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[社説]高校生が大麻所持 乱用防止策の再点検を

沖縄タイムス+プラス / 2024年7月10日 4時0分

 違法な薬物が、県内の若者にも忍び寄っていることが改めて浮き彫りになった。大麻は特に成長期の脳への影響が大きく、時間や空間の感覚をゆがめる他、記憶障害を引き起こすなど、子どもたちの心身を確実にむしばんでいく。学校や家庭、関係機関の乱用防止対策は万全か、この機会に再点検するべきである。

 「大麻リキッド」と呼ばれる液体大麻を所持していたとして、県立高校の男子生徒(15)=本島中部=が大麻取締法違反容疑で、5月に浦添署に逮捕されていたことが明らかになった。情報を基に捜査員が生徒を任意同行し、所持品を検査して発覚した。「自分で吸うために持っていた」と容疑を認めたという。

 大麻リキッドは、大麻草から幻覚作用がある成分テトラヒドロカンナビノール(THC)を抽出した液状の濃縮物。乾燥大麻はTHCの濃度が約10%だが、大麻リキッドは60~80%と高い。電子たばこで気化させて吸引できるため、気軽な印象も相まって若い世代を中心に広がっているとみられている。

 県内では昨年8月、中学3年の男子生徒(14)=本島中部=が大麻所持容疑で逮捕されたばかり。県教育委員会の半嶺満教育長は「若者を取り巻く薬物乱用の現状に強い危機感を抱いている」とし、「児童生徒が問題を『自分ごと』として捉える指導の徹底を図るとともに、全県民一丸となった取り組みが必要」と呼びかけた。

 子どもを守る責任として、大人もこの危機感を「自分ごと」とする必要がある。

■    ■

 大麻で摘発される人の数は年々増えている。2023年は全国で過去最多の6482人となり、初めて覚醒剤の摘発者を上回った。年代別に見ると、10~20代が全体の73.5%を占める。19年に比べ、中学生は6人から21人に、高校生は109人から214人に、大学生は132人から235人に増えた。

 県内でも今年の摘発者は10~20代が7割以上を占めていて、若年層へのまん延が懸念されている。

 背景には「体に害はない」「依存性はない」といった誤った情報が交流サイト(SNS)に流れている他、隠語を使って行われているSNS上での売買に誰でも簡単に関われる状況がある。

 浦添署に逮捕された高校生も、スマートフォンのアプリを通じて大麻を購入したと話していたとされ、県内でもすぐに一線を越えられることをうかがわせている。

■    ■

 大麻は所持していなければ罪に問われなかったが、昨年12月の大麻取締法などの改正で、他の薬物と同様に使用罪が適用されることになった。摘発される人は増えるとみられるが、取り締まりだけで問題は解決しない。

 学校や家庭では心身に及ぼす影響を説き、誘われてもはっきり断る、話題を変えてやり過ごす、その場から逃れるといった対処策を確認しておきたい。

 県などの関係機関には一層の啓発と、子どもたちを惑わす誤情報を打ち消す分かりやすい情報の発信を求めたい。

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