい。なぜ起きたのか。徹底した原因究明が必要だ。

 海自の複数の護衛艦で「特定秘密」のずさんな取り扱いが確認されたとして、海自トップの酒井良海上幕僚長が引責辞任する意向を示している。

 特定秘密を巡っては防衛省が4月、海自の護衛艦「いなづま」で無資格の隊員1人を、特定秘密を扱う任務に当たらせていたと公表していた。

 その後、他にも同様の事案がないか調査したところ、いなづま以外でも確認された。不適切な運用が海自全体で行われていた可能性がある。

 特定秘密保護法は2014年に施行された。防衛や外交などに関する特定秘密に指定された情報を扱えるのは「適性評価」を受け、認められた人のみと定めている。

 しかし一部の報道では、無資格の隊員に扱わせる運用が海自で10年近く続いていたという。法の施行直後から不適切な運用が行われていたとすれば、組織として法の趣旨を軽んじていたとしか思えない。

 特定秘密は、漏えいすれば安全保障上著しく支障を与える恐れがあるとされる。22年には海自の1等海佐がOBの元海将に漏らしたことで懲戒免職となった。

 23年末時点で各省庁が指定する特定秘密は計751件で、防衛省はうち429件と最も多い。

 ずさんな取り扱いは組織体質に問題があるのではないか。海自トップの辞任で幕引きすることは許されない。

■    ■

 海自では潜水艦の修理契約に絡み、川崎重工業(本社・神戸市)が幹部自衛官や潜水艦の乗組員に金品を提供していた疑惑も浮上している。

 川重は下請けとの架空取引で「裏金」を捻出。この資金を使って飲食接待をしたり、商品券や生活用品などを提供したりしていたという。裏金づくりが始まったのは遅くとも6年前で、流用した額は少なくとも十数億円に上る疑いがある。

 事実なら自衛隊員倫理法違反に当たる。防衛省は「特別防衛監察」を実施。調査対象は海自潜水艦の乗員など約1500人に上る見込みだ。

 裏金は潜水艦の建造費や修理経費などに上乗せされていた恐れもある。

 川重との契約金額は修理に関するだけで年間約百数十億円に上る。これまでの発注で過払いはなかったか。裏金の流れについての全容解明も求められる。

■    ■

 政府は27年度までの5年間の防衛費を従来の1.5倍の43兆円に増やす方針だ。青天井の予算でチェックがおざなりになり、不正がエスカレートした可能性がある。

 防衛装備品は特殊な技術が必要とされる物が多く、国内で製造・修理に対応できる企業は限られている。ほぼ随意契約という独占状態の中で、癒着はなかったのか。

 特定秘密を巡っては当初から恣意的な運用に懸念があった。今回の問題を契機に、再発防止策と運用のチェック体制についても見直すべきだ。

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