那覇で36.0℃! 統計史上1位の気温に 沖縄地方の記録的な暑さの要因は
沖縄タイムス+プラス / 2024年7月19日 16時45分
県内11地点、31回の猛暑日
本日7月19日(金)は、那覇で最高気温36.0℃を観測し、1890年からの統計で1位の気温となりました。また、西表島では35.9℃を観測し、1954年からの統計で西表島も1位の気温となりました。本日の県内の猛暑日は7地点となり、今年これまでで最も多くなっています。
今年の沖縄地方は記録的な猛暑となり、うちなーんちゅにもこたえる暑さとなっています。沖縄では聞き慣れない“最高気温35℃以上の猛暑日”についてお伝えしていきたいと思います。
沖縄地方は、7月4日(木)に西表島で県内で今年初めての猛暑日となり、5日(金)には那覇で猛暑日となりました。那覇では2017年以来の猛暑日となり、13日(土)~15日(月)の海の日にかけては3日連続の猛暑日でした。
那覇で3日連続の猛暑日となるのは108年ぶりのことです。108年前の1916年7月は6日連続の猛暑日となり、その年の7月の猛暑日日数は8日となっています。また、15日(月)の海の日と18日(木)と本日19日(金)の猛暑日地点は4地点で、今年これまでで最も多くなっています。
19日(金)現在、猛暑日観測地点は、猛暑日が出た順番で、西表島、那覇、伊是名、北原(久米島空港)、波照間、仲筋(多良間空港)、安次嶺(那覇空港)、北大東(北大東空港)、鏡原(宮古空港)、大原、石垣島で、県内11地点、計31回の猛暑日となっています。
暑さの要因① 湿度にも着目
15日(月)の海の日は、最高気温35.5℃を観測しました。その日に体感として感じたのは、沖縄特有のジメジメした暑さではなく、カラッとした暑さだったことです。この日の最小湿度は、1957年からの統計で7月として最も低く34%となりました。(那覇の相対湿度の7月の平均は78%)
暑さの要因の一つとして、今年の夏はドライヤーの熱風のような風が高気圧の影響などで沖縄付近に乾燥した空気を吹きつけているのではないかと考えています。今年の夏を通して、検証が必要になってくると思います。
気温はどこで観測している?
今年これまで、那覇と仲筋(多良間空港)の猛暑日日数は6日となり、県内で最多の日数となっています。どのような場所で気温を観測をしているのでしょうか。
“露場(ろじょう)”と呼ばれる場所で、気圧・気温・湿度・降水量・風向・風速・日照時間などを観測しています。露場は、地面からの熱や人工物の影響を避けるために芝生が植えられています。那覇の露場を見てみますと今週は、先月よりも芝生がカットされていました。この場所で35℃を超える気温を連続して観測したのかと思うと、今年はより特別な場所に感じられます。
暑さの要因② 記録的に高い海面水温
7月の沖縄周辺の海面水温は、平年よりも2℃以上高く30℃を超えた状態が続いています。その要因として、高気圧に広く覆われて晴れた日が続いたことや、沖縄地方に6月から台風の接近がなかったことなどが挙げられます。
台風が通過する際は、海面がかき混ぜられるために海面水温が一時的に低くなります。6月以降、沖縄地方は台風の影響がなく、海面水温の高い状態が続いています。
今月13日(土)からの海の日の3連休に水納島へ行ってきました。6月に慶良間諸島で泳いだ時は寒さで震えたのですが、今回はとても暖かく感じました。海水浴を楽しむ方には絶好の海日和ですが、海が暖かすぎるのも心配です。
フィリピン付近に台風の卵
本日19日(金)現在、フィリピン付近に台風の卵の熱帯低気圧があります。今後雲がまとまるのか、動向に注意が必要です。
また、21日(日)の満月の前後は大潮の時期に当たるため、満潮の時間帯を中心に高潮にも注意が必要です。台風や低気圧の通過などがあった場合はさらに潮位が上昇する可能性があります。
熱中症に最大限の警戒を
最新の熱中症による救急搬送人員(消防庁調べ)によると、7月8日(月)の週も151人と、多い傾向が続いています。この先も暑さが続くため、最大限の警戒をお願いします。
〈今年の沖縄県内の救急搬送人員〉
5月27日~6月2日・・17人
6月3日~6月9日・・16人
6月10日~6月16日・・14人
6月17日~6月23日・・101人
6月24日~6月30日・・152人
7月1日~7月7日・・181人
7月8日~7月14日・・・151人
24日ごろから かなりの高温予想
18日(木)に「高温に関する早期天候情報(沖縄地方)」が沖縄気象台から発表されました。沖縄地方は24日(水)ごろからかなりの高温になる予想として注意を呼びかけています。
この先も、暖かい空気に覆われやすいためかなり気温が高くなる予想です。屋外での活動では飲料水や日陰の確保、休憩しながら活動するなどの熱中症対策を行い、健康管理や農作物、家畜の管理にも注意が必要です。
(かなりの高温の基準:5日間平均気温平年差+0.9℃以上)
本日19日(金)は、沖縄本島地方、宮古島地方、八重山地方に熱中症警戒アラートが発表されています。
23~25日台風の卵の動きに注意
8月4日(日)にかけての那覇の天気と気温の予想を見てみましょう。7月22日(月)ごろにかけては、晴れたり曇ったりの予想で、天気の大きな崩れはなさそうです。22日(月)は“大暑”で、一年で最も暑さが厳しくなる頃です。すでに日差しが肌に痛いほどの暑さとなっています。紫外線対策もお願いします。
一方、7月23日(火)~25日(木)ごろにかけて、台風の卵となる熱帯じょう乱が東シナ海を北上する可能性があり注意が必要です。その後、26日(金)ごろからは日差しが戻り、8月前半にかけては概ね晴れて暑さが続く予想です。
週末はカタブイの可能性
20日(土)の沖縄地方は、引き続き夏の高気圧に覆われて晴れる見込みです。沖縄特有のスコール性の雨、カタブイ(片降り)の可能性がありますので、洗濯物を外干ししたままの外出などは、空模様の変化にお気を付けください。
引き続き、昼間だけではなく夜間も暑さが続きますので、部屋の換気や温度管理、こまめな水分補給を意識することが大切です。
崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。
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