1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

[社説]米兵による性暴力 具体的な防止策を示せ

沖縄タイムス+プラス / 2024年7月13日 4時0分

 本島中部で16歳未満の少女を誘拐して性的暴行をしたとして、わいせつ目的誘拐と不同意性交の罪に問われた米空軍兵(25)の初公判が那覇地裁で開かれた。

 県警が公表せず、起訴から3カ月後に明らかになり、県に情報提供がなかったことも問題となった事件だ。

 検察側の冒頭陳述によると、被告は昨年12月24日、公園にいた少女に「軍の特別捜査官だから」などと言い、「寒いから車の中で話さない?」などと誘って、車に乗せて自宅に連れ込み暴行した。

 少女が、ジェスチャーを交えながら日本語と英語で年齢を告げたことや、帰宅後、泣きながら母親に被害を訴え、母親が110番通報したことも明らかにした。

 これに対し被告は、罪状認否で「私は無実だ。誘拐も性的暴行もしていない」と起訴内容を否認した。少女を18歳と認識していたと主張した。

 検察側と被告側の言い分は異なった。

 被告が問われている不同意性交罪は、2023年の刑法改正で強制性交罪から名称を変えた。

 暴行・脅迫や恐怖・驚愕(きょうがく)、地位利用など8項目の要因で、被害者が同意しない意思を形成・表明・全うするのが困難な状態にさせ、性的行為に及んだ場合に処罰する。

 被害者が13~15歳の場合、5歳以上年上の行為は暴行や脅迫などがなくても処罰対象となる。

 8月23日には被害者と被害者の母親が証人尋問、30日には被告人質問がある。全容が明らかになるのはこれからだ。プライバシーがしっかり守られる環境をつくってほしい。

■    ■

 公判前日、花を手に街頭で性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」が那覇市で行われた。

 いつもより多い約70人が参加し、無言で抗議する「サイレントスタンディング」の後に緊急集会を開いた。

 主催者の一人である高里鈴代さんは「日米の同盟関係のために女性の人権がないがしろにされているのが事件の本質」と語り、怒りをあらわにした。

 今回の事件も、基地がなければ起きなかったはずの事件だ。

 戦後79年、復帰52年がたった今も、性犯罪の年表には加筆が続いている。

 事件の一つ一つを明らかにして、この流れを止めなければならない。

■    ■

 暴行事件を受け、エマニュエル駐日米大使と在沖米軍トップ四軍調整官のロジャー・ターナー中将は連名で、見解を発表した。

 対策として、勤務時間外行動指針(リバティー制度)を全部隊に導入することなどを示した。しかし具体的な内容には触れていない。

 対策が沖縄の怒りを収めるためのポーズに映るのは、県や地元自治体との対話を置き去りにしているからだ。

 沖縄では基地が女性の人権を侵害する「暴力装置」のような存在になっている。

 地位協定の改定など抜本的な解決に乗り出さない限り、再発を防ぐことはできない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください